20XX年宇宙の旅はもうすぐそこ。「新世界」創出のチャンス!

2019年2月25日(月)

 トランだ。久しぶりだな。

 

 2月22日に宇宙探査機「はやぶさ2」が地球から3億キロ以上も離れた小惑星リュウグウに着地したみたいだな。試料も採取したようだし、今後の解析が楽しみだぜ。宇宙がまた一段近くなった気がするな!

 

 最近の宇宙ビジネスはすごいぜ。未知の世界は地球にもまだまだあるが、宇宙はまさしく「新世界」だ。関係者のフロンティア精神を掻き立てるぜ。

 火付け役はアメリカの方針転換だ。これまで国直々に宇宙関連事業を行っていたが、2010年の「新国家宇宙政策」で商業化が推進されることになった。アマゾンやイーロン・マスク率いる「スペースX」が参入しているって話くらいは聞いたことあるんじゃないか?

 ヨーロッパ諸国や中国でもベンチャー企業への支援が盛んだ。今や、宇宙ビジネス市場は世界で30兆円を超える規模なんだぜ(大貫美鈴「宇宙ビジネスの衝撃」ダイヤモンド社)。さらに今後の拡大も見込まれている。

 

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 宇宙ビジネスはざっくり3つに分けられる。

 一つ目は宇宙旅行だ。いくつか種類があるようだが、最も実現する可能性が高いのが「サブオービタル(準軌道)旅行」ってやつだ。地球の大気と宇宙の境目である高度100キロ超の世界へ飛んでいく弾丸旅行で、飛行機型のものやロケットに搭載したカプセルに乗り込むんだぜ。(Asahi Shimbun Weekley AERA 2019.1.14)

 宇宙から地球を眺めたり、4分間の無重力を体験したりするってのは楽しいだろうな。想像しただけでワクワクするぜ。価格は1席2千万円台とちょっとお高いんだが、早ければ2019年中にも商業運航が始まるらしい、ってんで予約殺到だ。

 

 二つ目は製造・研究開発だ。素材開発が一番手だな。半導体で使われているガリウムヒ素という物質も無重力状態で作ると全く違う性質になるらしいぜ。創薬も期待できるぜ。ロシアではバイオ3Dプリンターを使った再生医療研究を、アメリカでは難病の医薬品開発を進めているって話だ。宇宙での研究開発は地上でやるのとは随分勝手が違うんだろうな。

 

 そして、三つ目は地球のチェックだ。リモートセンシングという技術で宇宙から情報収集だ。すでに気象情報やカーナビなどでおなじみだろうけど、多数の超小型人工衛星がキャッチしたデータをつなぎ合わせて時間的に連続性のある情報にすればダイナミックに状況を把握できるぜ。大規模な山火事がリアルに分かれば地上での消火活動も効果的になるだろう。タイムラグの無い交通量情報なら渋滞を確実に避けられるよう自動運転に連動することも可能だ。宇宙とのコネクテッドカー誕生だぜ! 

 これらの取組みを進めれば、宇宙だけでなく地球上のビジネスを活性化することにもつながってくる。地球も巻き込んでの「新世界」創出だ。

 

 ただ手放しでは喜べないな。課題だってある。一つは所有権の問題だ。今年1月3日、中国の無人探査機が世界で初めて月の裏側に着陸したっていうニュースを聞いたが、月に豊富にあるレアアースや、核融合への応用が期待される「ヘリウム3」の獲得合戦に火がつくだろうな。アメリカの場合は、国民に宇宙資源の所有や利用を認める世界初の法律を作ってるんだぜ。みんながこんな調子で宇宙資源の所有権を主張していくことになったら絶対もめるよな。収拾がつかなくなる前に早急に整理すべきだ。(石田真康「宇宙ビジネス入門」日経BP)

 

 もう一つの課題は宇宙汚染だ。宇宙デブリが飛行中のロケットにぶつかれば被害は甚大になる。恐ろしくって、とても宇宙旅行なんてできないぜ。日本はデブリ除去衛星の打ち上げを計画しているようだが、金がかかる。除去費用については大勢の関係者による基金でも作って対処すべきだ。

 

 宇宙空間はどの国のものでもない。宇宙法や宇宙条約があるが、往々にして国際法ってのは実効性が問題になるな。今後、国連の宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)でいろんな議論をしていくらしいが、宇宙ビジネスが拡大を見せている今こそ、国際法の考え方を浸透させるビッグチャンスだ。各国による「無軌道」な宇宙開発がなされないよう、世界をまとめて、それこそ「新世界」にふさわしいビッグな議論を進めようぜ

 

 

【運用中の人工衛星の数(2015年12月)】(Viewpoint Opinion & Column)

 米国   494

 中国   163

 ロシア  144

 日本    70

 インド   37

 カナダ   28

 ドイツ   24

 フランス  21

 英国    21