衆院選が近い。その前に、小選挙区制を見直せない?

2024年8月19日(月)

 ソシエッタです。

 

 東京都知事選はひどかったですね。何がかと言いますと、ポスターです。ちゃっかりビジネス広告に利用されていました。政治モラルが疑われます。

 国会議員も大きなことは言えません。岸田首相が退陣を表明した背景には自民党の裏金問題があります。党総裁選後に衆議院選挙を行う可能性がありますが、政治とカネの問題を正していくためにも、先に、選挙制度を変えることを考えてはどうでしょうか

 

 

 衆議院小選挙区比例代表並立制は、アメリカやイギリスの二大政党制を目指して、1994年に中選挙区制を廃止し導入されました。その後、民主党が政権を奪取した時期がありましたが短命に終わり、二大政党制とは程遠い状況となりました。そして、小選挙区制については、

ポピュリズムの温床になっていて、政局が「右傾化」している

・公認を得るため党に逆らえず、多様性が失われている

・候補者が固定され、新陳代謝がなされない

・政治活動がハードになった

小選挙区で落ちたのに比例代表で復活できてしまう

など様々な批判があります。

 

 日本の選挙は、ムラ長を選ぶように「人」を選ぶことが基本です。「政策」を選ぶ仕組みになっていないのです。かと言って問題ばかりではありません。小選挙区制にしたことで選挙にかかるお金は少なくなり、派閥政治が鳴りを潜めたのも事実です。これがベストと言える選挙制度は、欧米諸国でさえ見出していません。(久江雅彦ら「小選挙区制は日本をどう変えたか」岩波書店

 ただ、経済的観点から見ると、選挙制度の見直しができなかった30年間は、日本の長期低迷期と重なっています。変化に乏しくなっているのです。それは、政権を維持するため、岩盤支持層である「保守右派」を意識した政権運営を行わざるを得ないからです。でも、今、求められているのは、多様な考え方や価値観の存在を認め、それを包摂していく姿勢です。このまま、格差が広がり、中流以上とそれ以下の国民の溝が深まることになれば、二大政党制どころか社会の分断が生まれます。(伊藤俊行「右傾化のからくり」中央公論新社

 

 大事なのは、政局の押し合いへし合いから政策が生み出されていくダイナミズムをつくることです。そのための選挙制度改革は必須です。具体的には、候補者や議席の一定数を女性やマイナー層に割り当てるなど、様々なステークホルダーを想定したクオータ制を採用するのです。

 また、デジタル情報化社会では、国民の多様なニーズに合わせていく必要があります(鮫島浩「あきらめない政治」那須里山舎)。「人」を選ぶのではなく、候補者が訴える「政策」を選ぶ方式の選挙制度を考案するべきです。そうすれば、候補者の説明責任は高まり、甘えは許されなくなります。選挙権者の意識も変わってきます。この機会にぜひ、政治の本質を捉える仕組みづくりを考えてはどうでしょう。