ポスト・コロナ市場は「女性」が支配する!?

2021年12月6日(月)

 コノミです。

 

 国内では新型コロナウイルス感染症は落ち着きを見せつつあります。オミクロン株の陽性者も出ましたが、まだ広がる様子は見られません。これもワクチンの効果でしょうか。

 いずれにしても、「待ってました」とばかり、経済対策の「のろし」が上がっています。「リベンジ消費」が本格化しそうです。内閣府GDP統計では、2020年の貯蓄率は前年の2.3%から大幅に上昇し、11.3%となっています。ここからどれくらいが消費に回るのでしょう?鍵を握るのは「女性」なんです

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 1年半以上に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響は社会の隅々に及びました。遠出や外食をできる限り控え、自宅近辺でエコ消費することに慣れました。供給側も、調理家電やボードゲームなど、「巣ごもり」を支えてくれる商品を市場に提供してくれました。

 2020年4月には就業者が大幅に減り、特に女性が割を食らいました。世界も同様の状況で、「シー(she)セッション・女性不況」と表現されています。一方で、医療や小売など、コロナ禍でもサービス提供を止めるわけにはいかない、いわゆる「エッセンシャルワーカー」には女性が多いです。彼女たちは、新型コロナウイルスへの感染リスクだけでなく、言われのない差別に対する不安やストレスにさらされました。女性の自殺者が増加したことは大変ショックでした。

 女性の復活への道を用意することが大切です。実は、「コロナ対人4業種」と呼ばれる、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業は、政府の資金繰り支援策が続けられました。苦境に陥った企業は多いと言いつつも、倒産は必ずしも多くないのです。雇用吸収力はあるはずです。(梅屋真一郎「コロナ制圧 その先の盛衰」日経プレミアシリーズ)

 これからは、これまで行われていなかった業務が新たに追加されます。例えば、清拭や消毒です。新型コロナもインフルエンザのように、今後、日常的に共存していくウイルスとして残る可能性が高いです。でも、新型コロナによって社会が受けた心理的インパクトは異次元レベルでした。このため、こうした追加業務は必須となります。そうなると、労働生産性は間違いなく下がります。その分、人を雇わなくてはなりません。そして、その大半は女性となるでしょう。彼女たちが稼ぐことができれば、分厚い購買層を構成することができます

 

 迎え撃つ市場にも「女性視点」があると効果的です。そもそも女性消費者は、世帯消費の6~8割を決め、9割に口を出しています。その反面実は超現実主義者なので、買うべき理由が響かなければ、財布の紐が緩くなることはありません。消費において圧倒的存在感を放っているのです。なぜかと言うと、女性は自分のことだけでなく、家族など自分を取り巻く人たちのことも考えるからです

 一般に男性は「モノ」のグレードにこだわります。自分のステータスと関わってくるからです。ところが、女性は「モノ」を使うシーンまでも想像します。だから、最近の「モノ」から「コト」へというトレンドにも、とても簡単に乗っかることができます。こうした脳の働きはきっと、子どもや家族を「守る」という本能からきているものなのでしょう。「女性は10年先を見て生きている」と言われるのも、種を保存し次世代につなごうとしていることの表れなのかもしれません。株式会社ハーストリィによる意識調査によると、女性は「サステナブルな活動をしている企業の商品、サービスを買いたい」という回答が85.4%にも上るそうです。(日野佳恵子「女性たちが見ている10年後の消費社会」同文館出版)

 

 ポスト・コロナの時代は、「女性の視点」を取り入れた消費市場が重要となります。これまでの合理的かつ論理的な視点から、「感性」をより重視し、様々な要素を加味したきめ細やかな視点に移行していくべきなのです。そして、商品開発からマーケティングにいたるあらゆる場面で女性の参加を増やすべきです。

 下着で有名なグンゼでは、肌がストレスを受けやすい女性のために、縫い目なしの下着を女性チームが開発しました。当初は男性バイヤーの理解が得られなかったとのことですが、男性用の無縫製下着も販売されています。最近では「フェムテック」という女性ヘルスケアがもてはやされていますが、対象が女性に限らない点が大事です。

 コロナ禍で電子コミックがシェアを伸ばしている中、韓国発の縦スクロールマンガが女性の支持を得ており、女性編集者が活躍しています。男性にはない発想と思いません?(Bunshun Woman 2021秋号)

 こうして、女性がしっかり関わる一気通貫した循環により、さらに大きな市場が誕生します。新型コロナというかつてないストレスを経ながらも周囲に思いを寄せてきた「女性の視点」に、今、大きな期待が寄せられています。