「デジタル・ダイエット」を広めよう!

2022年11月21日(月)

 エンヴィです。

 

 「COCOA」が去っていきます。新型コロナの接触アプリとして活躍しました。不具合もあって知名度は高かったです。第8波到来と言われる中でのちょっぴり寂しい引退です。

 今回のお話は、デジタルの環境汚染についてです。スマホ、パソコンと身の回りにはデジタル機器がたくさんあります。その一つ一つが環境に負荷をかけています。Youtubeで動画を見ること、LINEでやりとりをすること、食事を写真に収めることを減らしてみませんか。

 

 

 「えっ?デジタルを使うことは『エコ』なんでしょ」とお思いかもしれません。確かにデジタルはペーパーレスを実現し、移動に消費するエネルギーを節約します。この点では間違いなく「エコ」です。でも、トータルで見るとそうでもないのです。

 デジタルはモノを極限レベルで「消化」しています。そもそも身の回りのモノは僕たちが思い描くよりはるかに多くの資源を元にして作られています。重量にして平均30倍です。デジタルに使われるICチップだと、なんと1.6万倍にもなります。

 ここで問題です。僕たちが使い慣れているスマホには、何種類の原材料が使われているでしょうか?答えは50種類以上です。エルビウムハフニウム、ツリウムなど聞いたことのない元素も含まれています。

 

 こうした鉱物資源の「消化」は何を引き起こすでしょう。鉱山や処理工場の残留物の汚染が問題となっています。スマホだけじゃありません。デジタルは、世界の銅の生産量の12.5%、アルミの7%を使用します。高速通信を可能にする光ファイバーにはレアメタルが使われています。世界中で鉱山周辺の汚染が進んでいるのです

 また、資源の採掘には動力が必要です。石油や石炭といった天然資源が消費されます。物流も考えなくてはなりません。ICチップは、製造工程が500にもわたっていて、世界の1万6000社からなる下請けネットワークによって完成します。運搬が必要です。膨大な燃料が消費されます。

 扱うデータ量も青天井で増えています。利用者のストレスを軽減するため、高速性やグラフィックの美しさが追求されています。インストールされるアプリやプログラムは重くなる一方です。利用者も、世の中の動きについていけなくなるのを嫌がり、よりパフォーマンスの高い機種に乗り換えます。その結果、パソコンの「賞味」期限は4年になりました。スマホだと2年です。全く故障していないにも関わらずのチェンジです。

 

 データ量は端末で扱うレベルをはるかに超え、クラウドが無ければやりとりは成立しません。その容量もすぐいっぱいになります。人に代わってマシンが自動的にインターネットをじゃんじゃん使っているせいもあります。さらに、システム障害が起きれば容量を増やさざるを得ません。いたちごっこが続きます。

 クラウドの正体は空中の電波などではありません。地上に根を下ろしたデータセンターです。冷却のため、大量の水、ガス、そして電気が消費されます。この点、タダで「涼しさ」が手に入る北欧諸国はデータセンター設置にうってつけです。ところが近年は安全保障の観点から、大国がデータセンターの自国内設置を進める動きが出てきました。そうなると、自国で冷却する方法を導入しなくてはなりません。森林伐採やダム建設など、環境に大規模な負荷を与えることなく耐えうる土地が一体どれくらいあるのでしょうか。(ギヨーム・ピトロン「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」原書房

 

 どうですか?デジタルは「エコ」じゃないのです。消費者もデジタル汚染の共同責任者なのです。汚染を減らす行動をとるべきです。

 デジタルは、世界中で生産される電力の10%を消費し、世界中で排出される二酸化炭素の4%を出します。カーボンニュートラル(炭素中立)の世界では、政府は「ゼロカーボンアクション30」を提案しています。節電や節水など30の行動変容を求めています。これらに「デジタル・ダイエット」を加えるのです。不要不急のデジタル利用を控える、長く使用する機器を選んで購入するなどです。(増原直樹「30のキーワードで理解するカーボンニュートラル日本能率協会マネジメントセンター

 デジタル企業の協力は欠かせません。フランスは2021年に電子製品の「修理しやすさ指数」の表示を義務付けています。ドイツやアメリカには自分で修理する「修理カフェ」があります。自分で修理できるレベルの製品化を求めるのです。

 インターネットの無料利用にも制限をかけましょう。緊急対応など本当に必要な情報のやりとりを優先させる仕組みにするのです。世界中のESG投資も注目してくれます。

 大々的な意識啓発が重要です。国際連携も必要です。国の取組が望まれます。クリック1つが、環境汚染を推し進めていることを忘れてはいけません。