現代の救世主は「シャイな人」!

2022年9月26日(月)

  ソシエッタです。

 

 あなたは、自分のことを外向型だと思いますか?それとも内向型ですか?内向型の人にとって、外向型の人はまぶしく見えることでしょう。「知らない人にフランクに話しかけることができていいな」「友達も多いんだろうな」などと想像してしまいます。でも、ご安心を。時代は今、内向型の人を欲しています。これから「まぶしくなる」のはあなたです。

 

 私たちは、外向型の人間を称賛する価値観にどっぷりつかっています。特に近年のイノベーションは、「見た目」に重きを置く「舞台装置」となりました。典型はスティーブ・ジョブズです。Tシャツにジーンズというラフな出で立ち、ポケットからiPodをさりげなく取り出すプレゼン。彼の後にメディアに取り上げられてきたIT分野の人たちも、いかにも独特の感性を持っていそうな格好をし、そのコメントにはキラリと光るものがあり、聴く者を魅了します。ビジネス書コーナーでもてはやされる自己啓発本も、「見た目が100%」など、外面的な魅力に焦点を当てたものが主流となりました。

 

 このような「煽り運転」のおかげで、つい無理をして自分らしさを失っている人もいるのではないのでしょうか。プレゼンでは絶対に笑いをとろうとして逆にスベってしまう。「できない人」とレッテルを張られるのがいやだと、カンで即断して後で後悔するはめになってしまう・・・などです。

 無理をする必要はありません。内向型の人には外向型の人には無い良さがあるのです。むしろ、時代が不明瞭さを増している中、内向型の持つ良さにスポットライトが当たりつつあります。自信を持って下さい。そして、あなたのすぐそばにひっそりといる「シャイな人」の良さをつぶさないようにする配慮が必要です。

 

 内向型の良さは「じっくり考える」ことです。自分が言おうとしている言葉の意味を慎重に選びます。即座に反応するのが得意ではありませんが、長期記憶もしっかり活用し、常に本質を捉えようとします。予測される問題点にもいち早く気付きます。

 決して目立つ存在ではありませんが、観察者であり、リーダーとなる素質を持っています。集中力があり、ガヤガヤした環境は苦手で、エネルギーをチャージするには一人になる必要があります。ちなみに、高感度な人(HSP)の70%は内向型とされています。(ジル・チャン「静かな人の戦略書」ダイヤモンド社

 

 ビジネス書のせいで勘違いされているかもしれませんが、リーダーにカリスマは要りません。短期的成功が必ずしもその後の成功を意味しません。むしろ、チームワークが重要です。

 内向型と外向型の両方のメンバーで構成されたチームであれば非常に効果的です。スティーブ・ジョブズの場合、もう一人の「ジョブズ」、ウォズニアック・ジョブズがいました。コンピュータ革命はウォズニアックによる孤独な作業の中で生み出されました。自伝の中で彼は言います。「ひとりで働け。独力で作業してこそ、革新的な品物を生み出すことができる。」と。一人による集中的実践に効果があるのです。心理学者のチクセントミハイによれば、芸術、科学、ビジネス、政治の分野で並外れて創造的な人物の多くは孤独な思春期を過ごしていたそうです。内向型の人にとっては勇気づけられる言葉です。(スーザン・ケイン「内向型人間の時代」講談社

 さらに、謙虚な人がいいチームを生み、メンバー同士が助け合うようになります。リーダーが内向的かつ謙虚であれば言うことありません。優良企業に共通するのは謙虚なリーダーに率いられていることです。自分のエゴを育てるのではなく、自分が経営する企業を育てるリーダーが必要なのです。

 

 時代が背中を押してくれています。これまでは、優れた表現力と社交力があれば成功するという通念が浸透していました。でも、インターネットでつながる環境は「壁」を壊しました。ニーチェは、「自分に近いものはよく見えるが、遠く離れたものはよく見えない。」と言いましたが、ソーシャル・ネットワークは遠く離れた人々とのつながりを見えるようにしました。「炎上」もしやすいですが、書き言葉による「発言」がしやすい環境が整いました。内向型の人にとっては落ち着いて対処できる「居場所」にもなります。

 

 世の中が混沌とする中、新たな適者生存が始まっています。「進化のトレードオフ理論」によると、環境次第で生き残るための「重要事項」は変化します。今の「重要事項」は「雑草の戦略」です。雑草のタネの発芽のタイミングはばらばらです。こうした多様性を持つからこそ、荒れ地であっても種を保存させることができるのです(稲垣栄洋「競争『しない』戦略」扶桑社新書

 ちまたのビジネス書に惑わされることなく、多様性を尊重し、内向型人間の秘める能力を引き出して世の中に役立てることが、世界を救う王道となるのです。

 

そのペットボトルが「水戦争」を引き起こす!

