毒水PFASが次々と見つかる!・・・「知らぬが仏」でいいのか?

2024年4月8日(月)

 エンヴィです。

 

 テフロン加工ってありますよね。フライパンが料理で焦げ付かないようにするコーティングです。かつて、このテフロンを作る際に廃棄された化学物質が地下水に混入し、全米で問題になりました。その化学物質とはPFOAというPFAS(有機フッ素化合物)の一種です。今、日本各地でPFASが検出され、問題になっています。要注意です。

 

 

 PFASは4730種類を超える有機フッ素化合物の総称です。中でもPFOAなどは早くから使われ、問題となっています。これらは長期にわたって残留することから「永遠の化学物質」と言われています。

 PFASは便利なので、いろんな場面で使われています。撥水作用や撥油作用を持つ衣料品、防水スプレー、ハンバーガーやフライドポテトの耐油性食品包装紙、化粧くずれ防止用の化粧品など、実に多様です。石油火災用の泡消火剤にも含まれています。東京多摩地区のPFAS汚染は、米軍横田基地から漏れた泡消火剤が地下水に染み込んで起こったと考えられています。(原田浩二「これでわかるPFAS汚染」合同出版)

 

 PFASの毒性が最初に明らかになったのはデュポン社のケースです。ウェストバージニア州の農場主の粘り強い訴えに耳を傾けた弁護士の、実に14年にわたる闘いによってです。州が設置した科学者委員会は、PFOAと「関連性が高い」疾患として、コレステロール値、腎臓がん、精巣がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、妊娠高血圧症を挙げました。(ロバート・ビロット「毒の水」花伝社)

 その後、国際的にも規制化が進められ、PFOAは2019年に廃絶することが決定しています。日本では2023年に入って、相模原市静岡市浜松市各務原市岡山県吉備中央町、熊本市の水道水や浄水場、地下水から高濃度のPFASが検出されています。2020年には、厚生労働省が水道水に対し、環境省が河川や地下水に対し、暫定目標値を設定しました。都内の21自治体で目標値を超える数値が検出されています。

 対策として、活性炭を使った浄化槽の設置、住民に対する血液検査、汚染源特定のための土壌調査、日本のフッ素樹脂メーカーの情報の確認などが考えられますが、いずれも容易ではありません。あまりにも影響が大きいためです。

 

 米国のケースは、水俣病を思い起こさせます。水俣病はビニールの原料製造を作る際に生じたメチル水銀が原因でした。どちらも、企業経営や地域経済が優先され、分かりづらい人体への影響は無視され続けました

 便利な生活の陰では誰かが犠牲になるリスクがあります。「悪いのは企業」と済ますのではなく、自分事として捉える姿勢が大事です。そうでないと過ちは繰り返され、結局、自分たちに跳ね返ってきます。これからもPFASは各地で検出されるでしょう。まずは、関心を持ってみることです。