今こそ水害対策!「〇〇マラソン」級の訓練イベントが効果的

2019年11月18日(月)

 トランだ。

 

 今年の自然災害もひどいことになったな。特に台風19号は大きな爪痕を残した。千葉の被害も尾を引いてるな。「強靭国家」とか言ってるが、ほころびが出まくってるんじゃあないか。

 

 そもそもだが、住宅の整備計画に節操がなさすぎたんだろう。被害に遭ってるのはたいてい一軒家だ。郊外にどんどん作ったおかげでライフラインが伸び切ってしまった。インフラも十分カバーしきれなくなる。ちょっとしたことでもダメージは計り知れないぜ。ちなみに欧米の主な都市では不動産開発が行き過ぎないようコントロールされているんだぜ。

 人口減少のおかげで「コンパクト・シティ構想」が叫ばれるようになったが、防災対策のコンセプトだけはしっかり入れておいて欲しいところだ。(日本経済新聞社「限界都市 あなたの街が蝕まれる」日経プレミアシリーズ) 

 

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 台風19号による東京の被害は思いのほか小さかったが油断は禁物だぜ。東京は海抜ゼロメートル地域が江東区を中心に広がっている。地下鉄も張り巡らされているから、電車移動中に浸水でもしたら大変なことになる。23区内の鉄道内滞留者は約30万人と試算されているぜ。(土屋信行「水害列島」文春新書) 

 もちろん、東京だけでなく大阪や名古屋なども要注意だ。ところがだ。この20年間で浸水想定区域内の人口は全国で約150万人も増えているらしい。全てがマンションというのであればまだいいが、不安を感じざるをえないぜ。

 

 防災意識も課題だ。地震と比べて、水害に対する意識はお世辞にも高いとは言えないな損保ジャパン日本興亜が実施したアンケート調査(2019年2月。1,200名)によると、「大雨・台風への備えをしている」と回答した人は34%に留まっている。ちょっとお寒いんじゃあないか。 

 人間には「正常性バイアス」ってのがある。「たぶん大丈夫だろう」と自分については簡単に肯定してしまう。2005年にアメリカで発生した「ハリケーンカトリーナ」を覚えている人も多いだろう。死者・行方不明者は1800人以上とされている。この災害の教訓は、多くの人が以下のように考えてしまうことだ。 

1.そんなことは起こらない。

2.起こるとしても、私には起こらない。

3.起こるとしても、そして私に起こるとしても、深刻な事態にはならない。

4.起こるとしても、そして私に深刻な事態が起こるとしても、それを防ぐ術がない。

 

 要は、脳ミソがフリーズしてるってことだ!命を守りたいならこうした「本能」と闘わなくちゃあならない。 

 ぜひ地域で防災訓練をリアルに行って欲しいぜ。河川の堤防が決壊したと仮定して、避難場所へのルートを自分の足で確かめさせるんだ。もちろん、低地にある避難場所や浸水地域には行けないなどの制約は必要だ。できれば夜間にやってほしいな。そして、電車やバスなど公共交通機関を止めるなど大掛かりなのがいいな。老人ホームなど施設からのレスキュー、指定避難所への物資搬送、医療スタッフの配置など、発災直後の対応までは試しておきたいところだ。

 

 現実的じゃあないって?

 そういうこと言ってるからダメなんだぜ。マラソン大会でも道路を封鎖して大掛かりにやってるじゃあないか。あれができるんならできるはずだぜ。行政の本気が見たいぜ。イベント風にやれば住民も参加するだろうし、みんなの意識も高まるぜ。

 例えば、高速で流れるプールの体験なんかは効果的だぜ。水の勢いってのがいかに強いのか身をもって体感できる。ハザードマップを配って歩かせるのもいいな。一晩でもいいから避難所生活を体験しもらうってのはどうだい?これらを試してみることで避難ルートが適切か、避難所のインフラが整っているかなどそれぞれの目線でチェックしてもらえるぜ

 

 日本経済は青息吐息だ。そこへもって巨大な災害が起きればひとたまりもないだろう。公益社団法人土木学会の試算によると、地震発生から20年間にわたる経済的被害総額は、首都直下地震で78兆円、南海トラフ地震では1,410兆円に上るらしい(デービッド・アトキンソン「国運の分岐点」講談社+α新書)。しかし、一人でも多くの人の命を救うことができるのであれば、そこからの回復は見込める。防災インフラも大事だが、もっと大事なのは一人一人の意識を高めることだ。そして今がそのチャンスだぜ!