2022年9月19日(月)

 エンヴィです。

 

 ペットボトルってありがたい存在ですよね。缶だと封を切ったら飲み干さないといけませんが、ペットボトルであれば、好きな時に適量を飲むことができます。炭酸だって閉じ込めておけます。今、台風14号が猛威を奮っています。災害に備えてペットボトル水を用意している人も多いことでしょう。

 

 ペットボトル水市場が大幅に拡大しています。そして、大きな問題を引き起こしています。ボトル・ウォーター産業は地球環境を最も汚染している産業の一つであり、最も規制が行われていない産業の一つでもあります。

 ペットボトル水はほとんどが地下水です。その取水先は、水が減りつつある水系に集中しています。驚くべきことに、ペットボトル水の生産には、大量の水道水が使われています。もしも、あなたが500mlのペットボトル水を飲んでいるとしたら、その2.6倍、ほぼ1.5リットルのビッグサイズ分の水を消費していることになるのです。それだったら、水道水を直接飲んだ方がはるかに「エコ」です。僕たちは水のありがたみをもっと感じなくてはならないのです。(モード・バーロウ「ウォーター・ビジネス」作品社)

 

 

 日本は水資源に恵まれています。一般家庭における1日の水の消費量は1人当たり約250L(リットル)です。しかも、風呂65L、トイレ60L、洗濯50L、炊事55Lと、ほとんどが洗浄用です。生命に必要な飲料用はわずかです。ありがたみを感じる機会が少ないわけです。(沖大幹ら「知っておきたい水問題」九州大学紙出版会)

 でも、世界は違います。それこそ、「水戦争」が起きているほどです。1967年の第3次中東戦争は、乾燥地帯における水資源の奪い合いから起きました。複数の国にまたがるナイル川インダス川の流域でも争いが起きています。

 地球上には約14㎦の水がありますが、淡水はたったの2.5%で、多くが氷山や氷河です。気候変動が地球を襲っています。氷山や氷河が溶けて塩水と混ざれば、もはや飲むことはできません。さらに、都市に人口が集中し、人々の「水ストレス」が増えています。2050年までに、アジアで10億人以上が水不足に陥るとされています。こうなると川の水は極めて貴重です。世界中で水の使用権をめぐって緊張状態が続いています。(インフォビジュアル研究所「図解で分かる14歳からの水と環境問題」太田出版

 

 日本にいると、こうした世界の厳しい現状に思いを致すことはないでしょう。ところが、日本も「水ストレス」の高い国なのです。実に、年間約800億㎦ものバーチャルウォーター(仮想水)を「農産物」という形で世界から輸入しているのです。主な輸入先は、米国、中国、豪州、タイなどで、このうち米国、中国、豪州では水資源の問題が深刻化しています。つまり、日本で水不足を感じずに済んでいるのは、他国の犠牲のおかげなのです。

 国内にも問題はあります。日本の地下水への依存度は25%ですが、地下水を汲み上げすぎると地盤沈下が生じます。実際、佐賀県新潟県魚沼市では地盤沈下が進んでいます。また、日本では硝酸性窒素による地下水汚染が深刻です。原因は肥料や畜産施設の動物の糞尿です。これらは「ノンポイント汚染」と呼ばれています。汚染の発生源を絞ることができないからです。ということは、問題への対処が広域にわたって必要になるということです。解決は容易ではありません。

 

 「地球に豊富にある海水を淡水化して使えばいいのではないか」という人もいるでしょう。既に実用化されています。アラブ首長国連邦第2の都市ドバイでは、水道水のほとんどが海水から作られていて、300万人を超える人口を支えています。そして、日本は逆浸透膜の技術を使って、中東をはじめとする国々の海水淡水化に貢献しています。でも、話はそれほど簡単ではありません。海水淡水化によって、より高濃度の塩水が排出されてしまうのです。処理のための技術開発が急がれます。

