日本の医療水準を下げないためにはAI医療の推進が鍵!

2019年1月21日(月)

 ハルです。今年もよろしくお願いします。

 

 AIを利用した医療の進歩には目覚ましいものがあります。診断についてはIBMの「ワトソン」がすでに有名です。ここへきて、イギリスの医療系スタートアップ、バビロン・ヘルスが開発したAI(人工知能)の医療診断レベルは実際の医師のレベルを超えようとしており、注目されています。(Newsweek2018.11.20)

 

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山田胡瓜「AIの遺伝子」(秋田書店

 

 少なくとも病理診断のレベルは向上しています。使われているのは、ディープラーニングによる「たたみこみニューラルネットワーク(CNN)」と呼ばれる情報処理システムです。

 また、ケアについてもAIが面倒を見てくれます。例えば糖尿病のような長期間のケアが必要な疾患については、AIの利用により治療成績が良くなっています。医療費の削減にも貢献します。

 AIによる診断やケアもそうですが、新しい情報テクノロジーの活用に際しては、個々の患者情報やデータベースの取扱いに対する不安の声が挙がるのが常です。しかし、こうした問題にはブロックチェーンの技術が活用できるそうです。

 

 AIがどんどん学習することで、診断やケアのレベルがさらに向上することが期待できます。現在、医療サービスの提供は医師が中心となって行われていますが、これからの医師の関わりは、最終診断(AIは予備的診断を行う。)、ケアの状態のチェック、手術等の治療分野に集約できそうです。その結果、医師の頭脳や浮いた医療費といった貴重な資源を治療研究分野に充てることができます。そうなれば、日本の医療の水準はさらに向上していくという「正のスパイラル」をもたらします

 

 2018年11月、国立研究開発法人国際医療研究センター(東京都新宿区)が、糖尿病の発症リスク予測ソフトを開発してサイトに公開しました。当初は「未承認の医療機器に当たるのでは」と厚生労働省から指摘を受けたようですが、精査の結果問題ないとしてデータ利用の再開が認められたようです。

 これを契機として、厚生労働省自らが先頭に立って、様々な疾病の診断補助ツールを開発することが期待されます。全国の医療機関に開発の具体的手順を示し、共同研究を実施してもらう仕組みづくりなんかが考えられます。依然として地域で叫ばれている医師の不足にも応えていけるでしょう。

  

 私はレーブ。

 以前、落合陽一氏の発言を紹介したと思う。落合氏は技術の活用に積極的でない者の姿勢を批判して、これを「無言の敗北」と断じた。そのような風潮をこれからの数年で日本から無くしたいとも言っていた。

 

 ハルです。とにかく実行フェーズに移していくべきです。この手の話はスピードが命です。もちろん、医療分野におけるAIの活用には個人情報の取扱いや法的問題などクリアしなければいけない課題があるでしょう。しかし、将来世代のためにも「案ずるより産むが易し」の姿勢が大切です。落合氏の言うように、医療界だけでなく日本全体を覆っている停滞感を打破することを私たち現役世代はもっと意識すべきでしょう

 

 高齢化先進国の日本にとって、医療のアルゴリズムやソフトウェアは産業面で大逆転できる可能性を秘めています。こうした分野はお隣の中国や韓国が強くなっていきそうです。中国の東南アジア諸国への投資も気になります。

 日本がもたもたしているうちに、いつの間にか、医療技術の面で周辺アジア諸国に抜かれているってことがないよう、今から危機感を持つことが重要です