「働き方」よりも「休み方」改革!!

2023年9月11日(月)

 レーブだ。

 

 夏は休暇を取れるビッグチャンスだ。一方で、観光地は大変だ。インバウンドで一儲けしたいところだが、岸田首相は観光客のマナー違反を重要課題とした。フランスでも観光相がモンサンミッシェル等の過剰観光を受け、対抗措置をとる考えを示した。島へ渡るシャトルバスに人が殺到となると観光どころではない。休暇には程遠い。

 取るのであれば、よい休暇を取ろう。仕事にもよい影響をもたらしてくれる。

 

 フランスはバカンス(長期休暇)で有名だ。労働法で年最低5週間の有給休暇が認められている。平均取得日数も33日と目一杯使われている。だが、昔からそうだったわけではない。今のようになったのは、1930年代から続く労働者保護の歴史があったからだ。併せて、南部・地中海岸の開発、高速道路の建設といった観光インフラも整備されていった。ミッテラン大統領時代には失業対策としてワークシェアが掲げられ、週35時間労働が成立、今日の「休みやすい環境」づくりに至っている。

 

 日本で、まとまった長期休暇制度を採用することは至難だ。日本は既に祝日が多い。フランス11日、オランダ11日、ドイツ9日のところ、日本は16日もある。そして、日本にも10日~20日の有給休暇制度がある。経済界だって眉をひそめるだろう。(髙崎順子「休暇のマネジメント」KADOKAWA

 しかし、実情は異なる。有給休暇の取得率は56.6%に留まっている。取得平均日数も約10日と慎ましい。国民性からすると、みんなが同時に休める日を政府が設定してくれたほうが休みやすい。

 こうしてみると、日本の場合は、短期の連続休暇を、頻度を高めて導入するほうが馴染む。例えば、週休3日を毎月2回としてはどうか。労働基準法上は週1日の休日に加え、就業規則により会社が別途定める休日については労働義務が無いとされている。この枠組みの中で、いずれかをさらに一歩進めるようにしてはどうだろうか。

 

 そして、より重要なのはよい休暇の取り方だ。仮に休日を増やしたとしても、できるだけ有意義に過ごそうとあれこれ詰め込むのは逆効果だ。仕事に求めるような「生産性」を、休暇にも求めてしまっている現代社会では仕事が人の存在意義になっていて、休暇は単なる「回復期間」に成り下がっているのだ。こんな調子で人生を送っていいのか。(オリバー・バークマン「限りある時間の使い方」かんき出版)

 休暇の使い方を工夫することが必要だ。さして重要でもないネットサーフィンで気晴らしをするのではなく、読書や料理など忍耐を要する趣味に使うこと、誰かと時間をシェアして共に行動することをしよう。

 休暇で大事なのは、明日のことではなく、今の体験を純粋に楽しもうとする姿勢だ。人生を豊かにすることで、仕事に励むこともできる。休み方を見直して、人生を中心に据える逆転の発想を持つべきだ。