進化系テレワークの極み、「人材革命」!

2021年8月16日(月)

 レーブだ。

 

 記録的な大雨が続いている。全国的に災害の危険性が高まっている。注意しなくてはならない。

 こんな時、テレワークは助かる。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、これまで遅々として進まなかった我が国のテレワークが広まった。今後、テレワークが技術的進化を遂げれば、必ずパラダイムシフトが起きる。しかし、それは、「働き方改革」という生易しいものではない

 

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 テレワークには、①自宅利用型、②モバイルワーク、③施設利用型(サテライトオフィス等の活用)の3類型が存在する。これに、「ワ―ケーション」を加える場合もある。インターネット接続大手のビッグローブは、全国屈指の温泉地、別府市に「ワ―ケーションスペース」を開設した。

 テレワークはメリットが大きい。まず何と言っても、通勤しなくてよい。満員電車や交通渋滞は苦行でしかない。さらに、人流は感染リスクを伴う。これらのストレスからの解放は大きい。

 人材も多様化も期待される。コミュニケーションに悩む発達障害の人にとって選択肢が増える。就労可能年齢を引き上げることもできる。妊娠後期、病気や怪我、障害などのハンディがあっても「退場」しなくてよい。育児・介護との両立もしやすくなる。

 そして、「職場」という呪縛から解き放たれる。ハラスメントを受ける機会も減る。仕事を行う環境を自分好みにアレンジできる。街中ではコワーキングスペースも増えてきた。住む場所の制約も受けなくなるだろう。それこそ、世界中の会社にだって働くことができる。

 

 長々と述べてきたがお気づきだろうか?実は、テレワークに向いている仕事というのは、「時間」や「空間」、そして「組織」を超越し、これらとは関係ないものとなる。その時、成果主義が基本となり、プロセスは重要でなくなる

 これこそがパラダイムシフトだ。つまり、個人の能力差がますます顕著になることを意味しているからだ。これまで、日本の会社は「メンバーシップ型」の雇用を採用していた。同じ場所で働くことによって、何をやればいいのか不明瞭でも、異なる能力を持つ仲間と一緒になって適宜判断し、動くことができた。しかし、テレワークは一人ひとりの力量をはっきりさせようとする。会社によるマネジメントは「ジョブ型」を前提とし、雇用システムも変わらざるを得なくなる。

 そして、会社が欲しいのはデジタル・スキルを持つ人材である。単にしがみついている人はお払い箱にしたい。彼らの退職時には、人材の「チェンジ」が容赦なく行われよう。最近、副業の経験が本業にプラスになるという理由で、副業に対してポジティブな空気が醸成されつつある。流れに乗って、能力を向上させ続ける「スーパー人材」が登場するだろう。「スーパー人材」の「内申書」が世の中に出回ることを覚悟しなければならない。それを元に彼らを巡る争奪戦が展開される。

 会社としても、「スーパー人材」を抱えていることは良い評判となる。一方、オンライン対応すらできない会社には優秀な人材が集まらなくなり、会社間格差までもが拡大する。(大内伸哉「誰のためのテレワーク?」明石書店) 

 

 実は、このような状態は社会全体から見ると危険である。能力の個人間格差は、経済格差に直結する。「ルールを守って真面目に頑張っているつもりでいても報われない」・・・そんな思いをする人が溢れ出てくる。社会不安が増すことになるだろう。また、「スーパー人材」が必ずしも特定の会社を成長させてくれるとは限らない。それは、国としても成長できるとは限らないことを意味する。

 

 では、どうすればいいか。それは、「スーパー人材」に頼らなくてもよいシステムをあちこちで実現させていくことだ。

 まず、誰もが使いやすいインターフェースが求められる。「参加型テレワーク」環境の整備が必要だ。AIによる行動援助があると便利だ。光熱費は誰が負担する?などといった細かいルールもインストールされていると良い。ついでにメンタル・サポートしてくれるテクノロジーも欲しい。外部との円滑なネットワークシステムやテレビ会議スペースの充実も必要だ。全てのやりとりが記録され、迅速に関係者間で共有される。情報保護はブロックチェーンの技術を使う。(サイボウズチームワーク総研「サイボウズ流テレワークの教科書」SOGOHOREI)

 テレワークとオフィスワークのバランシングも大事だ。周りに人がいないと駄目という者もいるだろう。異なる働き方の存在自体が緊張感を生むだろう。個人の働き方とそれによる成果を把握し、人材の「最適配置ポートフォリオ」を完成させるのだ。 

 テレワーク環境の整備によって、情報がつながり、会社の内外を問わない「知のコモンズ」が形成され、そこに参加する個人のさらなる成長をもたらす。進化系テレワークの果てにあるのは、まさに「人材革命」なのだ。