 

 結局、「清浄な水」は無料(ただ)では手に入りません。貴重な「公共財」なのです。ボトル・ウォーターについても、企業の取水や水源涵養の取組が適切かどうか、きちんと監視することが大切です。

 一人ひとりの水に対する意識はより重要です。世界の現状をもっと知らなくてはなりません。そして、行動に移す必要があります。おしゃれな水筒が店頭に並んでいます。ペットボトルの使用を止め、水筒をマイボトルにして持ち歩いてはどうでしょう。

 費用負担も有効な手段です。神奈川県秦野市では「地下水汚染対策基金」を作り、地下水の利用者から集めたお金を汚染対策に充てています。例えば、ペットボトル水に税をかけて、税収を水源地の保全に還元してはどうでしょう。

 いずれもコストがかかる話ですが、こうした取組によって世界の「水戦争」が防げるのであれば安いものです。

 

ビジネスパーソンにお薦め、偉人たちの「頭脳食」!

2022年9月12日(月)

 フーディンだよ。

 

 新型コロナの陽性者、ようやく減少してきたね~。

 それにしても、新型コロナは栄養問題に一石を投じたんだな~。これまで、結核をはじめとする感染症で死に至るのは栄養が不足していたからだったんだ。新型コロナもあんまり重症化しないんだけど、オミクロン株の場合、肥満、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病を持ってると重症化を招くんだな~。

 

 栄養の摂り過ぎに注意しなくちゃいけないよ。お寺の僧侶は一般男性と比べて75歳時点での平均余命が4.2年長いんだって。修行時はわずか1000~1200キロカロリーしかとらないし、タンパク質や脂質の摂取量も圧倒的に少ないけど、カルシウムなどは野菜や大豆からしっかり摂っているみたい。鎌倉時代からの経験知なんだろうけど、実はこれって現代の食生活のヒントになるよ。特に、頭脳を使うビジネスパーソンは知っておいて損はないよ。(奥田昌子「日本人の病気と食の歴史」ベスト新書)

 

 社会で成功した偉人たちってどんな食生活をしていたんだろう。ちょっと覗いてみようよ。まずは徳川家康征夷大将軍として江戸幕府を開き、74歳まで生きたよ。贅沢な食事はせず、玄米に麦を加えたご飯を食べ、鳥の胸肉を好んだみたい。

 彼より先に天下統一を果たした豊臣秀吉はお魚をしっかり摂っていた。子どもの頃はドジョウを食べていたんだって。頭の回転の速さはそこからきているんだね。(週刊現代2022.7.2/9)

 科学の天才たちは一風変わっているよ。相対性理論で有名なアインシュタインの夕食はソーセージと一切れのパン。炭水化物控え目なんだね~。ルネサンスが生んだ大天才レオナルド・ダ・ヴィンチのルールは「食いたくないのに食うなかれ、軽くたべよ」、「摂取するものは十分煮て、料理は簡単に」なんだ。その200年後日本では貝原益軒が「腹八分目にとどめること」と『養生訓』という書籍に書いてるんだ。世の東西を問わず、食べ過ぎないことが健康の秘訣で脳にもいいんだな。

(真山知幸「偉人メシ伝」笠間書院

 

 人間の脳は80%近くが水でできているから、質の良い「水」を摂取することも大事だよ。面白いのは、飲む量を増やすだけで身体はより多くのカロリーを燃焼するからダイエットにも効果があるんだ。朝起きたら10分以内に450~900ミリリットルの水を飲むといいよ。

 歳をとると脳が衰えるって言うけど、栄養が豊富な環境と健全なライフスタイルがあれば、人生の後半でも脳機能は改善するんだな。例えばマグネシウムを摂取すると脳年齢が9歳若返るんだって。摂取するなら海藻類がいいね。微量栄養素たっぷりなんだ。

 

 水の次に脳の組成で多いのは脂肪だよ。「脂肪を摂るとダイエットできない」って考えないで。要は、質の良い脂肪を適度に摂るってことなんだ。脳にはバリヤーがあって、そう簡単にはモノを受け付けないんだ。脂肪をたくさん摂っても脳は肥満にならない。だからこその「質」なんだよ。最も重要な脂肪はオメガ3脂肪酸のDHA。最低でも週1回はお魚を食べて欲しいんだな~。

