「実用哲学」の道へ、一歩を踏み出そう!

2019年9月30日(月)

 エディカです。

 

 先が読めない現代・・・・・今こそ「哲学が必要」とか言われてるわね。でも、そう謳っている書籍を見ても、ちょっと期待外れってところかしら。

 例えば、「監視社会」は「パノプティコン」と表現されるというように、世の中の事象を難しい用語を用いて整理するだけにとどまっていたり、過去の哲学者の業績を、辞書のように単に羅列するだけだったりとかが多いわね。結局、「哲学が本当に役に立つかどうかは自分で考えてみて」って、ボールを投げられている感じね。

 だから、ここでは私なりに、みんなにとって「参考になる」考え方に絞って紹介するわ。

 

f:id:KyoMizushima:20190902235306j:plain

 

 ルサンチマンって聞いたことがある?「サンドウィッチマン」じゃなくてよ。キルケゴールニーチェが提唱した言葉で、「弱者による強者への嫉妬、怨恨、やっかみ」っていう意味らしいわ。

 

 現代人は「平等性」に極めて精密なセンサーを持っているから、ちょっとした差に対しても敏感になってしまうの。特に、(結果の)平等が重んじられてきた日本社会にとても当てはまる言葉じゃなくて。ルーマニアのモスコヴィッシは、「差別や格差は同質性が高いからこそ生まれる」って言ってるわ。(山口周「武器になる哲学」KADOKAWA

 

 これからは日本でも経済的格差が徐々に広がっていくわ。若いころは、「人生はまだまだこれからよね」とあまり気に留めていなかった人も、40代、50代と歳をとるにつれて知らず知らず他人と自分を比較するようになって、不満を貯めこみやすくなるの。

 よく中高年がキレるって言うけど・・・・人生も後半に差し掛かっていくと、先行きも何となく見えてくるようになって・・・・余裕が無くなるのね。

 こうした場合、どういう心の持ち方をすべきかしら?

 

 フランスの偉大な哲学者デカルトが、自分に課した行動ルール(格率)が役に立つかも。

 それは、①自国の法律・習慣に従うこと、②いったんこうと決めたらブレないこと、③周りじゃなく自分を変えること

 これらは彼の名著、『方法序説』に示されているわ。

 

 つまり、他人は他人、自分は自分と割り切って、よそ見をせず真っすぐ生きていくということね。人間の思考は意外なほど視覚的なものなの。「人は見た目が9割」って言われるけど、目にしているモノの影響は馬鹿にできないわ。視覚からの刺激を受け取る脳をうまくコントロールすることね。小川仁志「『哲学』思考法で突然頭がよくなる!」じっぴコンパクト新書)

 

 世の中のルールを守ることは大前提よ。そして、他人がルールを守っていなかったとしてもそのことを「ズルい」って思うんじゃあなくて、そんな「小っちゃな」自分をも乗り越えていくことね。 そうすると、自分にとってもっともっと大事なことに集中できるんじゃあなくて。

 

 ただし、決してひとりよがりになるのではなく、周りとつながりながら生きていくことが大事ね。なんだかんだ言ってもヒトは社会的動物ですもの。

 フランスのデュルケームは、「アノミー」(無連帯)という概念を提唱したわ。「いい大学に入っていい会社に入って一生懸命働けば一生幸せに暮らせる」というのはもはや昔話の世界。こうした価値観が崩壊した現代社会で人々の孤立化が進んでいるわ。

 会社に頼りきるのではなく、家族や友人、ソーシャルメディアを通じた人間関係づくりを考えておきたいわね

 

 そして、もっと肩の力を抜いて生きること。パスカルに言わせると、人間の営みの多くは「退屈しのぎ」のためのものらしいわ。何かしら行動してなければいけないなんてものじゃないの。厄介なのは、自分の欲望に勝てないとき、何かしらの刺激を欲するときね。そんなときは「悩み」もセットでやってくるわ。

 

 とりあえず以上ね。

 どう?ちょっとは哲学に興味を持ってもらえたかしら。哲学って小難しい言葉が多いし、「人生って何?」みたいな重たいイメージがあるから、ちんぷんかんぷんでとっつきにくいものに見えるけれど、興味がありそうなところだけつまみ食いして自分のモノにしていったらいいんじゃない。それこそ肩の力を抜いてね!

 

 ちなみに、みんなで語り合って思考を深めていく活動に「哲学対話」っていうのがあるの。アメリカのリップマンという哲学者が「子どもの哲学」として教育に採り入れたものよ。

 これは、小手先では太刀打ちできない大きな問題や答えが用意されていない課題を、みんなで協力し合いながら、ひたすらに考えて問い直しを行うの。こうすることで、①相手の話を真摯に聞くことができる、②生活をより実感できる、③「あたりまえ」に乗り切れない人を救うことができる、というメリットがあるわ。 ぜひ、日本の学校教育でも採り入れて欲しいし、社会人が参加できる機会も欲しいわね。

(土屋陽介「僕らの世界を作りかえる哲学の授業」青春出版社

 

 さあ、難しいお話はここまでにして、フォトジェニックでおいしいものでもどうぞ!アリストテレスも言ってるわ。哲学は「驚き」から始まるの! 

 

 

f:id:KyoMizushima:20190902235612j:plain