認知症はもはや国民病!みんなで検診をしてサポートシステムづくりを。

2018年12月17日(月)

 ハルです。

 電車でスマホゲームをしている方をよく見かけます。脳が活性化されているのであれば心配はいらないでしょうが、単なるパターン認識に過ぎなければ逆に活動を低下させているかもしれません。

 

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 2025年(今から7年後ですが)、高齢者における認知症患者は約700万人になるとされています。これは高齢者全体の5分の1にのぼります。さらに、認知症の予備軍ともいえる「軽度認知障害」(MCI;Mild Cognitive Impairment)を足し合わせると、実に3分の1に達します。(厚生労働省資料)

  認知症はもはや誰でもかかり得るものです。そして、自覚の無いまま家族や周囲を巻き込んでしまうという面で、極めて社会的な課題でもあります。予防、早期発見、治療の各段階について国を挙げて対策を打つことが急がれます。

 

 予防は特に大事です。国立研究開発法人長寿医療研究センターの島田裕之先生(予防老年学研究部長)によると、いくつか方法があるようです。興味深いのは、運動による効果です。例えばウォーキングについて、単に歩くだけでなく頭の中で計算しながら行うと脳が一層活性化されるようです。

 そのほか、料理(同時に複数のタスクをこなすもの)、多品目にわたる食事も効果的なようです。軽度認知障害(MCI)の段階であれば、これらの取組みによって元の状態に戻ることも期待できます。

 日常の行動パターンをAI(人工知能)に読み込ませて、こうした行動をその都度ナッジ(肘つきで促す)してくれるしくみがあると便利ですね。まさに日常活動の中で簡単にできる予防ガイドです。

 

 次に早期発見ですが、これは大きな課題です。まず自分では気づきにくいです。「おかしいな」と感じても、「まさかね」と否定してしまう自分も存在するはずです。恥ずかしさも手伝うことでしょう。そうこうしているうちに周囲が気付いた時には症状が進行して手遅れになっているということも考えられます。

 もはや「国民病」ですから発想を変えて、がん検診のように、一定年齢以上になれば認知症検診を受けることとしてはどうでしょう。オレオレ詐欺などに引っかかって被害を受けたり(アルツハイマー認知症の方の家族における一世帯当平均経済被害額は500万円を超えるそうです。)、交通事故などで人を傷つける事態につながったりするおそれがあることを考えれば、いっそのこと義務化すべきです。そして、早めに治療やケアにつなげていくのです。

 

 最後に治療ですが、治療薬はまだ完成していません。開発を待つ一方、当面は病状の進行をできる限り遅らせることが重要です。手立ての一つとして「就労」が挙げられます。厚生労働省は2018年7月、認知症の人が有償ボランティアに参加することを認めました。これはこれで評価できます。しかし、中途半端感があります。もっと思い切って、普通に就労することを推奨すべきです

  「スラムダンク」というバスケットボールをモチーフにした有名な漫画があります。この中で、監督が主人公に対して、君がオフェンスリバウンドを取れればマイナス2点のところがプラス2点になる、すなわち4点も追い上げることができる、と鼓舞する場面があります。

 

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 そうです。何もしなければ貴重な人材のロスになるところを、就労の機会を設けることにより病状の進行を遅らせることができればむしろプラスに転じるのです。そういう発想が必要です。

 

 ケアについても工夫が考えられます。ケアは複雑な要素や工程の組み合わせから成ります。一人一人、その時々の状況に合ったケアのあり方や家庭・職場の環境整備等を加味しようとするともはや人の手に負えるものではありません。AIの力を借りて、トータル・ケアのあり方を提案してもらうことを考えるべきです。さらに、AIとロボットを融合した「スマートスピーカーロボ(スマスピロボ)」なら、24時間の対応も可能です。病状の進行を防ぎながら、適切なサポートをしてくれることでしょう。

 

 ソシエッタです。

 前々回に話題にした「孤独社会」に通じるところがありますね。人とのつながりが無いと人間はきっと堪えられないのでしょう。

 

 ソシエッタさん、そのとおりです。共通する課題と言えそうです。

  世界に類をみない高齢化が進展する日本で、ハイテク産業の導入が認知症の分野で実証的に成功するとなれば、今後、人口構造的に追随する他のアジア諸国にもそのコンテンツを配信することができます。認知症対応社会のしくみづくりへの投資は、私たち一人一人の尊厳を保つものでもあり、また、世の中への貢献が大いに期待できるものでもあります