フードテックで「食の個人化」!でも、忘れてません?あの味を

2020年10月19日(月)

 フーディンだよ。

 

 新型コロナウイルス感染症のおかげで、外食代わりに出前を頼んだり自炊したりと、かえって「食」に対する関心が高まったんだな~。

 ところで、「フードテック」って言葉、知ってる?「食」にデジタル技術やバイオサイエンスなどが融合することで起こるイノベーションのことなんだな~。2025年までに世界で700兆円規模の市場になると見込まれている「注目株」なんだな~。(田中宏隆ら「フードテック革命」日経BP) 

 

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 フードテックの内容は、「食」の流れを分割して、①生産、②流通、③提供の3つに整理できるよ。 

 ①の生産については、AIなんかが活躍してくれそうだね。「クックパッド」などの便利なサイトはあるけれど、レシピで「強火で3分」とか「塩・こしょうをひとつまみ」とか言われても正直イメージしづらいんだな~。

 だから、デジタル技術で量を管理・調整してもらえると、レシピに忠実な料理ができるんだな~。さらに、レシピにバリエーションがあると「食」も豊かになるよ。IBMの「シェフワトソン」はレシピをパターン学習して新しい組み合わせを提案してくれるんだって。すごいよね~。

 

 ②の流通については、アメリカで、商品調達、店舗配置、顧客販売といった一連のプロセスをデジタル化・自動化していく「リテールテック」の動きが加速しているんだな~。

 また、「ウーバーイーツ」なんかは食事のデリバリーをスマホでやりとりする点で既に「フードテック」だけれど、デリバリーにかかる料金が高くなるという問題がある。そこで、注文客に指定された無人レストランやロッカーまで取りに来てもらうというピックアップ型サービスも注目されているよ。

 

 ③の提供については、新しいスタイルの自動販売機やフードロボットの活躍が期待されているよ。それから、「セントラルキッチン方式」も広がりつつあるんだな~。欧米では中小レストランのキャパシティーを補強するためのシェア型セントラルキッチンが造られているし、中国では新型コロナの教訓もあって、衛生面の観点から人を介さない自動化が進んでいるよ。

 「食」の廃棄ロスも問題だよね。これについても、農家で余ったフルーツを急速冷凍して提供したり、飲食店で余った料理を他の客が安く購入できるシステムができたりと工夫が図られているみたいなんだな~。あと肉食はコストが大きいから、今後は代替肉や代替プロテインの市場が成長していくだろうね。

 

 「フードテック」には、以上のように様々な技術や仕組みが導入されているんだけれど、最も注目したいのは「食の個人化」なんだな~。「食」に関する個人データを「見える化」して提供することができたら、みんなの満足度も上がるし、ビジネスモデルにもなるんだな~。

 

 「パーソナライズド・フード」と言われているけれど、個人の身体のデータを基に評価を行い、それに合わせた食材やレシピ、食事について情報提供するという統合サービスがもてはやされるだろうね。個人の嗜好に加えて、サイコメトリクス(心理統計解析)によって「食」に対する潜在意識やその時々の気持ちを分析して活用することも考えられるよ。

 例えば、普段からコレステロール値が高い人がレストランに入ると、その日の体調に合わせたお薦めメニューが注文用タブレットに表示されるとか、野菜の摂取量が減っている時にコンビニに入ると野菜たっぷり系のおかずの陳列棚が光って教えてくれるとか、イライラしている時にスマホをいじると気持ちを落ち着かせてくれるチョコレート菓子をスマホが案内してくれるとかいったサービスがあると面白いんだな~。

 

 でもあんまり「個人化」しちゃうってどうなんだろうね~。よく「同じ釜の飯を食った仲」なんて言い方があるけれど、同じものを食べることから生まれる連帯感って面もあるかもね。

 それに、「食」に対する好き嫌いが受け容れられすぎると、成長後、「我慢する」ってことがしづらくなるかもね。学校給食はそれぞれ想いがあるだろうけど、家では全く食べられないものが給食なら食べられるっていう不思議、無かった?おいらの場合は牛乳がそうだったな~。食事の際の「空気」って面白いもんだよね~。(藤原辰史「給食の歴史」岩波新書

 

 また、いくら個人データを追求しても難しいのは「おいしさ」の再現だろうね。「おいしさ」には味覚だけじゃなく嗅覚やその時の情態が関係してくる。ほら、初めて食べて「おいしい」って感動したけれど、久しぶりに同じものを食べたら案外そうでもなかったって経験ない?その時の気持ちや体調、置かれた状況によって味って変わるんだよね~。その意味では「おふくろの味」って再現不可能だろうね。記録も大事にしたいけれど、その時々の食の「記憶」をもっと大事にしておきたいんだな~。「食の個人化」を機会に、みんなも自分自身にとっての「食」って何か考えてみてはどう?