オープンスカイで人材も世界に向けて開放せよ!

2019年8月26日(月)

 トランだ。

 

 この夏、帰省やら旅行やらで飛行機を使った人もいるんじゃないか。しかし、飛行機の運賃ってまだまだ高いな。こんな状態では日本は世界の波から取り残されるぜ。

 

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 今、国際的に観光ブームだ。一役買っているのは航空自由化だ。鏑矢となったのは1990年代のアメリカの「オープンスカイ」政策だ。規制を撤廃することによって国内であふれかえった「自由化」の波動を、今度は政府が海外に向けて放ったんだぜ。

 欧州では防波堤として域内の自由化と各国間で協定を進めていった。中国や中東は積極参入を図っていて国際航空市場は急速に膨らんでいる。このように世界レベルで見てみると航空自由化は多極化している。

(柴田伊冊「航空のゆくえ」ちくま新書

 

 そんな中、LCC(Low Cost Carrier)が航空業界に運賃の価格破壊をもたらしたLCCのビジネスモデルは斬新だ。

 ①余計なサービスをしない代わりに価格低下を徹底する。

 ②着陸から離陸までの整備を短時間で行い、稼働率を上げる。

 ③コンピュータを駆使して売れ残りそうな座席を正確にはじき出し、運賃を柔軟に設定する。

 

 これらの取組みはまさにイノベーションだ。利用者のライフスタイルさえ変えてしまうんだぜ。週末にイギリスからフランスに飛んで行ってオペラ観劇をしたり、医療費の安いポーランドに行って歯の治療をしたりする人もいる。日常生活をより快適に過ごすため、空をフルで活用することが当たり前のようになっていくぜ。

(杉浦一機「日本の空はこう変わる」交通新聞社新書)

 

 ひるがえって日本はどうだ。この波についていけるのだろうか、現状を見るとお寒いぜ。

 日本におけるビッグキャリアと言えばJALANAのツートップだ。当然、彼らの既得権益は大きい。自由化の波には極力抵抗したいところだろう。さらに、日本の狭い国土では新幹線と競合してしまう。価格面で相当「おいしさ」を提供できないと太刀打ちできないぜ

 

 「オープンスカイ協定」は2012年時点で145か国と世界の73%にのぼる。その中でLCCが世界を席巻し始めている。アジア地域におけるシェアは58%だ(座席キロベース。2016年1月国土交通省資料)。中国だけでなく、インド、インドネシアでの伸びも著しい。LCCを世に生み出した本家アメリカにおいても大手航空会社のシェアは低下傾向にある。

 一方で日本はこれまで消極的な姿勢をとってきたこともあって、国内シェアはようやく約3割って状況に過ぎない(国土交通省「国際線就航状況2018年夏期」)。

 

 2007年、第一次安倍政権下で「アジア・ゲートウェイ構想」を発表して「オープンスカイ」を進めようとした。しかし、羽田と成田、関空・伊丹・神戸といった拠点地ごとに綱引き合戦をするなど空港整備戦略にはまずさが見られる。そうこうしているうちに、成長著しい中国やアジアの他の国にハブ空港の座を取られてしまうぜ。中国では実に100単位の数で空港を整備しようとしているらしい。

 インバウンドを推し進めたいところだが、観光地だけ整備していても駄目だぜ。日本に来てもらいやすい航空インフラを整えておかなくちゃ話にならないぜ。 

 

 日本人が世界に打って出るという視点も欲しいところだ。幕末から明治時代にかけて、国内の優秀な人材が諸外国を視察した。そして、先進国の文化に触れ、カルチャーショックを受けつつも、日本の国益を守るため欧米諸国のキャッチアップに邁進した。

 今、日本では人口減少や高齢化で元気がない。「まあまあ」でよしとする雰囲気が漂っている。若者の国内引きこもりも指摘されている。苦労して海外留学するなどリスクを取らなくても、外国のことなんか知らなくても、国内で「まあまあ」の生活を営むことができるもんな。「蹴り」を入れてやりたくなるぜ!

 

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 これでは、国際的な動きやよその国の文化、考え方といったものを肌感覚で感じることはできない。韓国と喧嘩する以前の話だぜ。

 国内人材の資質の底上げのためにも外に出ていきやすくなるよう心理的ハードルを下げておきたい。そのためにも航空インフラの拡充は大事だ。

 「オープンスカイ」を通じて、今こそ、「オープンパーソン」という人材戦略を取るべきだぜ!  

 

 

【訪日客の国籍別LCC利用率(平成28年1-9月期調査)】(観光庁

韓国      60.6%

フィリピン   53.2%

マレーシア   34.2%

タイ      32.4%

台湾      23.0%

香港      20.5%

全国籍・地域  24.7%