おにぎりでも食べながら、コメ政策の見直しをしようじゃないか

2022年11月14日(月)

 フーディンだよ。

 

 おいら、毎日パンを食べてるんだ。サンドイッチのほか、ライ麦パンや塩パンをよく食べるよ。でも、パンの値段が上がってきたから、おにぎりに乗り換えようかな~。

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻は、頭をがーんと殴られた気持ちだよ。予測不可能な事態が起こっても対応できるよう、普段から準備しておかなくちゃいけないなって改めて思ったね。これは特に「食」に当てはまるね。

 だって、ロシアとウクライナを合わせると、世界の小麦輸出の3割にもなるし、トウモロコシについては、ウクライナの輸出は世界第4位のシェアなんだよ。主な輸出先は北アフリカや中東だから日本は直接影響を受けないけれど、間接的に影響を受けるかもよ。世界は密接につながっているんだから。

 

 そもそも、農産物市場は政治や行政の介入が多い「ゆがんだ市場」なんだ。日本も例外じゃないよ。「コメ政策」が代表格だね。敗戦国日本はアメリカが増産する農産物には手を出せなかった。だから、小麦を作ることは許されなかったんだな~。許されたのはコメ。でも、その後頑張ったおかげで、コメの収穫量は安定的に増え、1967年には悲願の自給を達成したんだ。すごいよね~。ところが誤算もあって、今度はコメが余るようになったんだ。ここは急ブレーキが必要ってことで、コメを作らせない「減反政策」が始まったんだな~。

 減反政策は、財政負担をしてまで消費者に負担をさせるという、どう考えても異様な政策なんだ。また、食糧管理法という、コメの値段を安く抑えてコメを集めて確保する仕組みがあったんだけれど、コメが余るようになると、コメ農家の所得を守る仕組みに変わっちゃったんだ。1971年から84年まで、約3兆円もの赤字を積み上げたんだよ。

 そして、今、農家は農地を持て余している。農地は荒れ果てていく一方だよ。さらに悪いことに、実態がどうなっているのか専門家でも把握しにくくなってるんだな~。(小川真如「日本のコメ問題」中公新書

 

 こうした状況で、日本に「食料危機」は起こらないって言い切れるかな~。農作物ってのは、わずかな需給の動きによって国際価格が大きく変動するし、各国の介入がこれに輪をかけちゃう。すると国際市場は一気に不安定になるんだよね~。

 幸い、現時点では農作物の価格は低下傾向にある。食料供給量が人口や所得の増加を上回ってるからだよ。また、食料には「代替性」ってのが効いてくる。2008年に小麦や大豆の国際価格が2~3倍上昇したことがあったけど、物価は2.6%上がっただけだったんだ。みんなコメに乗り換えたんだな~。

 

 怖いのは何らかの理由で物流がストップすること。不安は小麦だけじゃない。エネルギーだってある。これらが物価を押し上げるし、石油の輸入が途絶えれば、野菜や果物、魚の供給だって困難になるんだよ。輸入に頼りきっているとこうしたリスクを覚悟しなくちゃ。(山下一仁「日本が飢える!」幻冬舎新書

 今まさに、日本が直面しているのがこの手のリスクなんだ。小麦やトウモロコシ、大豆などの価格は、南米、北米といった主要産地の不作によって既に上昇していたんだ。そこへもって、ロシアのウクライナ侵攻が勃発し、作付けの減少や港湾封鎖による輸出制限に対する懸念が高まったんだ。

 

 また、原油の値段が上がってサトウキビがバイオ燃料に振り向けられるんじゃないかと、砂糖の価格まで上昇したんだ。こうした要因が積み重なって、国際的な価格指標である「FAO食料価格指数」は、2020年に100前後だったのが、2022年3月には159.3と過去最高値を更新したんだな~。

 値上げの波は日本にも届いたよ。2022年中は、1万8532品目もの値上げが行われることになったんだ。特に10月は、酒類・飲料や加工食品など6305品目が一気に値上げされた。思わず悲鳴を上げちゃったよ~。(週刊東洋経済2022.9.3)

 

 国内産の食料でみんなの胃袋を満たすことを考えなくちゃいけない。コメでまかなうなら年間1500~1600万トンもの供給が必要だけど、今は800万トンしか無いんだ。

 だからこそ、減反政策を見直して、コメが余るくらいにしておかなくちゃいけないよ。そして、平時は余ったコメを輸出しておくんだ。世界では家畜用のコメの需要がじわじわ増えてきているから、チャンスはあるんだな。

 コメ余りは、有事への備蓄にもなる。歴史を振り返ると、日本では災害用の蔵を設けてコメを備蓄する仕組みがあったんだ。戦国時代のお城や囲米(かこいまい)などがそうだね。(大村大次郎「経済危機の世界史」清談社)

 コメ余りは田んぼの維持にもつながる。スイスの草地は有事には農地になるんだってさ。こうした仕組みを整えるためには法整備が必要だよ。「食」について、みんなで真剣に考える機会になるといいね。