2019年12月30日
フィナよ。
今年も明日で終わりね。今年は何と言っても令和元年、そして、10月からの消費税増税がトピックスだったわ。
消費税増税がそれほど騒がれなかったのは、ゆるやかな措置がとられたことが大きいわ。具体的には軽減税率と「キャッシュレス・消費者還元事業」ね。後者は「ポイント還元」って言われてるわ。クレジットカードや電子マネーなどを使ってキャッスレスで支払いをした場合、決済金額の最大5%分がポイントとして還元される仕組みよ。増税による消費の落ち込みを防ぐためにとられた政策ね。(週刊東洋経済2019.11.9)
うまいこと考えたわ。キャッスレスを進めながら消費税増税をソフトランディングさせる・・・・一石二鳥ね。これを契機にキャッシュレスに移行した人もいるんじゃなくて?
でも、課題も残したわ。
まず、軽減税率についてはそれはそれで嬉しいことだけど、いったん導入しちゃうと次からも導入しなくてはならないわ。そんな調子で果たしてちゃんと税収を上げられるかのかしら?日本全体のことを考えると喜んではいられないわよ。
そして、もう一方のポイント還元のほうと言えば、①主な対象が中小・小規模事業者であること、②来年6月までという点が課題ね。
①についてだけれど、還元率は以下のとおりとなってるわ。
5%還元・・・中小小売店・個人経営の飲食店・宿泊施設など
2%還元・・・コンビニ・ファミリーレストランなど大手チェーン店
還元なし・・・百貨店などの大手小売りや住宅販売・車販売など
つまり、たくさん還元してもらおうと思ったら中小・小規模のお店を利用するのがいいってことになるの。中小企業にとっていいことのように思えるけれど問題があるわ。一つは、けっこう手間がかかるってことね。確かに現金の取扱いが減ると、レジ締めなどの現金の管理業務や釣り銭間違いが減るわ。でも、現金決済自体は無くならないからキャッスレスと同時並行して対応しなくてはならないのよ。そして、端末管理もしなくてはならないし、システムエラーへの対処も必要よ。チェーン店でない小さな事業者でどこまで対応できるかしら?
そして、②の6月までというのもいずれ効いてくるわね。経済産業省によると、11月1日時点の登録加盟店数は約64万店だったみたい。でも、審査に時間がかかっていて登録待ちのところも多いみたいよ。そうした業者からすれば受けられる恩恵の期間は短くなるでしょうね。(日経ビジネス2019.11.18)
さらに、7月になってポイント還元が無くなると消費者が離れていくでしょうね。普段使いしている店舗に戻ることが考えられるんじゃなくて。キャッシュレスのために投資した分に見合った収益を上げ続けられるかどうかは疑問よ。今回の政策に乗っかれるラッキーな事業所もあれば、そうでないところも出てくるでしょうね。
本来はスケールメリットを最大限活かすべきよ。中小規模の店舗を助けようとしたんでしょうけど、結局、税金を投入してちょっとの間だけ延命したにすぎない、ってことになるんじゃなくて。
そもそも、一時的とはいえ税率が軽くなるのは問題じゃないかしら。1000円の食品だと増税前は1080円だけど、10%となると1100円になるはずなの。ところが、5%も還元しちゃうと1045円にしかならないの。35円もお得なの!
こうした「還元」のために国は3000億円も用意しているってことだけれど、それって未来の人たちへの借金のつけかえよね。何のための増税か分からないわ。
消費税を小刻みに上げているのも日本だけみたい。増税するならもっと堂々とすべきよ。日本は1100兆円もの借金を抱えているの。8%から10%へ2%あげたくらいじゃ本当は焼け石に水よ。本来は消費税20%を目指すべきよ。ちまちまと軽減税率やポイント還元率で景気対策をやっている余裕はないはずよ。(大前研一「『国家の衰退』からいかに脱するか」小学館)
増税の正念場はむしろこれからね。国民に「忖度」している場合じゃないわ。うまく目先を変えてかわそうとする発想ではなく、「理解」を求めるという努力を誠心誠意行うべきよ。
そうはいってもみんなお得なものに流れちゃうわね。簡単にポイント還元の比較を挙げておくわ。6月まではめいっぱい活用してね。じゃあ、みなさん。よいお年を!
【6大「ペイ」比較】(「超得!スマホ決済まるわかり」コスミック出版)
ポイント基本還元率 利用可能店舗数
ペイペイ 1.5%~ 約150万店舗
LINEペイ 0.5~2% 約100万店舗
メルペイ 0% 約135万店舗
楽天ペイ 0% 約300万店舗
d払い 0.5%・1% 約100万店舗
オリガミペイ 利用時1~3%割引 約145万店舗