「経済予言」をしよう。日本は貧困とアートの時代に突入する!

2020年5月18日(月)

 コノミです。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、東京オリンピックパラリンピックの延期をもたらし、期待されていた「五輪特需」に冷や水が浴びせられました。

 

 経済損失は6000億円~20兆円と幅広く試算がなされています。一方で、オリンピック関連の建設投資がもたらす刺激効果の大部分は終わっているので、損失はそれほど大きくないという声もあります(NEWSWEEK 2020.4.14)。

 そもそも、オリンピック開催による景気浮揚効果は開催1年前にピークを迎えることが多いですし、オリンピック後には開催国の景気が低迷するという経験則があります。1964年の東京五輪の翌年も不況に陥りました(萩原岳「不動産を買うのなら五輪の後にしなさい」SB新書)。

 

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 経済予測はとても難しいです。複雑な現代社会ではたった1~2年先の未来でも難しいです。「日経大予測2019 これからの日本の論点」(日本経済新聞社)は、「物価情勢の改善に伴う金利調整」や「長期国債ETFの購入額を徐々に減らす可能性」を指摘していましたが、現実はそうなっていません。

 予測が外れるのはトレンドに沿ってなされることが多く、直線的なものになる傾向が強いからです。特に、下降線を辿る経済がいつ上昇に転じるかは、社会的、歴史的、技術的な要因が作用して予測できない面が大きいです。(中原圭介「ビジネスで使える経済予測入門」ダイヤモンド社)。

 

 しかし、一つ方法があります。景気循環を考慮するというものです。例えば、世代に着目した「25~30年」というサイクルがあります。世代間隔自体は過去数百年を通じてほとんど変化していません。約25年単位の核家族的な周期の成立が社会の形成に影響してくるというものです。ちなみに、「イノベーション」で有名な経済学者シュムペーターは、新産業の拡張から停滞への転換が約25年で起こると考えました。

 50年周期というのもあります。有名なのは「コンドラチェフの波」です。これは、鉄道、道路、大規模な工場設備、港湾、ダム、発電所等の社会的インフラの耐用年数に着目したものです。

 加えて、複雑な世界を単純化するという「哲学」的考え方、「歴史」学的な思考力、「自然科学」的な発想が重要です。特に、歴史については、人間は同じような過ちを繰り返してきたという点に注目すべきです。

 

 こうしたことを踏まえて歴史を振り返ると、16世紀と21世紀は類似点があるとされています。それは、①グローバリゼーションと②情報爆発という2つの変化です。16世紀は大航海時代でした。マゼラン艦隊が世界一周し、世界が結ばれました。グーテンベルクの発明した活版印刷も爆発的に普及しました。吉見俊哉「大予言」集英社新書

 これらは、現代のグローバル社会、インターネット革命とよく似ています。そうであるとすると、16世紀前後の歴史を紐解けば、これからの歴史を考察することが可能です。

 

 予言しましょう。日本は平和で安定した貧困な状態に陥るでしょう。そして、技術的にも世界の流れから立ち遅れていくことになるでしょう。 

 16世紀、日本は安土桃山時代(1568-1600)です。革命的な武器である鉄砲の保有量はヨーロッパを超え、世界全体の半数に及びました(吉田秀樹「港の日本史」祥伝社新書)。現代でいえば、自動車に当たります。

 世界では初期のグローバリゼーションのまっただ中であり、ポルトガル、スペイン、オランダなどが覇権を争っていました。日本も朝鮮、中国への進出の機会を窺いました。結果的には失敗し、その反動によって鎖国への道を歩むことになったのです。

 

 今、日本は、「高度経済成長よもう一度!」と夢見て悪戦苦闘しています。でも、歴史の減速時代に無理やり成長路線を突き進もうとすると社会のシステムは不安定になります。国際的緊張からも離れていたいでしょう。

 こうして、みんな疲れてしまい、争いのない、変化の少ない、その代わりに「清貧」をよしとする安定した世の中を望むようになります。江戸時代は外貨は獲得できず、武家諸法度に代表されるように、質素倹約が推奨されました。

 

 明るい未来を描ければよかったのですが、時代の流れは許してくれそうにないです。しかも、新型コロナウイルス感染症への対応は、私たちの行動変容や経済成長路線の見直し、地域ブロック化を促すのに一役買うことになりそうです。そして、周りのみんなも同じであれば、人は案外馴れていくものかもしれません

 

 経済がうまくいかない時代には文化(アート)が発展するとされています。江戸時代は、元禄文化化政文化に多くのアーティストが生まれました。楽しい暮らし方(型)が見つかることでしょう。

 今、必要なのは、発想をことごとく180°変えて現実を受け止めるという姿勢です。