証券業界が磨きあげる「ダイヤモンド」!

2021年1月11日(月)

 フィナよ~。

 

 明けましておめでとう・・・って感じじゃないわね。

 新型コロナウイルス感染症が止まらない。日経平均株価は上昇傾向にあるけれど、7日の緊急事態宣言がどう影響するか心配だわ。一方で、「有事の金」という格言どおりに金相場は上がっているようね。

 

 同じように高価なものとしてダイヤモンドが挙げられるけれど、ダイヤモンドは金みたいに売れないの。でも高価でみんなが欲しがるからビジネスになる。そこで、ダイヤモンドを独占しようとデビアスという会社は、ロシアの大量生産、欧米によるトラスト法違反訴訟といった逆風に負けじと経営戦略を立て直したの。それまでずっと否定し続けていた「合成」ダイヤモンドを、「天然」ダイヤモンドと同じ「宝石」として使えるって認め、むしろ取り込むこととしたの。発想の転換ね!

(玉木俊明「ダイヤモンド欲望の世界史」日経プレミアシリーズ)

 

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 ここで言いたかったのは、経済環境は変化するものだから、それに応じた対応をしなくっちゃならないってこと。 今、証券業界が揺らいでいるわ。2019年に米国最大手の証券会社チャールズ・シュワブが売買手数料を無料にしたわ。日本の証券会社は、低金利政策のせいで利子で稼げず手数料収入に依存しているもんだから、まさに経営戦略の練り直しを迫られてるの。(浪川攻「証券会社がなくなる日」講談社現代新書) 

 

 証券会社がしなくちゃいけないのは、人々の声に耳を傾けることよ。主要証券21社の営業純収益は1兆9232億円。このうち約1割がネット専業6社によるもの。つまり、自ら気軽に資産運用したいという個人客が増えているの。

 これからの経済環境は一層厳しくなることが予想される。そうなると人々の「安全志向」はより強くなるでしょうね。こうしたニーズをちゃんと捉えていくべきよ。証券業界の市場規模は約3兆7千万円と金融業界全体の2%程度だから伸びしろはありそう。 

 顧客の人生設計を一緒に考え、「ゴール」に向けた資産運用を行っていくの。それこそ、米国のIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)は顧客にマーケットの見通しとかいった話はせず、フィナンシャルプランニングを提案しているそうよ。利益を上げることに血道をあげるのではなく、顧客の不安を和らげ、丁寧に対応しながら希望をかなえていくという姿勢が問われているの。

 

 こうした流れを踏まえつつ、さらにマーケットを大きくする工夫も必要ね。

 まずは、海外の株式も日本の証券取引所で取り扱えるようにすることね。国内市場がジリ貧だからこそ海外に目を向けることが大事よ。例えば、リスクの大きい新興国と先進国の株式とを組み合わせた商品なんか魅力的ね。

 次に、金融業界のコングロマリット化ね。日本では「スイープ」といって、銀行と証券会社のサービスを一元化して提供できる口座が作られているけれど、同じ系列会社間だけだから売れ行きは芳しくないわ。もっと自由に組み合わせることができたらいいんじゃない?そうしたら、みんなもっと資産運用に注目すると思うわ。 

 こうした取組を業界だけに任せておくのは難しいわ。関係省庁が一丸となって、金融業界を一つにまとめていくことが必要よ。そして、販売窓口は「銀行」、商品づくりは「証券」と機能分化を行うことによって、一層の効率化が期待できるわ。

 

 「効率」という意味では、証券会社がそれぞれ独自の取引システムをつくっていることもネックね。そもそも証券会社にとって、人件費とならんでシステムコストは経常コストとして大きいの。だから、これも国が主導して、日本証券業協会や全国証券取引所と一緒に「統一電子取引システム」をつくっていくべきよ菅首相が先頭になって、「デジタル庁」を設置していろんな手続きのオンライン化を進める流れがあるから、これに乗っかることが大切よ。(秋山謙一郎「証券業界の動向とカラクリがよ~くわかる本【第4版】」秀和システム

 

 最後に、人々の金融リテラシーを向上させることが大事ね。日本人はあんまりお金の話をしたがらないけど、これからの人生、国に頼り切ることは危ないわ。自分の頭で考えるクセをつけることが必要よ。

 そのためには、手始めに「投資」を行ってみてはどう?「金融」というものを学ぶインセンティブが大きく働くわ。仮に儲からなくても、世の中の仕組みや社会の動向を知ることができるわ。そうやって、常にアンテナを張って情報をキャッチするようにしておけば、その人の人生をより豊かにしてくれるはずよ。まさに、自己「投資」ね。

 こうした理念を証券業界全体で持たなくちゃね。「株」や「証券会社」と聞くとあまりよくないイメージを持つ人もいるかもしれないけれど、これからの実績づくりで180度、イメージを変えられるわ。それこそ磨きに磨いて、ダイヤモンドのように輝いてね!