ペットの命があぶない!医療体制を整備せよ!

2022年3月7日(月)

 フーディンだよ。

 

 みんなはペットを飼ってるかい?今や3人に1人がペットを飼っているんだって。特に多いのは犬と猫で、両方を合わせた頭数は約1800万頭。日本の15歳未満の子供は1500万人だから、これをはるかに上回る数なんだな~。もう、家族の一員どころか国民の一員だね。だとしたら、国としても、ちゃんとケアしていかなくちゃあいけないよ。ペットの医療体制を整える必要があるんだな~。

 

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 犬や猫の平均寿命は1980年頃の3~4歳から現在の13~14歳と、この40年間に10歳も延びたよ。こうなるとペットだって、がんや心臓病、関節疾患といった病気のリスクを抱えることになる。おいらたち人間と同じなんだな~。こんな事態になるなんて誰も予測していなかっただろうね。遺伝子もびっくりだ。

 しかも、ペット特有の病気だってあるよ、例えば、犬や猫がかかる腫瘍の3分の1は「乳腺腫瘍」なんだ。人間ではあまり聞かない病気だよね。他にも、心臓病については「僧帽弁閉鎖不全症」と人間では多くないものが、犬の心臓病では9割を占めるんだ。犬座姿勢をとって呼吸が苦しそうなら疑ってみて。それから、まさかの「認知症」にもなるんだな~。ずっと泣き止まない、トイレ以外でおしっこしてしまうなど大変だよ。治療薬も人間のアルツハイマー認知症に使われているものと同じのを使うよ。椎間板ヘルニアも発生するよ。水中トレッドミルを活用した水中療法が徐々に知られるようになっているんだな~。(中村泰治「もしものためのペット専門医療」幻冬舎

 

 こうして病気を並べてみると、人間と大きくは変わらないって感じがするね。問題は、動物病院の多くは1人の医師が全てを診る「1人総合病院」状態になっていて、必ずしも専門医療を提供できるわけじゃないってことなんだな。これだと、適切に処置されないおそれが出てくるよ。

 今、獣医師さんは毎年約1000人ずつ新人さんが生まれて、全国に4万人ほどいる。その内訳は小動物獣医師が39.3%とペット関連の獣医師は多いんだな~。こうした状況から考えると、1人で何でも診ようという体制ではなく、獣医師の地域ネットワークの中で連携して対応できる仕組みを作るべきなんだな~。「リファレンスセンター」方式といって、普段からそれぞれの獣医師の専門を相互に情報共有しておいて、自分のところでは扱いづらい症例があったら、速やかに、ネットワーク内で専門医療を提供できる獣医師に、相互に紹介するよう取り決めをしておくんだな~。地域のペットショップにも情報共有しておくべきだよね。(中山裕之「獣医学を学ぶ君たちへ」東京大学出版会

 

 医療体制だけでなく、飼い主の「準備」も大切だよ。気付いた時には手遅れという可能性があるから、おかしいと思ったらすぐに動物病院に連れて行くことだよ。今、ペット総数は横ばいでもペット関連市場は拡大しているんだ。つまり、1匹当たりにかける金額は増加しているってことなんだ。エサ代に加え、日頃の健康管理や医療にどれだけ費用を割くことができるかがポイントだよ。金銭的に余裕がなくてこれらが支払えないとなると動物虐待って言われちゃうよ。

 また、飼い主のほうが高齢化してしまい、将来にわたる飼育が心配になるって可能性もあるよね。こうしたケースに備えて保険制度を整備しておくべきだな。里親を探してもらったり、積立金から飼育費用を賄ったりするんだ。医療保険もセットにするといいね。ペットを飼う際に、ちょうど自動車を買う時の自動車損害賠償責任保険みたいにこうした制度への加入を義務化すべきだよ。飼い主には飼い主としての責任を全うしてもらおうね。医療体制も含めてこうした環境整備の費用を確保するため、ペット税」を導入してもいいかもね。ドイツ、オランダ、オーストリア、スイス、フィンランド、中国などでは導入されているんだな~。

 

 最後に、ペットを飼育するメリットだよ。飼い主が高齢の場合、健康寿命が延びる、認知機能が向上するなどの効果がみられるんだな~。病院を受診する回数も少なくなるし、犬と散歩することによって医療費の削減につながってるんだってさ。

 あと、言葉を喋らない動物との触れ合いは、相手の気持ちを考えるきっかけにもなるし、自分たちが医療にかかるのと同じ気持ちになれるんだ。例えば、自分が喘息持ちで症状がちょっとひどくなってきたなって感じたら、ひょっとしてペットのほうも苦しんでるんじゃないかなって想像できるよね。逆もそうだよね。お互いが病気の「モニター」として機能するんだ。

 アニマルセラピーに役立つという話もあるけれど、ペットを人間にとって都合の良い存在にしちゃあだめだよ。あくまでも、大切な家族の一員の命を預かっているという自覚を持つことが大事なんだ。それでこそ真の「伴侶動物」と言えるんだな~。