男と女で見る夢は・・・やっぱり「背中合わせ」でしょ!

2020年8月31日(月)

 ソシエッタです。

 

 28日の安倍晋三首相の辞意表明は驚きました。お辛いこともあったでしょうが、森友・加計問題等の真相はどうなるのでしょう?

 世の中にスキャンダルは数多くありますが、最も多いのは男女関係に関することではないでしょうか。単純でもあり複雑でもあり、根源的な課題だと思います。

 

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 そもそも生物は「生殖」によって種を残すよう遺伝子に必要なプログラムがなされています。代表的なのは、勝者が交配の優先権を獲得する「同性間競争」と、配偶者に選ばれやすい要素が増える「異性による選り好み」です。

 こうした性選択に関する理論を様々な事がらに当てはめて考えてみると、人間の本質や社会で起こる対立について理解を深めることができます。(ジョン・ブロックマン「天才科学者はこう考える」ダイヤモンド社

 

 例えば、男性と女性とでは「性戦略」が異なります。

 女性は、妊娠・出産・子育てを考えると男性を受け容れることのコストは大変大きいです。男性を選択することに慎重になります。また、女性は暴力を嫌います。幼い子供の生命を守るため、仕返しのリスクを避けるよう進化したからです。

 男性は、より多くの子供をつくろうとします。性の欲望は多くの妊娠可能な女性に向きます。男性ホルモンとして知られるテストステロンは9歳から15歳までに20倍も増え、この状態が一貫して保たれます。そして、男性は仲間内での競争に打ち勝って、異性から生殖相手として認めてもらわなければなりません進化心理学者は、女性は経済的資源を持った男性と長期的な関係を望むことを発見しています。つまり、男性にとっては、集団の中で力を持ち、経済力を確保することが重要となります。

 

 遺伝子プログラムは社会の中における立ち回りにも影響します。男性は集団の中でトップを目指します(次の首相は誰になるでしょう?)。自分がどの集団に属しているかのアインデンティティが死活的に重要です。そして、集団内で競争します。必然的に、思考が暴力性を帯びることとなります。ほとんどの殺人が、男性が男性に対して行われることが物語っています。

 集団の中でトップを取ったら、今度は集団そのものを大きく、強くしていく必要があります。ある実験によると、男子集団は女子集団と比べて、集団内の役割分担が効率的に行われたとしています。

 

 逆に、女性は暴力を嫌います。表向きには序列を作りたがりません。女子たちが道幅一杯に横一列に並んで歩く光景を目にします。友達との絆や共感がより大切であり、集団の規模も限られてきます。このため、しばしば「仲間はずれ」が問題となります。(橘玲「女と男 なぜわかりあえないのか」文春新書)

 

 男性と女性はこうも違うのです。でも、いつまでも同じ状態が続くとは限りません。

 そもそも、ヒトは乱婚または一夫多妻から一夫一妻に進化したとされています。これは人類が栄え、コミュニティが形成され、無益な争いによって集団自体が全滅してしまわないようバランスが図られてきた結果と考えられます。

 集団内の争いが治まれば、次は他の集団との争いを減らしていくことが人類全体の存続にとって必要なステップになります。事実、世界の紛争は減少傾向にあります。アメリカの政治学ハンチントンによれば、多文明世界の中では勢力は分散し、大国間の戦争は起こりにくくなるそうです。(サミュエル・ハンチントン文明の衝突集英社文庫

 

 平和な世の中では、男性の持つ暴力性は「鳴り」をひそめます。男女平等や男女共同参画といった概念が主流になります。男性は女性に比べてハイリスク・ハイリターンを取る傾向がありますが、現代の仕事の大半はローリスクです。男性の持つ優位性は無くなりつつあります。むしろ、長期的な視点に立った平和維持のためには、「男性的ではないリーダーシップ」が求められる世の中かもしれません。 

 

 もっと言えば、男女差だけでなく、あらゆる性差(ジェンダーギャップ)が意味をなさなくなりつつあります。新型コロナウイルス感染症に対する「台湾モデル」が注目を浴びましたが、この中で見事な手腕を発揮した一人が、台湾のデジタル担当相である唐鳳(オードリー・タン)氏です。タン大臣はマスクの販売拠点における在庫を3分ごとに自動更新するマップや、インターネットでマスクを予約購入できる「Eマスク」システムを開発し、人々の不安を解消しました。そのタン大臣はトランスジェンダーです。(NEWSWEEK 2020.7.21)

 世の中が平和になるにつれて、多様な性が一層認められていくことでしょう。それは、男性的視点か女性的視点かというだけでなく、多様な物の見方を生み出していくことにつながります。ひょっとしたら、世の中を革新的に平和に導いていくのは、こうした人々かもしれません。