壁にぶつかる学校教育にとって、新型コロナは良い「教材」!?

2022年11月7日(月)

 エディカです。

 

 「学校教育って本当に必要?」って、新型コロナウイルスが問いかけているわ。感染者がまた増えつつあるけど、世の中は「ウィズ・コロナ」に向かってまっしぐらね。医療逼迫があろうが行動制限は行わない、海外からの観光客を増やしていく・・・でも、学校教育はついていけているかしら。

 

 

 文部科学省が、新型コロナウイルス感染症の学力への影響を測るため、2016年度と2021年度の小中学生の国語と算数の学力調査結果を比較したわ。結果はほとんど変わらなかったみたい。これってオンラインを駆使するなどして学校が頑張ったってこと?それとも、基礎学力さえ身に付けておけばあとは何とかなるってこと?これほどに学校教育の意義が問われたことはないわ。一つだけ言えるのは、何でもかんでも学校に押し付けるのは可哀想ってこと。

 

 そもそも学校の先生たちの負担は半端ない・・・感染管理も行いつつ、指導計画に遅れが生じないよう教育を行わなくちゃならない。

 児童生徒の毎朝の検温・体調チェックはもとより、マスク着用をしていたとしても、教室などではお互いが向き合うことがないようにする。換気も大切ね。大人に比べて、子どもの鼻の粘膜は抵抗力が弱いから気を遣うわ~。音楽ではリコーダーのような吹奏楽系はタブーね。体育では消毒するとボールが劣化するから球技は控え目よ。

 

 学校保健の現場も大変よ。保健室に殺到されても困るわね。学校医の力も借りながらゾーニングなどの対策を打たなくちゃ。校舎の消毒には先生たちも駆り出されるのかしら。教室のドアやスイッチ、階段の手すりなど児童生徒がよく触る場所は特に念入りにね。陽性者が出た場合の対応は大変ね。個人情報の管理や差別偏見の防止、本人や周囲の心のケアが必要になってくるわ。保護者への説明も一苦労よ。

(鎌塚優子ら「『新しい学校生活』のための感染症対策ハンドブック」)

 

 その上、学校教育は課題が山積みなの。間の悪いことに、新型コロナを契機にGIGAスクール構想や小学校35人学級制が前倒しされるわ。ICT環境の整備や先生たちの技術向上は急務よ。教育の「個別最適化」って聞こえはいいけれど、だったらわざわざ「学校」に来る意味ってあるのかしら

 そのせいか「協働的な学び」も重要って言われるわ。学校行事やアクティブ・ラーニング、地域の関係構築の大切さは否定しないけど、先生の負担も大きいわ。先生たちの働き方改革はどこに行ったのかしら。

細田眞由美ら「コロナ禍の学校で『何が起こり、どう変わったのか』)

 

 こうした一見正当な「型」にこだわり過ぎることが、かえって子どもたちから、自分で考え、試行錯誤する力を奪っているわ。その傍らで、「勉強して少しでもいい大学に行かなきゃだめよ」って脅すでしょう。「そうしないとこれからの世の中は大変よ。少子高齢化、格差問題、赤字財政、非正規雇用、環境問題」うんぬんかんぬんって重たい話を次々にされると、未来に希望が持てなくなるわね。

 そのアレルギー反応の一つが「登校拒否」よ。全国の小・中学生のうち約2%、つまり約20万人が「不登校」になっているわ。中学校を卒業したからといって油断できないわ。「自分の国に解決したい社会課題がある」と回答した高校一年生は46.4%と半分以下よ。早くも「諦め」の境地ね。(おおたとしまさ「不登校でも学べる」)

 

 学校には卒業式がある。でも、「学校教育」の卒業は人それぞれ・・・この点を教えることが大事よ。「何かあれば頼っていいけど、基本は独り立ちしなくちゃだめ。それを忘れずに勉強するのよ」と、一人ひとりに意識付けさせることが必要よ。そうしないと、それこそ卒業式の日まで学校にお任せという甘えが生じるわ。もう何も考えなくていいの。

 こうした「学校依存主義」は「吸収力があるうちに社会生活に必要なことを全部詰め込めばいい」という安直な考え方につながるわ。それって先生たちに過度な負担を負わせることになるし、児童生徒も息が詰まるでしょうね。

 

 国の成長期においては、高度な教育や専門性が個人の生産性や所得に結びついていた。でも成熟社会にあっては「詰め込み」一辺倒なやり方では通用しなくなる。むしろ、変化する「現場」において、自分の頭で考え、対処できる能力を身に付けることが大事なの。

 こんな時に先生ができることはせいぜい「世の中にはこんなリスクがあるよ。あなたならどうやって解決する?」と問い続けることね。そして、新型コロナ禍こそ「教材」としてうってつけよ。日本も外国も試行錯誤しながら対応している。この時代に生きる当事者の一人として「現場」でどうするか、適応していこうとする世の中で自分はどうすべきかを考えさせることが大事よ。

 大変かもしれないけれど、そこに「学校教育」の意義がある・・・先生たち、応援してるわ!