相続サバイバルが始まった!

2021年5月17日(月)

 フィナよ~。

 

 「紀州ドン・ファン」の殺人容疑で元妻が逮捕されたわね。13億円を超えるとも言われる遺産を相続できるかは今後の判決次第ね。ところで、みんなは「相続」のこと、ちゃんと考えたことある?

 せいぜい、身内に不幸があったら勉強するという程度でしょう。明るくない将来のことを考えるのは脳にとってストレスだものね。

 

f:id:KyoMizushima:20210327214336j:plain

 

 しかも、「相続」と聞くと「トラブル」がつきものというイメージがあるわ。経済コメンテーターとして有名な森永卓郎氏も例外じゃなかったみたい。ご本人は長男だけれど、奥様が父親の介護を亡くなるまで担ってきた手前、金額を弟と折半という結論に至るまでは相当の葛藤があったようよ。「争続」なのよね~。(森永卓郎「相続地獄」光文社新書

 

 みんなもうすうす感じてるんじゃない?「考えておかなきゃ」って。

 日本は少子高齢化が進み、2024年には国民の3人に1人が65歳以上という「超・高齢者大国」になるわ。75歳以上も6人に1人。すると「多死社会」が追いかけてくるわ。2030年には160万人超の人が亡くなるの。さらに、世帯数も減少して空き家が増加中よ。2033年の空き家数は2167万戸、空き家率は30.4%にまで上昇する見込みよ。(河合雅司「未来の年表」講談社現代新書

 

 嫌でも「相続」のことを本気で考えなくちゃならないわ。手続きは複雑だけれど、ここでは基本となるポイントを3つだけ押さえておくわ。

 1点目は、葬儀から始まる流れの「全体像」を把握すること。「相続を放棄できる期限」は3か月以内、「相続税の申告」は相続発生の翌日から10か月以内と締切りがあるものは注意してね。

 流れは、①葬儀・法要、②社会保障関係や公共料金の手続き、そして、③相続関係の手続き、と大まかに整理できるわ。このうち、①は葬儀社に依頼すれば手続きを教えてくれるから楽よね。②まではとにかく早めに、遅くとも10日~14日以内には済ませておくこと。そして、いよいよ、③の相続関係の手続きに着手よ。 

 

 2点目は、「相続財産」全体を把握すること。これが割と手間かもね。土地・家屋といった不動産や自動車・家財道具など目に見えるものは分かりやすいわ。一方で、預貯金などオンラインでやりとりされているものは分かりにくいでしょうね。日頃から通帳やキャッシュカード、株取引書類の保管場所を決めておくなど、関係する金融機関の情報を共有しておくべきね。

 

 3点目は「相続人調査」。相続人を確定させるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せなくちゃならないわ。そして、遺言書が無い場合は・・・ていうか、遺言書が残されているのは全体の1割程度らしいけれど、相続人全員で遺産をどう分け合うかを決める「遺産分割協議」をしなくちゃならないの。ドラマでおなじみの「揉める」シーンね。制度も変わってきているから、書籍などで確認しておくことをお勧めするわ。

 (児島明日美ら「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」自由国民社

(相続サポートセンター「まんがでやさしく分かる失敗しない相続・贈与のすべて」コスミック出版)

 

 相続人同士の不要な争いを防止するためには遺言書を作成しておくことね。

 問題は認知症2025年には65歳以上の5人に1人である約730万人が認知症になると見込まれているの。認知症が進むと不要な支出が増えたりして、残すべき遺産も残せなくなるわ。同居家族の3割が何らかの経済的損失を受けているみたい。そして、生前贈与や遺言は当人の意思に基づくことが大原則だから、せっかく準備を進めていても無効となってしまうわ。遺言書保管制度で対応しておくか、発症後は成年後見制度、あるいは家族信託を活用する方法が想定されるわ。いずれにしても、早めの準備が必要ね。

(木下翔太郎「金融老年学の基本から学ぶ、認知症からあなたと家族の財産を守る方法」星海社新書)

 

 それにしても複雑な仕組み。もうちょっと何とかならないかしら。相続件数は増えるから、もっと手続きを簡便にすることが必要よ。そのためにも、「相続税」を確実かつ簡単に徴収できるようにすべきね

 相続税は税務署が最も力を入れていて、申告者の2~3割が税務調査を受けているにも関わらず、その8割以上は申告漏れ等で追徴税が課されているの。それでようやく2兆円の税収・・・全税収の3%よ。

 もう、面倒で非効率な申告納税方式ではなく、国や地方自治体が納入額を計算して通知する方式にすべきよ。例えば、故人が生前に利用した社会保障サービスのうち公費負担分を徴収対象として、残りは遺族で相続してもらうの。その分配の基本ルールも改めて示すべきね。こうすれば、頑張って稼いだ分を公平に子孫に残せるし、国や地方自治体の将来の公費負担分も確保できるわ。みんなが安心して「逝ける」よう、知恵を絞ってね。