プログラミング教育。開発する能力とは?

2019年5月6日(月)

 エディカです。

 

 長かった10連休も今日で終わりね。頭を切り替えなくちゃ。ヒトってこれが面倒なのよね!

 

 2020年度に小学校でプログラミング教育が必修化されるわ。「プログラミング」は、問題を設定・分析し、その解決策を考えて実行に移す活動の全体を言うの。「なんだかすごいことになりそう!」って感じがするわね。

 

 でも、目的はプログラミング「技術」の習得じゃあないのよ。

 文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」(平成28年6月16日)にあるように、時代を超えて普遍的に求められる力として「プログラミング的思考」などを育むことがねらいなの。つまり、「技術」ではなくって、論理的思考、問題解決能力、創造力が大事ってことね。

 

 中学校ではすでに「技術・家庭科」でプログラミング教育が必修化(2012年度~)されているわ。さらに、2020年度より大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」でもプログラミング等の情報科目の導入が検討されているみたい。私たちが成長していくあらゆる段階において、プログラミングが採用されているのよ。

 

 子ども向けのプログラミングスクールも増えてるわ。2013年に750教室だったのが2018年には4,457教室と5年間で6倍よ!(石嶋洋平「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」あさ出版

 

 背景には、先の見えない世の中で日本が経済成長を続けられるかっていう不安があるように思えるわ

 ITスキル標準(1~7段階)の国際比較によると、米国4.05、インド3.90、中国3.58に対して日本は3.17と見劣りするわ(岡嶋裕史「プログラミング教育はいらない」光文社新書)。さらに、経済産業省によると、国内のIT人材の供給が2019年をピークに減少し、2030年には40~80万人も不足するみたい。

 これから日本の産業がハードウェアからソフトウェアの開発へ、コンテンツ産業へとシフトしようとしている中でこの状況はキツイ・・・・・・・わね!

 

 だから、私も方向性には賛成よ。世界を見渡してみると、初等教育の段階からプログラミング教育を採り入れている国が増えてきてるし・・・・・・・。でも、いくつか疑問もあるの。

 

 1つは、プログラミングを学ぶ中で身に付くとされる論理的思考能力、問題解決能力、プロジェクトマネジメント能力、コミュニケーション能力のことなんだけど、これってこれまでの人たちに足りなかったのかしら?

 プログラミング教育はSTEM教育(科学、技術、工学、数学のそれぞれを関連付け、横断的・体系的に学ぶこと)を実践的に行えるものという触れ込みのようだけど、これらの科目は既に今の教育カリキュラムにあるわ。結局、大学でSTEM分野を専攻する学生の割合は諸外国と比べて低くなるみたいだけど・・・・・(ジム・ロジャーズ「お金の流れで読む 日本と世界の未来」PHP新書)。プログラミング教育じゃなきゃ養えない能力って何なのかしら

 

 OECDの国際成人力調査のうち「ITを活用した問題解決能力」(2013)については、23の対象国・地域の中で日本人の平均値はトップの成績よ。それに、日本は世界に冠たるゲーム王国よ。これまでも創造性あふれる人材を多く輩出してきたわ。(電ファミニコゲーマー編集部「ゲームの企画書①」角川新書)

 ITやAIと同様、流行り言葉のように「プログラミング」って言われるけど、本当に何が重要なのかは確認しておきたいわね。エンジニアなどのIT人材を育成したいのなら、はっきりと国家戦略をそうすべきよ。 

 

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 次の疑問は、ITやAIが今後発展していけば、プログラミング自体もヒトじゃなくてこうしたテクノロジーにとって代わられるのかも、ということね。だってプログラミングって論理的で言語文法もしっかりしているんでしょう。機械学習におあつらえ向きじゃない。プログラミング教育のかなりの部分が無駄に終わるんじゃないかしら?

 むしろ、ヒトとしての強みを活かす教育を怠らないことね。斬新な発想、柔軟性、多様性、言語では表現しにくいアートな感覚・・・・・・・こうした素養を修得することを忘れちゃだめよ!

 

 最後に、デジタル関連情報格差デジタルデバイドの問題ね。格差が生じることはどうしても避けられないわ。せめて格差をできる限り小さくすることが大事ね。そうしないと新しいテクノロジーに対してことごとく抵抗感しか感じない人を多く作り出すことになるわ。SF映画でもよくあるわね。映画の中では、たいていそういう人たちって政府の圧政に苦しんでいる貧しい層の人たちだったりするけど・・・・・。

 

 現代もこれからも情報システムを全く使わずにできる業務なんて無いわ。でも、猫も杓子も「プログラミング教育」じゃあなくて、確かな戦略眼が必要よ。そして、より大事なのは、一つの価値観でみんな一斉に同じことを行うのではなく、一人一人が持っている能力を引き出せるような「パーソナライズ化」された教育を行うことね。それこそテクノロジーをフル活用して。(ジョン・カウチら「Appleのデジタル教育」かんき出版)

 いっそのこと、そんなカリキュラムを作ってくれるプログラミングが欲しいってとこかしら!?

 

 

初等教育でプログラミング教育を必修化している国の例】

(石嶋洋平「子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育」あさ出版

 

国      必修化年

ハンガリー   2003年

ロシア     2009年

イギリス    2014年  

オーストラリア 2015年

フィンランド  2016年