ACEから少ない宝たちを守れ!

2023年9月18日(月)

 エディカです。

 

 ACE(逆境的小児体験)ってご存知かしら?子ども時代に体験するトラウマ(心の傷)となる出来事のことよ。例としては児童虐待やネグレクト、家族の精神疾患などね。ACEを経験しちゃうと、成長してからも苦しむことになりかねない。

 ジャニーズ事務所は性被害への補償を行うようだけど、心の問題は深刻よ。誰もがACEを理解して、子どもを守らなくちゃだめよ。

 

 

 ACEの代表格といえば児童虐待。相談対応件数は右肩上がりに増えていて、2020年度は20万件を超えたわ。これでも氷山の一角でしょうね。現実に起きた児童虐待死でさえ、通告があったものはたった4分の1。日本人の3人に1人が子ども時代に何らかの逆境を経験していると言われているわ。

 

 人は過酷な状況にさらされ続けると、身体のストレス反応に異常が生じ、体内で炎症がずっと続いた状態になる・・・つまり、糖尿病やがん、アレルギー疾患にかかりやすくなるの。脳にも異変が起きるわ。感情や思考をコントロールする前頭前野が小さいままになっちゃうの。

 こうした生物学的メカニズムだけでなく、心理社会学的メカニズムも健康リスクを高めるわ。ACEから生じるストレスで生活習慣が不規則になったり、喫煙や飲酒に走る可能性がある。学校の授業についていけない、仕事に専念できないとなると就職にも不利よ。こうして貧困に陥ると健康を維持できなくなる。ACEによって、病気やうつ・不安症状や自殺念慮を抱えながら暮らす人もいるはずよ。

 

 どうやったらACEを乗り越えられるか、ACEを防ぐことができるかが課題ね。乗り越えるに当たってはACEサバイバーの経験が参考になるわ。現実を見つめ、前を向いて、道徳的指針を持つこと、こうした心理状態を保てるよう周囲がサポートすることね。そのためには、周囲の十分な理解が不可欠なの。人のトラウマに適切に対応できるよう、国や自治体は研修機会を設けるべきね。(三谷はるよ「ACEサバイバー」ちくま新書

 予防については、家族を地域で受け止める体制づくりがポイントよ。貧困、親の精神疾患、引っ越しは、地域からの孤立をもたらし、ACEを生むわ。リスクの高い家族を社会的に放置しないことが大切よ。(金子勇「『抜け殻家族』が生む児童虐待ミネルヴァ書房

 アメリカでは電話調査と家庭訪問プログラムを採り入れているわ。特に出産経験のない低所得の妊婦と子どもには有効ね。自治体が先頭に立って、学校、児童相談所、保健所、自治組織といった地域のアソシエーションと連携して、まずは親をサポートすることから入るなどして「個別に」関わりを持つべきよ。

 

 少子化対策は出生数を増やすことだけが目的じゃないはず。国の将来を担う子宝たちが健やかに育つよう、ACEから守らなくちゃだめ。地域の支援はもちろん、国も予算面や人員面でしっかりサポートしなくちゃね。