お金に踊らされるな。「マネー心理」でお金を飼い慣らせ!

2023年4月10日(月)

 フィナよ~。

 

 うまいもうけ話に引っかかって大損する人が絶えないわ。奇妙なことに被害者はそこそこお金を持っているのよね~。もっと欲しいのかしら。

 令和6年度から壱万円札の図柄となる渋沢栄一は、「お金は仕事をしたあとのカスだ」とも言ってる。「カス」は言い過ぎね。せめて「チョコレート」くらいにして。(早坂隆「世界のマネージョーク集」中公新書ラクレ

 

 

 人は「所有」したがる生き物よ。お金もその一つ。ここでいう「所有」とは心の中にある概念のこと。人は「所有」によって自分を、アイデンティティを保つことができるの。持ち物を見ると人となりが分かるって言うじゃない。入手したものは手に触れられる成功の証なの。世の中は物体の無いデジタル社会に移行しつつあるけれど、SNSのスタンプも立派な「所有」ね。

 狩猟採集の時代にはこんなことは無かったわ。狩り場を移動する暮らしでは、モノを多く持つことはできなかった。そして、モノを分け合うという行為が普通だった。そうじゃないと少人数の集団では生き延びられなかったから。

 

 現代は生きること自体、そこまで大変じゃない。そして、インターネットを通じてあちこちの不特定多数とつながっている。ミーアキャットのように、いつも周りをキョロキョロ見渡して、かといって自分のいる集団を守るわけでもなく、社会に埋没しない自分を認めてもらおうと、お金を増やし、モノを「所有」して「見せびらかし」を行っているに過ぎないの。

 今どき、「見せびらかし」も巧妙よ。シリコンバレーなどデジタル社会で成功を収めた人たちにとって、ジーンズとスニーカーという安っぽい格好は勝者のステータス。「カウンターシグナリング」って言うの。

 皮肉なことに、高級品を苦労して手に入れて身に着けても、思ったほど他人から称賛されないわ。むしろ、人は他人を妬む。それに、高い所得で人生の満足感を得ることはできても、幸福までは買えない。最高に刺激的な体験ですら、やがて退屈なものになるの。面白いことに、高所得者のほうが「承認の数」を重視するみたい。どうやら私たちは楽しむことよりも、楽しみを追い求めることに突き動かされているのね。(ブルース・フッド「人はなぜ物を欲しがるのか」白揚社

 

 大事なのは周りの人と比べないことよ。他人の目を気にしなければ、欲望は抑えられるわ。これこそが「マネー心理」の極意の初歩よ。会津地方の「身不知柿」(みしらずがき)という柿は、身の程知らずなほどたくさんの立派な実をつけ過ぎて、枝が折れてしまうことがあるわしいわ。「足る」を知るべきね。

 もちろん、生活していく上である程度の貯えは必要よ。一定の裕福さを保つコツは、「倹約」と「慎重」。お金は得るだけじゃなく、維持することが重要なの。心構えとしては、「将来どうなるか分からないけれども、今のうちにできることはやっておき、その後はなるようにしかならないから、のんびり行こう」という楽観さが必要よ。

 お金を貯めている人は部屋が片付いているわ。モノが「見える化」されているの。だから、似たようなモノを買ったりしない。冷蔵庫だってきちんと片付ければ、消費期限切れで廃棄することなく食費をコントロールできるわ。衣服は1年以上着なかったものは処分する。制服のように着る服を決める。そうやって余計な出費を抑えるの。(黒田尚子「お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか」日本経済新聞出版)

 

 「慎重」な投資もおススメよ。現代は人生100年時代。私たちは複利というものを直感的に理解することができないけれど、その力は大きいわ。とにかく時間をかけること。著名な投資家ウォーレン・バフェットの凄さは、長期にわたって投資し続けたことにあるの。「資産寿命」を延ばすことを考えてほしいわ。

 そして、うまいもうけ話に引っかからないためには、個別の成功例や失敗例を見て安易に流されないことも大事よ。投資も貯蓄も比較的新しい概念。だから、真の正解はまだ見えていない。少しくらい価値が下がっても「長く持ち続けよう」と思えるような、自分の好きな商品を選ぶくらいの姿勢でちょうどいいの。(モーガン・ハウセル「サイコロジー・オブ・マネー」ダイヤモンド社

 

 英語のマネーの語源はモンスターの語源でもあるわ。お金という「怪物」をいかに飼い慣らすか、「マネー心理」を駆使して人生を楽しんでね。