 偉人だと豊臣秀吉のほか、カリスマ経営者「メザシの土光さん」が有名かな。総理経験者では池田勇人元首相の夕食は魚と野菜が中心だったし、吉田茂元首相ははんぺんが好物だったんだ。ストレスを受けてもしっかり頭を働かせようと思ったらリン脂質がいいね。カツオや鶏レバー、大豆などだね。

 

 認知症の予防も大切だね。アルツハイマー病は単に記憶を失う病気ではなく、神経が損傷し、最終的には歩行や嚥下といった基本的なことができなくなって死に至る怖い病気だよ。でも、エクストラバージンオリーブオイルなら、神経炎症を軽減し、脳細胞のごみ掃除をしてくれる。また、アルツハイマー病は「3番目の糖尿病」と言われてるように、糖質を摂り過ぎると発症する確率が高くなるんだ。「じゃあ人工甘味料ならいいのか」といったらこれまた問題なんだ。毎日ダイエット炭酸飲料を飲む人は、脳卒中認知症を起こすリスクが3倍高いんだって。逆に、加齢に伴う記憶力低下を防ぐには、ダークチョコレート、キノコ、コーヒーがいいよ。(ショーン・スティーブンソン「EAT」ダイヤモンド社

 

 

 現代人はとにかく食べ過ぎなんだな~。女性の4人に1人、男性の3人に1人が肥満になってる。不必要なものを過剰に摂って、逆に体に必要な栄養素が不足してるんだ。

 一人ひとりの「食」に対する意識も必要だけど、それだけじゃ厳しいね。ご飯は人と一緒に食べると病気を防ぐ栄養素の摂取量が増える傾向にあるよ。また、ファストフード店やコンビニが協力して、健康的な食品を扱い、有害な添加物を排除してくれると効果てきめんだね。環境面を整えて、「知らぬ間に健康でいられる」という「しかけ」が必要なんだな~。そんな仕事をしてくれる「偉人」が欲しいね!

 

国難突破に欠かせないもの・・・それは「数学力」!

2022年9月5日(月)

 エディカです。

 

 ウクライナは膠着状態のようね。もしも、ロシアの勝利を阻止できなかったら、アメリカの威信は地に堕ちるわね。だって、軍事支援だけでなく、2014年から経済制裁を行ってロシアの封じ込めを狙っているもの・・・。一方で関心するのはロシアの経済力ね。経済規模は韓国と同じくらいだけれど、ここまで持ちこたえているわ。「スターバックス」そっくりの「スターズコーヒー」のしたたかさには笑っちゃったけど・・・。

 

 秘訣は人材よ。2019年のOECD調査では、高等教育の学位取得者の中でエンジニアが占める割合はロシアで23.4%と、アメリカの7.2%の3倍以上なの。不安定な情勢の中でも生産活動の再編を進めていける頭脳集団の存在は大きいわ。日本で同じパフォーマンスをとれるかしら?こうした点を見るにつけても、「数学力」を持った人材の育成は大事ね。(エマニュエル・トッド第三次世界大戦はもう始まっている」文春新書)

 

 

 実は、日本でも国難時には「理(ことわり)」を重視する集団がまとまって出現したの。以下の4つのタイプがあるわ。

①独創的な思想家(島津斉彬勝海舟織田信長ら)

開明派の官僚(大久保一翁小松帯刀石田三成ら)

③地域の知識人(福沢諭吉大村益次郎ら)

④文系的伝道者(西郷隆盛坂本龍馬豊臣秀吉ら)

 

 ①が常識を超越するビジョンを示し、②がそれを保護し、③が人材確保を政府に代わって行い、④が①のために汗をかいて世間の共感を得たの。ユニークなのは、国難時に彼らが雨後のタケノコのようにどこからともなく出現し、自発的に連携して、いつの間にか大きな存在になっている点ね。(長沼伸一郎「世界史の構造的理解」PHP

 

 現在の国際社会はグローバル化に向かって突き進んでいるわ。マーケットもメディアも「右ならえ」ね。人々はいつの間にか目に見えない「統一感」に支配されている・・・危うい話よ。6月にアメリカの連邦最高裁が中絶禁止を容認する判決を出したけど、他の地域でも同じ動きが起きないか心配だわ。このように世界が180度変わる点が文系社会の持つ危うさなの。

