2019年9月23日(月)
レーブだ。
ついにセブン-イレブンが沖縄に出店した。これで全都道府県にセブン-イレブンが展開されたことになる。すごいことだと素直に受け止めたい。
今、全国的にコンビニの抱える課題がクローズアップされている。特に、店員やオーナーの肉体的・精神的疲労は心配だ。コンビニで働く人が「活き活き」していないと利用客も元気を失う。
コンビニの年間売上高(2018年)は11兆9780億円。スーパーが13兆円1609億円、百貨店が6兆4434億円ということから考えるとやはりすごいことだ。(経済産業省「産業動態統計」)
店舗数も全国で5万店を超えている。もはや我々の生活にとって無くてはならないインフラでもある。日本フランチャイズチェーン協会も2015年に「経済・社会的役割としてのコンビニエンスストア宣言」を開示した。(根城泰ら「最新コンビニ業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]」秀和システム)
【コンビニの国内店舗数と平均日販(2019.4末)】(週刊ダイヤモンド2019.6.1)
セブン‐イレブン 2万 925店 65.6万円
ファミリーマート 1万6426店 53.0万円
ローソン 1万4671店 53.1万円
ミニストップ 2183店
デイリーヤマザキ 1493店
セイコーマート 1189店
ニューデイズ 492店
ポプラ 475店
しかし、課題は多い。コンビニの強みである「便利さ」の裏返しと言えよう。
店員については必要なパート・アルバイトを確保し、できるだけ早く戦力化しなくてはならない。しかし、業務の大変さの割に給料は少ない。
まずもって商品の種類が多い。レジ上にぶら下がっているタバコの種類も半端ない。公的料金の支払い代行サービスもある。コンサートチケットなど様々なものも販売している。店員はこれらの内容や手続き、トラブルへの対処方法を把握しておかなければならない。
外国人店員も多い。大手三社で4万人(2017年)、20人に1人の割合とされている(芹澤健介「コンビニ外国人」新潮新書)。しかし、長続きしていないように見受けられる。言葉の問題もあるだろう。
いつでも利用できるのは確かに便利だ。24時間営業の店舗は8割以上にのぼる。しかし、利用されている時間帯のうち深夜早朝の利用はわずか4.6%だ(リサーチバンク社「コンビニエンスストアの利用に関する調査」(2013))。
さらに、「セーフティステーション活動」への参加も求められている。要は治安維持の片棒を担げということだ。しかし、深夜帯で店員が1人2人いたところでどこまで対応できるだろうか。そもそもコンビニ自体が強盗に遭うおそれがある。メンタルが強くないとやっていけないだろう。
こうした実態から、そこまで稼がなくてもよいから24時間営業を止めたいと申し出るオーナー側の動きがある。しかし、本部からすれば売上高が落ちるのは避けたい。ただでさえ店舗数の増大に伴い1店舗当たりの売上高が落ちている。本部からのペナルティをおそれて時短に踏み切れないオーナーも多いだろう。オーナー家族が交替で店に立たざるを得なくなるケースもある。これはサステイナブル(持続可能)なビジネスモデルだろうか?
現場は疲弊している。
加えて、少子高齢化が進み客層が変わりつつある。2004年度と2013年度を比較すると、20代が29%から19%に減少し、50代は22%から30%に増加した。
店員は若い人が多い。学生もいる。中高年層の客に適切に対応できるだろうか。年下だからと横柄な態度をとる客もいるだろう。
コンビニは、世界にも類のないシステムを導入することで、究極のワンストップサービスを展開してきた。しかし、それはあくまでも営業成績を上げるという観点で行われてきた。
これからは、システムでもって、コンビニで働く人を守るための仕組みを導入すべきである。例えば、地域内輪番制による営業時間の縮減、店員の体調管理・メンタルサポート、利用客対応のための警備システムや法的措置の簡便化などが挙げられる。
店員の笑顔は利用客にとっても嬉しい。便利さを享受するだけでなく、地域ぐるみで「守る」ことを考えていくべきだ。
こうした体制整備を図ることができれば、一般医薬品の店頭販売や健康ステーション設置、商品のリサイクルシステム・リユースシステムへの参加など、さらなるサービスの拡充も可能となる。その先には、私たちには思いもつかないコンビニの進化が待っている。