2022年7月18日(月)
エンヴィです。
新型コロナがまた猛威を奮っていますね。鳴り物入りの「県民割」などはいったん中止です。でも、この連休も含めて行楽の予定を入れているみなさん、ごみの処理はちゃんと行っていますか?
分別しているから「自分の役目は終わり」と思っていませんか。だとしたら、大いなる勘違いです。ごみクライシスの脅威が迫っています。
日本では年間約4,300万トンの一般ごみが出ていますが、焼却処理された後の残りかすは最終処分場に埋め立てられます。直接埋め立てられるものもあります。そして、全国に1,620ある埋め立て処分場は、あと20年で満杯になるそうです。
悩ましいのがプラスチックごみです。ちゃんとリサイクルされていると思われがちですが、現実は違います。6割以上が燃やされ、1割は海外に輸出、真の意味でリサイクルされているのは1割ちょっとなのです。さらに、新型コロナによって、プラスチックごみが増えます。食料品や日用品のデリバリーやネットショッピングの利用が増加し、容器・梱包資材が大量に使用されるとともに、マスクの多くが不織布やウレタンといったプラスチックでできているからです。
世界はどうなの?と思われるかもしれませんね。主要国の「リサイクル」と「コンポスト」が占める割合(%)は以下のとおりです。
韓国(59.2, 0.8)ドイツ(49.5, 17.8)スウェーデン(29.9, 15.9)オーストラリア(28.0, 17.7)イギリス(27.1, 16.8)アメリカ(25.1, 10.0)フランス(25.1, 18.9)
日本はそれぞれ19.8%と0.4%です。一目瞭然ですね。どちらも進んでいません。ちなみに、日本のごみ処理は圧倒的に「焼却」(73.7%)です。世界には2000以上のごみ焼却施設がありますが、日本はその半分以上です。
焼却処理の課題は、焼却炉を止めると再起動に時間がかかるので24時間稼働させなくてはならず、そのため常にごみが必要という本末転倒な状況にあることです。これでは、リサイクル等に舵を切ろうというインセンティブが働きません。紙おむつごみの問題もあります。紙おむつは水分を含んでいるので燃えにくく、多くの燃料を要します。焼却炉を傷めてしまいます。日本は高齢化が進み、大人用おむつが増加しています。
さらによくないのが、ごみの輸出問題です。日本は世界第2位のプラスチックごみ輸出国です。輸出先は中国から東南アジア諸国、今はアフリカへと移っていっています。石油プラントが無い国にとっては輸入するのが手っ取り早いのですが、中には汚染ごみや有害物などリサイクルできないものもあります。低賃金で雇われた労働者や子どもたちが手作業で仕分けを行います。処理されないものは放置され、環境汚染につながります。「SDGs」と無縁の世界なのです。
日本は先進国としての責務を果たさなくてはなりません。まずは、生産・流通の段階から、ごみを出さない工夫が必要です。欧米の取組が参考になります。EUでは、使い捨てプラスチック10品目の市場流通を禁止しています。フランスは世界で初めて食品の売れ残り品の廃棄を法律で禁止しました。ファッション業界も同様の措置に踏み切りました。
リサイクルでは、元の製品より価値の高いものに再生することを「アップサイクル」と言います。スナック菓子からアルコール飲料まで、幅広い商品がアップサイクルされていて、アメリカでは認証システムまで設けられています。(インフォビジュアル研究所「図解でわかる14歳から知るごみゼロ社会」太田出版)
日本の1人1日当たりのごみ排出量は約1kgと世界第2位です。まずは、絶対量を減らさなくてはなりません。ごみ処理についても、自治体がかける費用と比べて製造企業の「委託金」はその7分の1と少ないです。委託金が、「役目は終わった」という「免罪符」になってしまっています。企業の努力と個人の意識が重要です。
例えば、使い捨て容器・包装資材をやめることです。どうしても使用する場合は、リターナブルにして、RFIDタグを付けて管理するのです。「透明化」を図り、責任の所在を明らかにするのです(廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会「サーキュラーエコノミーを加速する『情報革命』環境新聞社)。
そして、デポジット式にして、商品の購入者がコンビニ等を通じてこれらを返却すれば、上乗せした価格分を還元するのです。国は、ごみの流れを上流(製品の段階)から整えつつ、個々のプロセスをビジネス化する方向に誘導するのです。同時に、全国の焼却施設を集約化して減らしていきながら、リサイクル技術の研究開発に投資すべきです。ごみ箱に入れて見えなくするのではなく、ごみクライシスの現実を個人が「直視」できるようにすることが重要です。