 でも、科学をベースにすれば、議論は一定方向に積み重ねられていく。揺らいじゃいけない長期的な観点を求めようとする場合は、やっぱり「数学力」を持った人材を重宝すべきね

 

 「数学」は物事を抽象化するわ。そこから言語を共通化し、論理の展開を可能とする。このプロセスは、私たちの思考力を鍛えてくれるし、コミュニケーションの効率化につながる。やがて科学が生まれ、その一部が技術として利用され、人類の生活に大変革を起こすの。(橋本幸士「物理学者のすごい思考法」インターナショナル新書)

 国力増強にもつながるわ。ナポレオンは全国の国立大学に「理学部」をつくったの。国力を上げるため、数学や科学を大事にしたのね。(藤原洋「数学力で国力が決まる」日本評論社

 そして、現代社会は「数学」で構成されているわ。建築には建物に入る人・物の重さに加えて、風雪や地震に耐えられるよう「構造計算」が活躍、二乗するとマイナスになる「虚数」は量子コンピュータに欠かせない、素因数分解はネット社会の暗号づくりに一役買っている、スマホ電力の残量計算には微分積分が応用されている、小惑星探査機「はやぶさ」の軌道計算には小数点以下15桁の円周率が使われている・・・という感じにね。(永野裕之「世界でいちばん素敵な数学の教室」三才ブックス

 

 これからも「数学」を教育の中でしっかり位置づけることが必要よ。数理、データサイエンス、AIに関する知識や技能でもって新しい社会のしくみや製品・サービスをデザインする能力を養っていくの。

  今、文系理系を問わず、データサイエンスを全学必修科目にしている大学が増えつつあるわ。高校では「情報科」が必修になった。中学で勉強する数学の内容は増え、算数に近い領域である「プログラミング」は小学生から必須になった。幼児期の算数教室では、パズルや積み木、工作、おままごとセットに触れさせることで、理解の定着を促しているの。いわゆる「体感算数」ね。(宮本さおり「データサイエンスが求める新しい数学力」日本実業出版社

 

 社会に出てからも「数学」は大事よ。仕事ができる人ほど、数字の大切さを知っているし、優秀な経営者は数字を詰めるわ。数字の背景にある意味を見てるの。でも、今の世の中はSNSで言葉が氾濫するなど、あまりにも数字が足りていないわ。数字やグラフ・統計を使うことでコミュニケーションにかかる無駄なコストを激減できるはずよ。(安藤広大「数値化の鬼」ダイヤモンド社

 日常生活の様々な場面で「数学」を意識して大切にすることが大事よ。こうした雰囲気が醸成されれば、いつの日か「理」の集団がわらわらっと現れて、国難を突破してくれることでしょうね。

 

「副業ビッグバン」でスーパー人材が誕生!?

2022年8月29日(月)

 レーブだ。

 

 「副業できたらいいのになあ」と思っている人は多いだろう。一つの職場に縛られず、身の置き場が増える。気分転換にもなるし、人との出会いも増える。ペットブームの昨今、飼い主に代わってペットを散歩させる代行業もあるらしい。ペット好きにはたまらないだろう。自分の人生をより豊かにできそうだ。

 しかし、現実は甘くない。うかつに手を出すと疲れる。芸人が下積み時代に飲食業なんかでバイトしていたという話をよく聞くが、ネタを書く時間を取れなければ本末転倒だ。誰もが充実感を味わえる副業のしくみにするべきだ。

 

 

 国による副業政策は今回が初めてではない。明治末期から大正にかけて、農家に対し副業が奨励された。農業の機械化が進み、人手が余るようになったからだ。同時に第1次産業である農業から第2次産業である工業へ産業構造自体が変化することとなった。人々は農村部から都市部へと移動した。移動した労働者は企業が吸収した。

 次の節目はバブル崩壊後だ。1995年、経団連は不景気を乗り切るために「雇用の流動化」を提唱した。聞こえは良いが、要は非正規雇用を増やして人件費全体を抑えにかかったのだ。先進国の中でこれほど非正規雇用が増えているのは日本だけだ。当然ながら、正規雇用に「雇用の流動化」は生まれなかった。(大村大次郎「経済危機の世界史」清談社)

