2020年7月6日（月）
フィナよ～。
新型コロナウイルス感染症のおかげで海外旅行もできなくなったわ。去年行ったドイツ、オランダが懐かしいわ。2018年の日本のパスポート発行数は約430万冊で日本人の４人に１人がパスポートを持っているそうよ。そんな多くの人も同じ気持ちじゃなくて。
海外に行くと為替の動きは気になるわね。両替する時、「昨日は円高だったけど今日は円安で損したなぁ、昨日のうちにもっと両替しておけばよかった～」なんて経験無いかしら？
日本経済では「円安」のほうが自動車などの輸出が伸びてありがたがられる風潮があるけれど、「円安」だと輸入品は高くなっちゃうから消費者的には逆よね。
でも、そんな心配も無用になるのかしら。今、為替変動の幅が小さくなっているの。これには、わけがありそう。（小栗太「円相場の終わり」日経プレミアシリーズ）
一つは、グローバル化の進展ね。企業の活動が国境で線引きされる時代は終わったわ。日本企業も「ジャパン・バッシング」や「チャイナ・リスク」といった数々の逆境をくぐり抜けて生産拠点を海外に移してきたわ。
その結果、国内で上場する製造業のうち、海外生産を手掛けている企業の割合は2017年度時点で68.3％にも上るの。そして、海外「現地」生産を手がけている割合は22.9％になるわ。もちろんこれは日本企業に限ったことじゃないわ。「国境なきグローバル企業」にとっては、１つの国や地域の為替相場に業績を左右されなくなりつつあるわ。
もう一つは、貿易戦争ね。今、各国が自国の利益を追求して、経済の地域ブロック化が進められているわ。急先鋒はトランプ大統領率いるアメリカね。貿易赤字の解消と国内雇用を進めようとして、各国と衝突しまくっているわ。中国との貿易戦争は最たるものね。
世界が細分化されてネットワークでつながる現代では、国家間の「貿易」自体が意味をなさなくなってるものね。（長沼伸一郎「現代経済学の直観的方法」講談社）
貿易量が減ると、為替変動に及ぼす影響も小さくなるわ。国境なきグローバル企業にとってはとっくに為替リスクを最小限にしているから「どこ吹く風」って感じでしょうけど。
この流れは当分続くでしょうね。
さらに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、各国は国境を封鎖し、重要な医療用品の輸出を禁止したわね。本来、国際的協調をリードすべき国際機関であるＷＨＯ（世界保健機関）は、中国を弁護する事務局長への批判もあって面目を失ったわ。
これまで以上に人々は自分の住む「国家」を頼みにして、自らの安全と健康、福祉を求めることになるわ。（Wedge May 2020）
こうした「自国ひきこもり」の流れとは別に、国際社会はより平坦に、かつ、安定的になっていくでしょうね。低金利、低物価、低成長の「３低」がこれからの国際社会のニューノーマルになるわ。「３低」は現在の日本そのものだけれども、早晩、日本だけに留まらなくなるわ。
実際、各国も金融緩和をどれだけ進めても物価が上がらない現象「ジャパニフィケーション」に陥ってる。アメリカのＦＲＢ（連邦準備制度）だって政策金利を上げたかったところだけれど、他の先進国も金融緩和をどんどん進めて金利を下げている状況だから付き合わざるを得なかったの。アメリカだけ金利を上げているとドル高から抜け出せないから・・・。「金利なき世界」が徐々に到来しつつあるわ。
そして、世界は現在の日本と同様に人口の少子高齢化、高齢者の急増を目の当たりにするでしょうね。そうなると、消費活動も抑え気味になるし、成長の鈍化は避けられないわ。新興国にとっては残念だけれど、先進国へのキャッチアップスピードが早かった分、「黄金時代」を楽しむ期間は短くなるわね。
こうした世界の果てにあるのは、金融取引の世界統一かしら。手始めは国際通貨の創設ね。ドルを持っていることのうま味はなくなるわ。ユーロを作ったようにドルに代わる通貨ができないかしら。 イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は、複数の既存通貨を組み合わせた「合成覇権通貨（ＳＨＣ）」による新たな枠組みを提唱したわ。
タックス・ヘイブンへの対抗措置も欲しいわね。イギリス領ケイマン諸島のような租税回避地・低課税地域に拠点や子会社を移して活動するグローバル企業を対象に、しっかり徴税していくの。各国にとってもメリットが大きいはずよ。
いずれ、「為替相場」という言葉自体が死語になるかもね。
当面、海外旅行は無理でしょうけど、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いたら、円高や円安をそれほど気にせず旅行に行けそうね。それこそ、国際通貨が導入されれば両替自体が要らなくなるわ。そんな世界で気楽に旅行してみたいわね！
