「FIRE」で手に入れろ!早め早めの経済的自立

2021年3月15日(月)

 フィナよ~。

 

 もう年度末ね。定年退職する人も多いんじゃなくて。新型コロナウイルス感染症も治まりきらない中、送別会もあるかどうか微妙だし、・・・ちょっと寂しいわね。

 

 「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)ってご存知?早めに引退して経済的自立を果たそうという考え方なの。朝から晩までせっせと働いてストレスにさらされながら生きるライフスタイルを捨てて、倹約、倹約で貯蓄率を高め、リタイア後は投資によって暮らすことを目指すものよ。

 アメリカや欧州ではミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた人)を中心に、ブームになっているの。背景に格差拡大や雇用不安があるわ新型コロナウイルス感染症の影響でこうした動きが加速するでしょうね。(谷本真由美「世界のニュースを日本人は何も知らない2」ワニブックスPLUS新書)

 

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 「FIRE」が目指すのは「自分自身のセーフティネット」を作ること。もちろん、日本にはちゃんとした社会保障制度があって、医療保険、年金といった社会保険生活保護、生活困窮者自立支援制度といった公的扶助のしくみがあるわ。
 でも、こうした仕組みも、ちゃんと保険料を納めなければならなかったり、給付の際に適用される要件が厳しかったりと一定のハードルがあるわ。加えて、日本の財政事情も厳しいから、いつまでも約束されているとは言い難いし・・・。

 だからこそ、手っ取り早く、かつ、分かりやすく実践できる方法として「FIRE」が広く受け入れられているのね。

 

 ポイントは以下の3つ。

 まずは、モノの所有を減らすこと。もっと言えば「所有欲」を減らすことかしら。所有欲は消費活動には必要だけれど際限が無いわ。「ヘドニック・トレッドミル現象」といって、人は時間と共に新しい状況に慣れてしまい、幸福感は元の水準に戻っちゃうの。高価なネックレスを買ってしばらくは満足できていても、ふとお店のショーケースを覗くともっと高価なものが欲しくなるじゃない。いくら貯金しても足りなくなるわ。

 

 次のポイントは貯蓄ね。「FIRE」ではモノ減らしと併せて、幸せにしない基礎的支出を削るの。要は堂々とケチケチしましょうってこと。

 この理論の面白いところは、リタイアできるタイミングを決める唯一かつ最大の要因というのは、年収ではなく、年収をどれだけ貯蓄に回せるかという「貯蓄率」なのよ。収入に応じて生活に必要な支出も決まってくるから言えることなのね。

 だから、当然貯蓄率が低い場合はリタイアまでの年数は長くなるわ。例えば、貯蓄率が70%であればリタイアまでの年数は10年で済むけれども、貯蓄率が25%だと何も投資活動を行わなければリタイアまで60年(非現実的ね!)も覚悟しなくちゃならないの。

 

 そこで必要となるのが3つ目のポイントである「投資」と「副業」。会社勤めをしている人も自営業の人も、本業で稼ぐこととそれ以外の手法で稼ぐことを考えておくべきね。

 「投資」と聞くと身構える人も多いでしょうけれど、今ではネット証券も発達していて手軽に手続きを進めることができるようになったわ。もちろん、必ず得するというわけじゃあないわ。でも、投資信託にすればある程度は安定して元手を増やせるでしょうね。

 「副業」についても会社の理解がずいぶん進んできたわ。インターネットのおかげで、ちょっとした小遣い稼ぎが可能よ。引退する人はそれまでのキャリアを通して磨いてきた強力なスキルを利用すべきね。

(クリスティー・シェンら「FIRE 最強の早期リタイア術」ダイヤモンド社

 

 そして、こうした術を身に付けるにしても、お金に関する基礎的なことを知っておく必要があるわ

 日本では江戸時代からお金のことを口にするのはよくないとされてきたわ。江戸幕府は300諸侯が集まった大名の連合政権でしかなく、徳川家には徴税権はなかったの。それでも全国3000万石分の財政政策をすべて引き受ける必要があったから、「贅沢は敵」というスローガンを広めて「質素倹約」を勧めたのね。(上念司「経済で読み解く明治維新」KKベストセラーズ

 でも、今はそうも言ってられないわ。お金は生きていくために欠かせない「暮らしの道具」。金融リテラシーを若いうちから身に付けることが重要よ。(坂本綾子「お金の超基本」朝日新聞出版社)

 結婚や住宅購入などライフイベントを通じて勉強する機会はあるけど、不測の事態でも適切な行動をとれるよう、お金について理解を深めておくことが最強のセーフティネットになるわ。分かりやすい本も出ているし、学校教育やリカレンス教育などで学ぶ機会を設けることが大事ね。 

 経済的に自立するということは、好きなように人生をデザインするということ。自由を手に入れるためには、貪欲に「知る」という努力も必要よ。