 さらに、時代は下って2018年、厚生労働省が公表しているモデル就業規則が改定され、ついに、原則禁止とされていた副業が許可された。

 想定されているのはIT技術の活用だ。クラウドソーシングサービスが手っ取り早い。記事を書いたりデザインを提供したりと、自分の特技を活かすことができる。また、新型コロナウイルス感染症を気にしなくてはいけない中、「巣ごもり」食事を提供するウーバーイーツ、来店の必要が無い「LINE相談」はありがたい。テレワークを駆使すれば、通勤ストレスともおさらばだ。実際、多くの副業保有者は、自宅やカフェ、ファミレスを職場として利用する傾向にある。(「副業お得技ベストセレクション」晋遊舎

 副業を希望する者が副業すると幸福感が高まる上、副業を持っていない者と比べて年収も上がる。これは、転職・起業によるものであり、「飛び石効果」と言われる。副業の推進は「雇用の流動化」を高めるのだ。

 

 一見すると、副業は自由度が上がり、労働者にとってメリットが大きいように思える。しかし、歴史を振り返ると、企業側が推し進めてきたのは、雇用の不確実性を高めて人件費の上昇を抑制することにある。

 副業を選択する労働者が増えるということは、別の角度から見れば、自社の新規雇用を絞った上で、全国を対象にアウトソーシングして、外部の即戦労働者をより安い賃金で使用することができるともとれる。現時点で正社員の副業を全面的に認める企業は23.7%と低調なのは、ひょっとしたら良いことなのかもしれない(2022.6.25日本経済新聞)。

 課題は収入だ。副業を持つ者の約65.4%が金銭的な動機を持つ。また、世帯所得200万円未満のワーキング・プア世帯が、最も副業を持つ傾向にある。彼らは活動時間を最大限仕事に充てることになる。これで疲れないわけがない。週当たりの労働時間が55時間を超えると仕事満足度が高まるとされているが、彼らには当てはまらないだろう。その一方でメンタルヘルスは悪化する。身体を壊してしまっては元も子もない。こうなると労働者はもはや「道具」だ。同じ道具なら、AIやロボットのほうがうまくこなせるかもしれない。副業の推進はこうしたリスクを伴うことを忘れてはならない。(川上淳之「『副業』の研究」慶應義塾大学出版会)

 

 ではどうしたらよいか。「同一労働同一賃金」と「ワークシェアリング」がヒントになる。労働時間の基本単位を「8時間」ではなく、「4時間」としてはどうだろう。例えば、午前8:00~12:00は自宅でA社のテレワークを行い、休憩や移動をはさんで14:00~18:00はB社の営業活動を行う。「本業」「副業」という概念自体が無くなる。こうした毎日をしばらく続け、A社とB社を比べて気に入ったほうを4時間✕2単位とフルにしてもいい。または、A社を固定しておいて、B社をC社やD社にチェンジするのもありだ。給与は各社半分ずつとなる。4時間もあれば、個人の能力をそこそこ活かすこともできよう。他社の業務を経験することで幅も広がる。企業からすると、労働者の人流が倍増する。良い人材に当たる確率も高まる。

 現在、副業を持つ者は労働力人口の1割にしか過ぎない。これが、2割3割と増えていけば、雇用市場の雰囲気も変わる。これこそが「副業ビッグバン」だ。一流の能力を複数持つスーパー人材も誕生しよう。世界に類を見ない壮大な仕掛けで、日本の経済成長を促したい。

 

目指せ「物流王」!第4のグローバル化を制するのはどこ?

2022年8月22日(月)

 トランだ。

 

 第4のグローバル化が静かに進行しているぜ。世界は「自国ファースト主義」に傾きかけているが、波は必ず来る。いち早く安定して商品やサービスを届けられる仕組みは、世界に安心をもたらす。第4のグローバル化を制する企業にこそ「物流王」の称号がふさわしいぜ。

 ここで、グローバル化の歴史を振り返ろう。第1のグローバル化産業革命後、イギリスを中心にスタートした。蒸気船と電信という二大技術が遠距離貿易を容易にした。その後の二つの世界大戦はまさに「自国ファースト主義」がもたらしたものだ。戦後、その反省から国際協調の道が模索される。例えば、仕組みの面では輸入関税の削減を目指したGATT、搬送技術面ではコンテナ輸送だ。こうして、第2のグローバル化が展開される。日本もこの波にうまく乗った。

