養殖で守れるか、寿司ネタたち!

2022年7月11日(月)

 フーディンだよ。

 

 8日、安倍元総理が亡くなったね。悲しいよね~。

 お魚もそうだよ。総務省家計調査によると、よく食べられているお魚は多い順にサケ、マグロ、ブリとなってて、寿司ネタでも人気だな~。こうしたお魚が食べられなくなるかもしれないって聞いたら悲しくない?

 

 日本の漁業生産量は1980年当時は世界1位だったけど、その後減少しているんだ。200海里規制に加えてマイワシ資源の減少が原因みたい。つらいのは、漁業就業者が激減していること、魚介類資源が底をつくかもしれないってことなんだな~。

 生産量の主力は6割を占める沖合漁業だけど、その担い手は中小規模の漁業層なんだ。沿岸漁業に至ってはほとんどが個人経営で、年間販売額が300万円未満ってところが大半だよ。いずれも経営規模が小さいんだな。それに、早朝から始まり、危険も伴う厳しい労働環境、機械化や自動化に馴染まない作業など、高収入じゃなきゃ割に合わない仕事なんだな~。しかも、漁港集落の7割が過疎地域で高齢化率39.7%。漁業就業者数は1993年の32.5万人から2018年の15万人と、この四半世紀で半減している。漁船も操業20年選手が7割を超えていたりと、とても「持続可能」とは言えないんだな~。

 加えて、国内の消費量も減少傾向にあるから、市場も活気づかないんだな~。お肉が安く手に入るっていうのも考えものだね。一方で、世界の消費量はこの半世紀で2倍以上に伸びている。生産量も、中国、インドネシア、インドといったアジアの大国が上位に名前を連ねるようになってる。でも、漁獲を増やすことが可能な資源は15%しか残されていないから、このままだと本当に魚介類全部がウナギのように貴重な存在になっちゃうよ。このため、国際的な資源管理が進められているよ。国内でも2020年に施行された改正漁業法によって、TAC(漁獲可能量)などの新しい資源管理システムが整えられたんだな~。(濱田武士ら「図解知識ゼロからの現代漁業入門」家の光協会

 

 お魚を食べ続けていくことが厳しい状況にはあるけれど、解決策として「養殖」が挙げられる。世界的にも、漁業生産量が約9000万トンで横ばいの中、養殖生産量は1990年に約1700万トンだったのが2016年に約11,700万トンと急増しているし、種類も約600種もある。養殖だと質・量ともに安定供給できるから安心だよね。

 ちなみに歴史的に海水魚の人工孵化・仔魚飼育で最も古いのはマダイで、1869年に岡山県で行われたんだって。今だと近畿大学水産研究所の「近大マグロ」が有名だよね。クロマグロの「完全養殖」は、厳しい漁獲量制限が行われていることもあって、世界的にも注目されている。他にも、ブリ、トラフグ、ウナギ、サケ・マス、エビ類、貝類、藻類の養殖が行われている。期待できるね~。政府も、2018年の「水産生産の改革」の中で、養殖業を成長産業にする方向性を打ち出したよ

 

 もちろん課題もあるよ。大きいのは餌問題。餌料代は経営を左右する。さっきも言ったように、世界的な養殖生産の増加に伴って、餌となる魚粉や魚油の価格が高騰しているんだ。このため、これらの代替化が必要になっている。魚粉のほうは、昆虫や微生物性タンパク質などに注目が集まっている。栄養面から100%の代替は無理としても大豆やトウモロコシといった植物性タンパク質を利用するのも手だね。水銀蓄積量が減少するというメリットもあるし。あと魚油のほうは、大豆油、パーム油などの植物油が利用されているよ。

 管理コストも重要なんだな~。餌の食べ残しやフンが海水中で分解される過程で多くの酸素が消費され、しかも窒素とリンができちゃうんだ。これは、海水の「富栄養化」を引き起こして、お魚にとって有害な植物プランクトンを発生させるよ。また、稚魚を選別する作業は目視で行う必要があるから大変なんだな。軽い異常だと見分けにくいみたいだよ。さらに、養殖漁場も拡張したいところだけれど、沿岸域の適地はほとんど開発されてしまってるんだな~。(近畿大学水産研究所「トコトンやさしい養殖の本」B&Tブックス日刊工業新聞社

 

 次なる方策として、今後は「陸上養殖」を積極的に開発していくことが考えられるよ。場所やコストの問題はあるけれど、環境をコントロールしやすいというメリットは大きいね。それから、品種改良にも期待したいね。「遺伝子組換え」によって、飼育期間が半分近く短縮されたサーモンが開発されているし、「遺伝子編集」によって、可食部が増えたマダイやトラフグの研究が進められている。病気に強い品種を作る試みも必要だね。お魚には認知症予防が期待されるDHAや抗酸化作用を持つアスタキサンチンといった成分が含まれている。技術開発を進めて、おいしくて多様な日本の食文化を維持したいね。