「家庭菜園」が育てる新たなフード・サプライチェーン!

2021年11月1日(月)

  フーディンだよ~。

 

 おいら、パンケーキが好きなんだけど、新型コロナウイルス感染症による最初の緊急事態宣言が出された時、お店からホットケーキミックスがすっかり無くなっちゃってて驚いたよ。今でこそ安心して買えるけど、おいらたちがどっぷり浸かっている食品のサプライチェーンに「弱点」があることをさらけ出しちゃったんだな~。もっと身近なところで「食」を確保する必要性を感じたよ。鍵は「農」だね。

 

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 日本だけでなく世界でもパンデミックの影響はあったみたいだよ。例えば、インドは欧米諸国にもスパイスを提供している主産地だけど、2020年3月、緊急措置で輸出を停止したんだ。ベトナムも国民への供給を優先して米の輸出を禁止した。こうした中、欧米では恒久的な自衛策として「家庭菜園」による自給が始まっているルーマニアでは栄養価がある野菜のタネが配布された。オーストラリアでは「タネの図書館」がオープンして、市民なら誰でもタネを借りることができ、収穫できたらそのタネを返却するんだって。(吉田太郎「コロナ後の食と農」築地書館

 

 もう一つ大事な点は、おいらたちがあまりにも「工業型農業」や「工場型畜産」に依存しすぎちゃっているってこと。ここで言う「工業型農業」とは大規模農業のことで、「工場型畜産」は狭い空間に詰め込まれ、病気の感染を防ぐため抗生物質を投与され続けた家畜から肉類等を生産することだよ。

 こうした人間中心の「食」の生産が、新型コロナウイルス感染症の流行を引き起こした「真犯人」じゃないかって疑われてるんだ。大量の農作物を効率よく作るためには大規模な「工業型農業」が必要となる。すると、小規模農業を営んでいる人たちはこれまで手つかずだった自然へと追いやられ、そこで未知のウイルスと遭遇し、感染のきっかけとなる。一方、「工場型畜産」によって密にかつ均質に育てられた家畜は、いざ抗生物質耐性菌にさらされると弱いもんだから「病気の貯蔵庫」と化してしまう。これまで問題となった鳥インフルエンザH5N1や豚インフルエンザH1N1は、こうした「工場型畜産」がルーツだと判明しているんだ。安くておいしいお肉を求めるおいらたちの欲望がブーメランになっておいらたちに跳ね返ってくるんだな~。ちなみに、今、からあげがブームだけど、日本に輸入されてくる鶏肉はブラジル産が74.6%、タイ産が22.7%で、これらの国では抗生物質が使用されている。過去には残留抗生物質が見つかったこともあるよ(女性セブン'21.9.9)

 こうした中、2020年、欧州委員会は2030年までに農薬と家畜用の抗生物質を半減し、有機農業の面積を現在の3倍に拡大して農地の10%を生け垣や野草の生息地へと戻すという「農場から食卓まで戦略」(F2F戦略)を発表したんだ。さらに、消費者の行動も変わりつつあるよ。有機農産物への需要が急増して、世界中でオーガニックブームが巻き起こっているんだ。1人当たりの年間有機農産物の消費額トップはスイスの3万2000円、次いでデンマークの2万3800円。じゃあ日本はどうかって?960円なんだって・・・寂しすぎるよね~。

 

 こうなったら、日本でも「農」を身近なところで進めるしかないんだな~。本格的な「農業」までは必要ないよ。ミニトマトやオクラなど自分の「食」の一部を賄えるレベルの「家庭菜園」がお薦めなんだな~。日本と同様に食料の輸入依存度が高いシンガポールでは新たに屋上農場が計画されている。ドイツのベルリンではアパートの室内でハーブや野菜を育てるプランタービジネスが新たに立ち上がった。

 日本の場合、耕作放棄地があるからこれを活用すればいいよ。その面積は2017年時点で約38万ha、東京ドームで言うと約8万個分。人口が減少して、さらに増える可能性もあるしね。この耕作放棄地を、自治体が「家庭菜園バンク」として無料で住民に貸し出せばいいんだな~。栽培方法はインターネットで調べてもいいんだけど、地域でしっかりした取組があれば自然とコミュニケーションが生まれるよ。そう、コミュニティが「耕され」ていくんだな~。もちろん、「家庭菜園」ビジネスにつながってもいいね。中国では最先端の有機農業を行いつつ、地方の全てをネット回線でつないで小規模な生産者を育てているよ。(井本喜久「ビジネスパーソンの新・兼業農家論」Cross Media Publishing)

 政府や市場のシステムに放置されている「穴」を補うにはコミュニティの復活が欠かせないとされている(ラグラム・ラジャン「第三の支柱」みすず書房)。だから、もしも「農」を通じたコミュニティを地域で作ることができれば、「食」だけでなく、「心理的安心」も得られるようになる。みんなの健康につながるんだな~。ぜひ、「ヘルシー・コミュニティ」を作ろうよ!