 第3のグローバル化は1980年代後半からの規制緩和による市場メカニズムがエンジンとなった。しかし、リーマンショック、米中対立、イギリスのEU脱退、新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻を経て、各国が相互不信に陥っている。第3次世界大戦の可能性さえ指摘されている。命運を握るのは来たる「第4のグローバル化」だ。貧富の差を解消し、世界平和を実現しなくちゃならないぜ

 

 「第4のグローバル化」の特徴は、デジタル技術を全面に押し出したバリューチェーンだ。モノの移動はサプライ・チェーンで提供されるが、デジタル技術を使うことでモノの移動の量や距離を減らすことができる。そして、モノ以上に、サービス、研究開発、エンジニアリング、デザインが伝わる。

 例えば、音楽を聴くためにレコードを輸入する必要は無い。再生機器さえあればインターネットから好きな曲をダウンロードすればいいからだ。その再生機器だって、部品はいろんな国から集まる。部品も3Dプリンターを使えば手元で作れるかもしれない。原材料だけお取り寄せすればいい。このように、チェーン自体、いろんな国や地域にまたがる。世界がマルチにつながるってことだ。(マルク・レヴィンソン「物流の歴史」ダイヤモンド社

 

 搬送などロジスティクス技術だって進化するぜ。省人化と効率化だ。船舶が無人自動運航になれば海賊対策にもなる。陸ではトラックの隊列走行が見られる。倉庫ではコンピュータが音もなく検品や在庫管理を行う。ラストワンマイルにはロジスティクス・ドローンや電動無人宅配ロボットのお出ましだ。最適なコースが選択されるぜ。

 リスクや倫理もシステム内に取り込まれる。自然災害に遭遇したら輸送ルートを変更して被害を軽減する。各地の生産品目データを持っておけば、単一の国や供給ルートに依存せずに迅速に資材や部品を確保できる。新型コロナで起きたように、一国でマスクを独り占めするなんてできないぜ。物流で生じる温室効果ガスの削減にも配慮できる。不当労働もデータ管理でチェックだ。リバースチェーン(静脈連鎖)にも思いをいたそう。RFIDを活用すれば不法投棄の防止につながるぜ。(鈴木邦成ら「シン・物流革命」幻冬舎

 

 じゃあ、「第4のグローバル化」の旗手となる企業はどこだろう。アマゾンや楽天は自前配送の代表選手だ。ニトリアイリスオーヤマは製造から物流まで抑えている。ヤマト運輸は「YAMATO NEXT100」の下、宅急便のDXを推し進めている。アメリカのウォルマートは小売店をフルに活用してオムニチャネルを実現した。アリババは国内なら24時間以内、海外でも72時間以内に商品を届けられるよう、中国の主要宅配会社によるプラットフォームシステムを活用している。世界最大級の宅配会社DHLは、ウェアラブル端末で作業員の効率化を図るなど最新テクノロジーをふんだんに採り入れつつ、汎用性の高いマネジメントシステムで世界のデファクト・スタンダードの地位を狙っている。(角井亮一「物流戦略ノート」宝島社)

 

 百花繚乱といったところだが、攻略ポイントはグローバル化の歴史が教えてくれるぜ。搬送技術や情報通信技術の向上に加えて、ずばり世界標準を目指すことだ。今や一般家庭の消費対象はモノからサービス、経験へと移りつつある。背景には高齢化やレンタルサービス、シェアリングサービスといった、無駄にモノを持たなくてもよい社会の出現がある。工場・機械・土地への長期的なコミットメントも要らない。より柔軟な国際ビジネスの形が求められている。こうした標準スタイルを先取りしていくことが重要になる。

 併せて戦略的拡張が必要だ。まずは国内外をまたがって実装化し、システムを安定化させる。ここで信頼を勝ち取ることができれば、グローバル化に乗り込んでいくことができる。そのためには、目指す方向が世界の人々の幸せにつながるものでなくてはならない。「物流王」はその称号に恥じぬよう、崇高な理念を持つ必要があるんだぜ。

 

進歩したいなら、「オープン」それとも「クローズド」?

2022年8月15日(月)

 コノミです。

 

 今日は終戦記念日です。ウクライナの紛争は続いています。世界の平和を願わずにはいられません。紛争は「わたしたち」と「あなたたち」を隔てることから始まります。そして、経済事情が大いに関わります。リーマンショック、コロナショック、今回のインフレを経て、世界は内向きになっています。これからどうなるのでしょうか?

