2019年10月14日(月)
エンヴィです。
台風19号はすさまじかったですね。みなさんは大丈夫でしたか?
こうした自然の脅威に遭うと、環境問題をなんとかしないと、とつくづく考えさせられます。
さて、先日、自宅の庭の草むしりをしました。今年に入って3回目ですが、季節ごとに生える植物の種類が違っていて面白いです。春先にはタンポポが群生します。種をまき散らさないよう息を止めてわたぼうしをゴミ袋に入れます。ピンクの可愛らしい花を咲かせるのもあります。地下茎を這わせる雑草もあります。
草むしりはなかなかの重労働です。普段使わない筋肉を使うので、翌日、足腰や手指が痛くなるのはお約束です。夏は熱中症に気を付けなくてはなりません。ヤブ蚊は体を動かしていても平気で腕や足に止まってきます。刺されないよう注意していると神経もすり減らすことになります。
いっそのこと除草剤を蒔いて楽をしたいとは思いますが、除草剤は人工の化学物質です。自然環境や人体への影響を気にせずにはいられません。 そして、ぼくたちの生活は様々な化学物質による恩恵を受けています。このことを意識している人は少ないでしょう。
そして、知らず知らずのうちにぼくたちの行動が環境汚染につながっている可能性までも見過ごしてしまいます。
古い話ですが、アメリカの発明家トマス・ミジリーは、自動車のノッキング問題を解決するため、鉛入りの燃料を開発しました。エンジンは滑らかになりましたが、鉛を含んだ排ガスは世界中を汚染することになりました。おまけに、戦後に世界で犯罪率が跳ね上がった時期は、鉛汚染が増加した時期と一致したそうです。(トム・フィリップス「とてつもない失敗の世界史」河出書房出版社)
現代でも例は挙げられます。寒くなるとフリースを着ると思いますが、1着のフリースを洗濯機で洗うと2000本の小さなプラスチックの繊維が発生します。排水されてマイクロプラスチックとなり、海洋に漂います。逆に夏は日よけ止めが欠かせなくなっているでしょうが、海で洗い流された紫外線吸収剤はサンゴの死滅につながります。
当然、政府は規制を行っています。化学物質審査規制法によって、化学物質ごとにリスクの大きさに合わせて化学物質の用途や流通を制約しています。
問題は国内に留まりません。化学物質は、大気や海流、魚介類等を通じて地球規模で移動します。「POPs」と呼ばれる残留性有機汚染物質は、北極域に居住するイヌイットにも届き、血液中のPCB(ポリ塩化ビフェニル)の濃度が著しく高いことが報告されています。こうした移動を厳しく管理する「ストックホルム条約」といった国際的な規制もあります。(日本環境化学会「地球をめぐる不都合な物質」講談社ブルーバックス)
しかし、これらの規制はどちらかと言うと化学物質を製造・使用する「業者」を対象としており、最終的なユーザーであるぼくたち「消費者」を対象としていません。
今一度、ぼくたち一人一人が意識を高く持つことが大事です。地球温暖化は節電等で対応しています。プラスチックごみはリサイクルに回しています。同様に、化学物質を使う際や使い終わって処分する際にも「適切な行動」というのがあるはずです。
そこで提案です。政府は業者と連携しながら、ぼくたちに「適切な行動」を促すような注意喚起を行っていくべきです。まずは取り組みやすい行動から、そして、分かりやすい形で注意喚起を行っていくことが必要です。
例えば、「除草剤はできるだけ使わずに草むしりしましょう。」と呼びかけるとします。その際に、「草むしりはちょっとしたスクワット運動になります。フィットネス代が浮きますよ。」と併せてナッジする(肘でちょいと突くように行動を促す)こととしてはどうでしょうか。
「フリースの洗濯の頻度は少なめにしましょう。乾かす手間が一つ省けます。」、「日焼け止めは薄めに。たくさん塗るとサンゴまで白くして(白化)しまいます。」など、いろいろなバリエーションもあることでしょう。
草むしりをしていると植物の強さ、したたかさを感じます。というか、年を経るごとに、種類も生えるエリアも増えていっている気がします。手に負えなくなりつつあるのは間違いないのですが、こうした生物の逞しさを体感しながら、一方で気候変動や自然災害、人為的行動には弱い面があるというはかなさを慈しみながら、これからも草むしりを続けていこうと思います。