「言語学」から見える世界とは・・・!?

2023年3月13日(月)

 エディカです。

 

 WBCWORLD BASEBALL CLASSIC)が盛り上がってるわね。大谷選手のホームランも飛び出して、侍ジャパンは連勝。でも、米国やアジア各国の盛り上がりはそうでもなさそう。ここでも日本はガラパゴス化しているのかしら。

 これからはガラパゴス化しないよう、海外の情報を生で収集できる力がモノをいうわ。英語などの語学は武器よ。でも、そもそも言語って何かしら。「言語学」の世界をのぞいてみましょう。

 

 言語が最も飛び交うのが会話。会話はその場のコミュニケーションをうまくやり通せるかを探っていく共同プロジェクト。お互いが相手の考えていそうなことを瞬時に見出そうとするの。だから、会話で使用される言語は即興の連続・・・「言語ゲーム」よ。

 この「言語」が本当に機能するためには、コミュニケーションという氷山の水面下にある膨大な背景が必要なの。それは、文化、慣習、価値観、暗黙のルール、人間関係の了解といったものよ。会話はこうした土台に過去の経験を加えて、正しい方向にもっていく営みなの。

 

 こうして言語は人類と共に進化を遂げてきた。その結果、世界に約7000種類もの多様な言語が存在することになったの。面白いことに、その大半は地球の熱帯エリアに集中しているわ。おそらく、暖かい地域では自給自足できちゃうから、他の共同体との共通言語が必要なかったのね。

 こうした言語の成り立ちを学ぶこと、つまり、言語学」を知ることはとても役に立つことよ。なぜなら、人々の「ふるまい」を知ることができるから

 例えば、子供に言語を覚えさせようとしたら、あなたならどうする?親のボキャブラリーを増やせば自然に増えるのではと考える人もいるでしょうね。確かに、収入の高い家族の子供と低い家庭の子供とでは、4歳になるまでに耳にする「400万語の格差」があるみたい。でも、会話の90%はわずか1000個程度の単語で成り立っているの。だから、親が子供に語りかける単語の数は関係ない。むしろ、子供を日常会話に引き込んで、言語経験を繰り返させることが大切なの。早期教育の参考になるでしょう。

 

 知識を吸収することも大事よ。それによって「認識」が広がるの。有名な実験があるわ。ライトブルーとダークブルーを異なる色名で呼ぶロシア語話者の場合、見せられた色合いが変化したら、脳波に変化がちゃんと生じたの。ところが、この2つの色に言語上の区別のないドイツ語話者の場合は反応しなかったの。このように、言語は人の思考に大きな影響を及ぼすわ。知識を得ることの大切さ、分かってくれたかしら。(モーテン・H・クリスチャンセンら「言語はこうして生まれる」新潮社)

 

 「最近の若者の言語は乱れている」っていう話はいつの時代にもあるわ。今だとSNSの影響で簡略化し過ぎの言葉が多いと感じるわ。例えば、「大谷選手はレベチ」とか・・・ね。でも、こうした言語も、多様化するコミュニケーションの中で必要とされたからこそ生まれてきたってことに思いを致すべきね。

 この考え方は、「教養」のあり方に当てはめてもいいわ。今、ビジネスの世界では、一目置かれることを志向する「ファスト教養」と呼ばれる「ふるまい」があるわ。とりあえずざっくりと理解しておけばいいんだと、「教養のための○○○」というタイトルの書籍や、頭に入りやすい動画が増えているのがその証よ。

 こうした文化は、とにかく自分のためにお金を稼ぐことに力点が置かれている点で私は好きじゃないけれど、こうしたふるまいですら、その良し悪しは別にして、文化の積み重ねの結果なの。誰だって「良く生きよう」とするもの・・・その意志が、世の中の活力につながっているの。温かい目で見てあげる必要があるわね。(レジー「ファスト教養」集英社新書

 

 AIの活躍を心配する声もあるわ。本当にシンギュラリティ(特異点)を超えることがあれば、人は肩身が狭くなるわね。チェスや囲碁だけでなくアートの世界でもAIが存在感を示しつつあるわ。

 でも、安心して。機械はコミュニケーション氷山の「上っ面」しか相手にしていないから。例えば「お~い、お茶!」という文・・・英語なら「Hey, Tea!」ってとこかしら。これだけだと、「お茶がある」のか「お茶が欲しい」のか分からないわね。それを、「お茶を持ってきて」という意味だと「理解できる」ことこそ、文化に裏打ちされた言語なの。こうしたことは今のAIには理解できないでしょうね。当分、シンギュラリティは訪れそうにないわ。

 

 どう?参考になったかしら。学びたいことは世の中に山ほどあるでしょうけど、一度くらいは「言語学」の学びに時間を割いてみてはどうかしら。きっと、見える世界が変わるわ。あなたの持つ「文化」をさらに高みに上げてくれるはずよ。