老後は2000万円必要?さあ、人生設計の「学び」をはじめよう!

2019年8月5日(月)

 は~い、フィナよ。

 

 「老後2000万円」問題は波紋を呼んだわ金融庁の審議会が「夫婦そろって65歳から30年間生きると、老後資金が総額2000万円不足する」との試算を発表したの。さすがに「2000万円も必要なの?無理~!!」って思ったわ?

 

炎上する「老後2000万円」報告書問題、最悪なのは麻生大臣だ

 

 ホリエモンこと堀江貴文氏ならこう言うでしょうね。「将来のことを気にしてどうすんの。『貯金信仰』はさっさと捨てて、使うべきお金は今からでも使うべき」ってね。(堀江貴文「あり金は全部使え」マガジンハウス)

 でも、世の中は堀江氏みたいに有能な人ばかりじゃないわ。彼は「移動はケチらずタクシーを使え」ってその効用を説いているけど、本当にみんながタクシーを使いだしたら道路は大渋滞ね。かえって効用を下げるんじゃない?

 世の中全体のバランスからいえば、「2000万円必要ですよ~」って言われて不安を感じる人が大半でしょうね。

 

 金額の話に戻るけど、総務省の「高齢夫婦無職世帯の家計収支(家計調査)」(2017)によれば、老後は月5万4,519円不足していることになるから、2人で30年生きるとすれば1,962万6,840円、ざっと2,000万円不足することになるの。 

 フィナンシャルプランナーも同様の計算をしているわ。サラリーマン家庭の退職後の生活費を現役時代の平均手取り年収の60%と仮定すると、

・年収が600万円だと生活費は360万円(月30万円)

・年収が300万円だと生活費は180万円(月15万円)

という計算になるわ。どう、イメージできる?

 

 これに対して年金については平均手取り年収の40%程度とすると、

・年収が600万円だと年金は240万円(月20万円)

・年収が300万円だと年金は120万円(月10万円)

になるわ。(中村芳子「50代のいま、やっておくべきお金のこと」ダイヤモンド社

 政府が公表している標準年金額は夫婦で月約22万円(2018年1月)だから、大体合っているわね。 

 以上の計算によると、両者の差額は月5万~10万円の不足になるわ。不安を煽りたいわけじゃないけれど、「2000万円」じゃあ足りないかもよ

 

 日本の年金制度はこれからの超高齢化社会に追いつけていないわね。支払いを約束している年金額は1000兆円以上。そのために積み立てているお金はわずか160兆円ほど。全然足りないじゃない。年金制度、本当に大丈夫?

 

 もし、危ないとなると以下の方策がとられるわね。

 ①保険料を上げる。②給付額を減らす。③支給開始年齢を、65歳からさらに引き上げる。(現状では、男性は2025年、女性は2030年に完全に65歳になる。)④公的年金の加入者を増やす。 

 別の手立てとして税金で賄うことも想定されるわね。今の国庫負担は半分だけど、その割合を2/3~3/4に引き上げる可能性が考えられるわ。荻原博子「年金だけでも暮らせます」PHP新書) 

 

 いずれにしても、制度をよ~く知った上で自分の人生を設計することね。堀江氏も言ってるわ。「何をしたいのか、自分へ問い合わせをしろ」ってね。

 人によっては、75歳くらいまでは貯金を使わない程度に稼ぎながら楽しく働いて、そこからは貯金を使って生活しようって思い描いているかも。私はさっさとリタイアして元気なうちに世界旅行したいわ。その体験をもとにアルバイトできないかしら。

 

 「ねんきん定期便」でもらえる年金の見込み額が分かるわ。数字で具体的に示してくれるから老後の設計をイメージしやすいわね。でも、準備自体はもっと早くからしておきたいわ。

 年をとると医療や介護が不安要素ね。介護で実際にかかる費用は1人約547万円。医療費のほうは100~150万円ってとこかしら。2人合計で1,300~1,400万円は用意しておきたいわね。

 使うことを減らす努力も大事ね。「慣れ」ってこわいわ。稼ぎまくっていたはずの芸能人や資産家が破産したって話を聞くと不思議に思うけど、きっと一度体で覚えた生活スタイルを変えられなくなってしまうのね。

 日本と同じ経済大国ドイツでは1年間の平均可処分所得が290万円みたい。でも、過剰サービスを減らして生活コストを抑える、外見よりも中身が大事、という割り切りがあるから、お金をかけなくても「ゆとり」のある生活が送れているらしいわ。参考にしてもいいかもよ。(熊谷徹「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が『豊か』なのか」青春出版社

  

 お金のことは考え出すときりがないし大変よ。でもとても大事。だから、人生設計の方法を学ぶ機会を設けるべきね

 学校では、基礎的なレベルの学習でいいわ。社会保障制度の内容や税金の必要性を学んでもらうの。そして、成人してからは、世代ごとに「学び」の機会をつくるの。公民館に社会保険事務所の人たちに来てもらい、生活に役立つ制度の話や生活上の工夫なんか話してもらうの。家計相談があると有効かもよ。

 政府も単に不安を煽って「自助努力」を求めるのではなく、自分でちゃんと考えてもらえるよう、世の中の仕組みや将来の見通しについて理解を求める「努力」が必要よ