第三次世界大戦は起きる!?知っておきたい「戦争予防」策

2024年9月16日(月)

 トランだ。

 

  12日、プーチン大統領は西側諸国がウクライナに供与した長距離ミサイル攻撃を認めればNATO北大西洋条約機構)が戦争に参加したとみなすと警告した。イスラエルの動向からは目が離せない。中国は東シナ海を狙っている。アメリカでは、トランプ氏が、自分が返り咲かなければ第三次世界大戦が起こると言って大統領選挙戦に突入している・・・。

 嫌な雰囲気だ。このままいくと本当に第三次世界大戦を引き起こしかねない。良策はないものか。実は、人は最も激しく対立する敵同士であっても、非暴力的に争う方を選ぶ。武力紛争はデメリットが大きいからだ。ここに「戦争予防」のヒントがあるぜ。

 

 「戦争の原因は何か?」と問われたら、貧困、モノ不足、資源、気候変動、民族分断、為政者の不正、武器の拡散が挙がるだろうが、そうじゃないぜ。これらはあくまでも表面上の理由だ。真の理由は、①抑制されていない利益、②無形インセンティブ、③不確実性、④コミットメント問題、⑤誤認識の5つだ。これらがデメリットを上回った時、戦争が起こる。

 ①は為政者の問題だ。戦争の利益を自分のものにし、代償は社会に負わせる。だから、歯止めが効かない。②は名誉に関わることだ。交渉の余地は限られる。③は情報不足が原因だ。「殺られる前に殺る」となってしまう。④は合意の実行を強制する権力の不在を意味する。⑤は危機時の「速い思考」のせいで状況を見誤ることだ。「戦争予防」したいなら、これらを意識しよう。

 

 対策の一つは、経済的に「相互依存」を形成するとともに、社会的交流を促すことだ。相手の「孤立」を防ぎ、多様な意見や考え方を知ることは、不確実性や誤認識の最小化につながる。もう一つは、「多中心的ガバナンス」の構築だ。一つの国や一人の指導者に権力を集中させてはならない。大いに抑止力を効かせようぜ。(クリストファー・ブラットマン「戦争と交渉の経済学」草思社

 

 改めて考えると、今、世界中で流行している「自国主義」は危ういな。むしろ、これまでの新植民地主義グローバリズムを素直に反省し、考え方を根本から変えるべきだろう。例えば、途上国の債務負担を緩和する方策は絶好のアピールになる。(スラヴォイ・ジェジク「戦時から目覚めよ」NHK出版新書)

 また、相手を理解する試みは大事だ。そのためには、その国にとっての「戦う論理」が何であるかを見極めることだ。特に衰退に向かう国が戦争をしでかす可能性を軽視してはいけない。(豊島晋作「教養としての国際政治」KADOKAWA

 日本では、留学生や労働者の受け入れ拡大を図ることで、自分たちの価値観を相対化できる。「日本は平和主義だから戦争なんて関係ない」と思考停止に陥るのではなく、心の準備を怠らないことが大切だ。

 

昭文社「地図でスッと頭に入る世界の国力ランキング」)