 

 

 もともとヒトは協力的な生物です。チンパンジーの黒目のまわりは茶目です。仲間に視線の先を悟られないためです。だから獲物をゲットできます。一方のヒトは白目です。自分が注目するものは仲間にも分かり、情報をたやすく共有できます。生まれながらにして「オープン」なのです。「オープン」だと、違った性質の人々が出会い、思想を豊かにし、多くの問題を解決できます。このことが文明にイノベーションと進歩をもたらします

 シリコンバレーは自由な気風で知られています。グーグルでは、創業者ラリー・ペイジらが開発アイデアを出せばスタッフの間に自由な意見が飛び交います。地位を誇示するような個室は一つもありません。その雰囲気は「幼稚園の遊び場」と表現されています。また、フェイスブックザッカーバーグによる株主への手紙には、「オープンであれ」と書かれています。(山根節ら「なぜ日本からGAFAは生まれないのか」光文社新書

 歴史も「オープン」であることの重要性を教えてくれます。中国の宋(960~1279年)はイギリスよりはるか前に産業革命を起こすポテンシャルを持っていました。国内統一後、皇帝は将軍を引退させ、内政に力を入れました。イスラム商人、インド僧侶、ペルシャ人、ユダヤ教徒を歓迎し、都市は商人や科学者であふれました。百科全書が編集され、陶製の活字による印刷が発明されました。茶の商人により紙幣が生まれました。鉄の生産量は1700年頃のヨーロッパ全体の量に匹敵するほどでした。

 オランダは小さな国ですが、17世紀に黄金時代を迎え、「オランダの奇跡」と呼ばれました。これも、ユグノー派、プロテスタントユダヤ教徒、クェーカー教徒など他の国で弾圧された集団にとっての移民先となり、頭脳が集まり、産業が発達したおかげなのです。(ヨハン・ノルベリ「OPEN」NewsPicksパブリッシング)

 

 悲しいことに人間は部族人でもあります。協力はしますが、それは他人を倒すためでもあります。「オープン」は生活に安全や裕福をもたらしてくれますが、人はしばしば「オープン」であることに不安を感じます。そして、わずかな不安や不快を感じるだけで他の集団に対し不寛容になります。こうした心理が、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」やイギリスのブレグジットを生んだのです。

 都市や国が発展する過程でも、保護や防衛、つまり、「クローズド」であることが支持されます。アメリカ建国の父の1人であるハミルトンも、「国際レベルの分業を拒んでこそ、国家の生産性は分業によって向上する。」と断じました。(マシュー・C・クレイン&マイケル・ペティス「貿易戦争は階級闘争である」みすず書房

 貿易も同様です。貿易は品物に価格差が生じることで行われますが、現実的には、その利益を最初に得たものが後続の国々に追いつかせないよう、「自由貿易」を主張しています。中国はWTOに加盟することで世界の工場として躍進しました。その一方で、外国企業には国内企業との合弁事業を求めたり、技術移転を強要したりしたのです。中国では指導者は、自分の求めるものが分かっていれば産業とイノベーターに対して極めて大きな自由を与えますが、その反面、「意外性」を嫌います。(長沼伸一郎「現代経済学の直観的方法」講談社)(トーマス・オーリッツ「CHINA:中国経済の謎」ダイヤモンド社

 

 このように、「オープン」であるべきか「クローズド」であるべきかは、人間の本質に照らしても、歴史に照らしても、難しい問題であり、タイミングが重要です。最初は「オープン」であるべきです。「意外性」は「オープン」な社会でこそ生まれる強みです。そこから「勝ち組」が生まれます。

 大事なのは勝ちすぎないことです。集団が大きくなり、安定を維持しようとする人たちが増え、集団が内向きになります。その時、文明の衰退が始まります。ヨーロッパが今も世界の中心の一角を占めているのは、幸か不幸か、国家としても思想としても統一できなかったからです。

 勝ちすぎないようにするためには、独占禁止法などの規制が必要です。そうです。「クローズド」の出番です。その際には一定の基準を設け、そこに達したら再び「オープン」にするという柔軟さがあるといいです。基準は「ジニ係数」や「失業率」「インフレ率」などが挙げられます。この絶妙なバランス感覚を実行に移せる国が、真の安定を維持することになるでしょう。