「無形資産」改革でねらえ、一発大逆転!

2023年10月16日(月)

 フィナよ~。

 

 「失われた○年」って言われて久しいわね。この30年間、潜在成長率は3%が1%未満に、1人当たりGDPは3位(1995)が30位(2022)に、国際競争力ランキングは34位(2022)に落ちたわ。平均賃金の伸び額は、韓国や米国では200万円以上もあるけど日本はわずか18万円。加えてインフレで預金価値も減るし、踏んだり蹴ったりね。でも厳しいのは日本だけじゃない。世界の先進国も経済停滞に直面しているの。

 鍵を握るのは「無形資産」よ。経済は物質的なものから、アイデア、知識、関係に基づくものへ変わっていく途上にある。日本にとってはチャンスよ。周りの国がもたもたしている間に、一気にごぼう抜き・・・できるかしら?

 

 「無形資産」は文字どおり、形の無い資産。ソフトウェア、知的財産、研究開発、ネットワーク、ブランド、口コミなどね。スマホのアプリなんかも該当するわ。いずれはお金や不動産といった「有形資産」に変わるものよ。こうした無形資産は、主要先進国ではGDP比で有形資産を上回っている。でも、無形資産への投資に2010年あたりからブレーキがかかり出したの

 原因は、特許戦争、研究不正、格差増大といった無形資産の欠点が目立ってきたことね。なにせ「勝者総取り」の世界だからエグイわ。最も成功している企業と後続企業とのギャップは激しく拡がっている。

 

 より根本的には、有形資産から無形資産への移行に、制度が追いついていないことが問題よ。このため、みんな投資を控えるようになった。実は前例があるわ。

 一つはイギリスの産業革命よ。企業や発明家が制度を迂回したり逆手に取ったりして、商業的な機会を利用したの。その結果びっくりすることに、この時期のイギリスの経済成長は年率たった0.3%だったの。決して黄金期なんかじゃなかったの。

 また、ライト兄弟といえば航空産業のパイオニアだけど、彼らに異様に広い特許が与えられたおかげで、米国内の航空産業への投資が滞ったわ。そのせいで、なんと第一次世界大戦では米国は航空機を十分に調達できなくなったの。急遽、政府が介入して特許を安く使えるようにしたので何とかなったの。(ジョナサン・ハスケルら「無形資産経済見えてきた5つの壁」東洋経済

 

 今こそ、政府の介入が必要よ。累進課税を強化して財政の自動安定化を高めるとともに、その財源を、基礎研究や教育、そしてカリスマ的ミッションに投資することね。お隣の韓国は「K-POP」で成功したわ。日本にだってお宝コンテンツは山とあるはず。これまでに蓄積された創意工夫がインバウンドのおかげでどんどん発掘・再発見されつつある。国の強力な「推し」に期待するわ。そして、知的所有権を少し緩めて、無形資産間でシナジー効果を生むようにするべきね。これこそ現代版産業革命よ。危機感をもって改革を進めましょう!