2020年11月30日(月)
トランだ。
ついにNTTが動いたな。来月、トラブル続きだったNTTドコモが東京証券取引所1部への上場が廃止となり、完全子会社化される。これからの動向に目が離せないぜ。
政府は、世界に取り残されないよう様々な面でデジタル化を推進している。押印廃止もその一環だ。そして、5Gが展開していく。だがはっきり言って、スマホ利用料金は高い。家計を助けることも必要だ。スマホ料金値下げはこの流れに沿うぜ。
結論から言うと、値下げは可能だ。
日本における家計に占める通信費の割合は3.7%とOECD加盟36か国中4番目に高い。通信費のうち8割は携帯電話料金と見ていいだろうから結構な支出だぜ。
よその国をみると、ドイツではMVNO(仮想移動体通信事業者)のシェアが5割近くになり、国内シェア首位のMNO(移動体通信事業者)の料金は3年間で71%も値下がりした。フランスでも新規事業者が既存事業者の半分以下の料金プランを投入したら、シェア首位の事業者が74%も料金値下げした。こんな話を聞くと、菅首相が言っていた「4割値下げ」も現実味を帯びてくるぜ。
知ってると思うが、日本の携帯市場ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクという3社のMNO(移動体通信事業者)が9割のシェアを占めている。新規参入のハードルも携帯会社間の乗換えのハードルも高く、競争原理が働いていない。
2019年5月に成立した改正電気通信事業法は、料金値下げに向けて違約金上限1000円、端末割引上限2万円のルールが定められた。さらに、これまでと全く異なる技術で大幅なコスト削減を図る楽天が第4のMNOとして乗り込んできた。どれほど料金値下げに結びつくか楽しみだぜ。(山田明「スマホ料金はなぜ高いのか」新潮新書)
しかし、もっと根本的な問題を考えたいぜ。それは周波数帯の活用だ。
700~800MHzの電波は、電波の回り込む性質のおかげで一つの携帯基地局でカバーできる範囲が広い。このため、「プラチナバンド」と呼ばれていて各社にとって垂涎(すいぜん)の的だ。しかし、実際は使われていない帯域が30チャンネル以上ある。
それと、高周波数帯はこれまであまり使われてこなかったため資源として余裕があり、特に注目が集まっているのが25~40GHz帯だ。基地局をたくさん作る必要が発生するが、利用しない手はないだろうな。
欧米ではプラチナバンドを既存の割当先から返却させて高周波や低周波の電波と組み合わせて多様な用途で戦略的に活用しようとしているんだぜ。
周波数帯の割当方法も課題だ。日本は先進国の中で唯一、「周波数オークション」を実施しておらず、「比較審査方式」と呼ばれる方法で、言わば行政主導で電波の割り当てを行ってきた。(岡嶋裕史「5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ」講談社BLUE BACKS)
競争が必要だ。「周波数オークション」を採用すべきだ。これについては、「電波の価格が高騰して電話料金に跳ね返ってくるのではないか?」という慎重論はあるだろう(吉川尚宏「『価格』を疑え」中公新書ラクレ)。しかし、貴重な資源である周波数帯が十分に活用されていないのも事実だ。
むしろ、法律によって落札金額を電話料金に反映させることを義務づけて、利用者の判断を仰いでもいいだろう。利用者としてはできる限り安いほうがありがたい。事業者同士で基地局を共有化するなど設備投資費の節約を促すことになるだろう。落札金額にも抑制がかかるはずだ。(エリック・A・ポズナーら「RADICAL MARKETS 脱・私有財産の世紀」東京経済新報社)
これで万事解決だろうか。いや、まだ解決しなくちゃならないことがある。5Gはおろか、既に6Gや7Gの声が聞かれる。大量のデータをスピーディに送ろうとすると、より高い周波数が必要となってくる。それは、数多くの基地局と電力を必要とする。本当にそこまで必要なのだろうか?
そもそも携帯電話は、無駄な通信をしないこと、データ量を抑えることが「文化」だった。ところがスマホは違う「文化」をもたらした。通信資源をどれだけ使おうがストレージを逼迫させようが利便性や利用者体験を優先させた。
今必要なのは、これらとは異なる「文化」を作ることだ。スマホの容量がどんどん高くなっていっているが、実際何に使っているのか?せっかくの高度な技術を余さず生産性向上に活用しているのだろうか。エンタメ系にどっぷりってとこじゃないか。
日本の4Gは世界有数の品質だ。大抵のサービスは十分楽しめるし、ネットワークにおいても接続率は世界1位だ(堀越功「官邸VS携帯大手」日経BP)。そろそろ、馬鹿みたいに増え続ける容量に制限をかけていこうぜ。そうすることによって、利用者の賢い利用を促すことも必要だ。今こそ問おうぜ、「スマートな利用の文化」を!