さようなら男性・・・人新生は「女性がリード」する時代です。

2022年7月25日(月)

 ソシエッタです。

 

 ウクライナ侵攻は長期化し、混沌としています。ロシアのプーチン大統領に毅然と立ち向かい、NATO加盟に踏み切ったフィンランドのマリン首相、スウェーデンのアンデション首相はいずれも女性です。

 現代社会はあまりにも「男性中心」で作られ過ぎています。その社会とは経済至上主義の世の中です。そして今、行き着くところまで来てしまった感があります。これからは人口が減って国を維持できなくなります。環境問題のように経済成長の足を引っ張ると捉えられる課題は先送りされ、結局は自分たちの首を絞めることになります。「人新生」の社会は、人類全員が共栄すること、地球と共存することが求められます。女性がリードする社会が切望されます

 

 現代社会では「男性=普遍的」です。私たちの意識の奥底にまで浸み込んでいます。 ごく身近な例だと、オフィスの標準室温があります。標準室温は、1960年代に47歳で体重70キロの男性の安静代謝率を基準に設定されました。でも、女性の安静代謝率は男性より少ないです。だから、標準室温は、女性にとっての適温より2.8度も低くなっているのです。女性はクーラーの効く部屋で、余分に一枚服を重ね着しなくてはなりません

 命の危険さえあります。自動車事故に遭う確率は男性の方が高いですが、女性が事故に遭った場合の重傷化率や死亡率は男性より高くなります。女性にとっての安全性が十分でないのです。ニュースなどで見る衝突安全テストでは、運転席に男性ダミーを、助手席に女性ダミーを置くのが典型です。これでは、運転席のスペースなど女性に適したデータが取れません。妊婦だとなおさらです。

 医療データはもっと露骨です。医薬品の治験は男性が多いです。このため、女性は医薬品の過剰摂取のリスクにさらされています。高血圧の治療薬は、男性の心臓発作による死亡リスクを下げる効果がありますが、女性だと逆に心臓関連死のリスクが高まります。診断基準も同様です。自閉症の診断基準は男子向けに開発されています。このため、女子のケースが見過ごされた結果、「自閉症は男子に多い」とされている可能性があります。AIによる医療診断補助も、今のままでは女性にとって致命的な問題が生じる可能性があります。

 このように男性中心にデータがとられ、これに基づいた技術開発が行われています。女性にとっては、目に見えない「虐待」なのです

(キャロライン・クリアド=ペレス「存在しない女たち」河出書房新社

 

 極めつけは、経済への貢献が何ら評価されていないことです。経済成長率を示す指標「GDP」が開発された時、料理や掃除といった家庭における無償労働が「除外」されました。データ収集に膨大な手間がかかることが理由です。実は、女性による無償労働は10兆ドルもGDPに貢献しているそうですが、女性は経済成長の蚊帳の外に置かれることとなりました。そして、社会保障をはじめとする各種制度は男性の世帯主を中心に構築され、現在に至っています

 特に、婚姻制度は男性と女性の関係を法的に認めることで、次世代を再生産するための「家族」を形成する役割を果たしてきました。これは、女性を家父長制の支配下に留める「仕掛け」と言えます。しかし、これからは変わっていくことでしょう。経済至上主義を追求した挙げ句、女性も家庭外での仕事に駆り出されることとなりました。帰宅したら家庭内の無給労働もあり、くたくたです。でも、経済的に自立できるとなれば話は別です。もはや家庭に縛られる必要はありません。婚姻率は低下し、婚姻制度はセーフティネットの機能を果たせなくなっています。社会保障のあり方そのものが問われるようになっているのです。(清水晶子「フェミニズムってなんですか?」文春新書)

 

 これからの社会をリードしていけるのは女性です。女性は10年先を見て生きています。心身が種を保存し、次世代につなごうとするためかもしれません。モノを買う時は、自分を取り巻く人たちのことも考えて商品を見ています。周りをよく見ているのです(日野佳恵子「女性たちが見ている10年後の消費社会」)。このため、社会のどこが脆弱で、どこをケアすればいいかを考え、協力しながら社会をまとめていくリーダーシップは、女性リーダーにこそ期待できるのです。

 どんな社会にも他者をケアするしくみは必要です。そうでないと、経済だってうまくいきません。公正、平等、ケア、環境、信頼、健康といった、これまで経済の「お荷物」とされてきた価値観が重要になっています(カトリーン・マルサル「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」河出書房新社)。経済至上主義が飽和しきった「人新生」の社会では、男性は口をつぐんで女性によるリードを見守るべきです。そして、女性は社会をリードしていくことを自覚するのです!