「性犯罪」の厳罰化に舵を切るべき!

2020年4月27日(月)

 ソシエッタです。

 

 最近は新型コロナウイルスのことで情報過多気味ですが、ちょっと前に、性犯罪に関する動きが国内外であったのを覚えておいででしょうか?

 

 3月12日、当時19歳の実の娘に性的暴行をしたとして罪に問われていた父親が、二審で懲役10年の判決を受けました。本件は一審の無罪判決が反響を呼び、性暴力に抗議する「フラワーデモ」が始まるきっかけの一つとなった事件です。

 また、3月20日、インドの首都ニューデリーで23歳の女性を集団暴行して殺害した男4人の死刑が執行されました。インドでは性犯罪の厳罰化が進んでいます。

 

 日本でもそろそろ厳罰化に大きく舵を切るべきではないでしょうか

 

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 性犯罪問題をつきつめて考えると次のことが言えそうです。

①性的行為は生殖行為という人間の営みでもあるため、行為自体を非難することが憚られる風潮がある。

②世の中の仕組みを担うのが主に男性であるため、男性による行為は同じ男性から大目にみられることが多い。その反面、女性の気持ちに沿った対応がなされていない。

 

 世界は変わろうとしています。1993年には国連総会で「女性に対する暴力撤廃宣言」が採択されました。1995年には「世界女性会議」(北京開催)において、女性に対するレイプ、セクハラなどを根絶することが宣言されました。スウェーデン、イギリス、ドイツ、米国の一部の州といった国・地域では、同意が無い性行為を「犯罪」とする法制度が実現しています

 

 日本も後れをとってはなりません。 

 取組の一つとして、女性の社会進出の促進が挙げられますスウェーデンでは警察内の女性比率は31%に上ります(2015年)。被害に遭った時、警察に相談すると思いますが、思い出したくないことを詳細に何度も説明しなくてはなりません。人形などを用いてリアルな描述が求められこともあります。男性警官相手にこんなこと・・・嫌なことだと思いません?

 そして、性犯罪の被害を警察に申告した事件の約6~7割が不起訴となっています。これでは、被害を訴えても無駄だと泣き寝入りすることにもなりかねません。男性側が性犯罪を犯しやすくなる構造につながっています。

 内閣府による「男女間における暴力に関する調査」(2017年度)では、無理やりに性交等をされた経験を持つ女性は「7.8%」ですが、実際の被害はもっと多いことでしょう。

伊藤和子「なぜ、それが無罪なのか!?ディスカヴァー携書) 

 

 警察に女性が多くなると事情が変わってきます男性による性犯罪にはより厳しい目が向けられます。そして、被害女性を守り、その主張を最大限に尊重しようとするでしょう。性犯罪被害者に対する社会の支援を行き渡らせていくという好循環を生み出すのです。日本の警察内の女性比率は8.1%です。もっと頑張らなくてはなりません。 

 

 警察だけではなく、社会全体で性犯罪に対する理解を深めていくことも大事です2019年の雇用機会均等法改正ではセクハラが議論に上がりましたが、罰則付き禁止規定は、経営者団体の強い反対により見送られることとなりました。日本における性交同意年齢は「13歳」と諸外国と比べて低年齢です。意識の面でも後れています。

 

 また、最もよく聞かれる性犯罪に「痴漢」が挙げられますが、痴漢を取り巻く状況にも、女性軽視の姿勢がみてとれます

 痴漢行為に関する法律は存在しません。多くは迷惑防止条例が適用されていますが、これも、1964年の東京オリンピックを「文化的法治国家の首都と紹介する絶好の機会」と捉え、東京都迷惑防止条例が施行されたことがきっかけです。そうです。「諸外国の目」を気にしたからなのです

 

 その後、各都道府県で条例が制定されましたが、比較可能な統計数値が存在せず、実態はつかみにくいです。大阪府警鉄道警察隊の調査(1995)によると、痴漢被害に遭って警察に被害届が出されたのは全体の1%程度とされています。平成30年版警察白書によると痴漢事件は3212件(2017)ですから、実際は30万件といったところでしょうか。相当な件数と言えそうです。

(牧野雅子「痴漢とはなにか」etc.books)

 

 漫画、雑誌、アダルトビデオなどといった日本のメディアやカルチャーにも性差別的な論調が蔓延しています。相手を思いやることのできるような正しい知識を伝え、社会全体が女性を軽視する風潮を許さないことが大切です。

 性犯罪には「厳罰」でもって臨むことを提案します。一刻も早く法整備を進めるべきです。こうしている間にも泣き寝入りする人がいることでしょう。一気に、なあなあの風潮を変えるのです。新型コロナウイルスの影響で「2020東京オリンピックパラリンピック」は延期となりましたが、この機会にぜひ、大いに「諸外国の目」を気にしてもらいたいです