2020年5月4日（月）
フィナよ～。
今年のゴールデンウィークは新型コロナウイルスのおかげで寂しいわね。「緊急事態宣言」も延長みたいだし。
危機状態が長期化すると経済対策が重要になってくるわ。アメリカでは3月27日に２兆2000億ドルの経済対策法案を可決したわ。日本でも4月30日、リーマンショックを上回る事業規模117兆円の補正予算が成立したわ。特に、１人一律10万円の給付は注目に値するわ。経済というのはお金を世の中で回すことだから、一人一人の生活を支援して経済活動を止めないようにすることが大事よ。国の借金が膨らむのは仕方ないけど、世界どこも似たようなパンデミック状態だから、日本だけがデフォルト（債務超過）で破産するってことはないんじゃない。ひょっとしたら、前回ここで提案したベーシック・インカム導入への道が開けたのかも！
それはさておき、ここでは「人の移動」に関する財政政策を話題にしたいわ。感染症という性質上、今、人の移動を伴う観光産業は大きく打撃を受けているわ。オリンピック・パラリンピックやユーロ2020といった国際的スポーツイベントは軒並み延期よ。その一方で、遠隔で人と人がやりとりできるオンライン・ツールの開発など一部の産業は進むわ。
裏を返せば、感染リスクを抑えながら「人の移動」を促進することができれば、日本経済にとって挽回のビッグチャンスになるわ！
「人の移動」がもたらす経済効果は測り知れない。仮に、財の国際貿易に関して残っている障壁をすべて取り除いたとしても、世界生産は0.3～4.1％しか増えないの（エリック・Ａ・ポズナーら「RADICAL MARKET 脱・私有財産の世紀」東洋経済）。でも、海外から日本への外国人観光客が１%増えるだけで日本への直接投資が約1.2億ドル（132億円）増えるそうよ。国際観光の振興と直接投資の流入には相乗効果があるみたい。加えて、移住による利益は絶大よ。労働者が国境を越えて自由に移動できると、世界のＧＤＰが67％から147％増えると試算されているわ。主な理由は、途上国から先進国へ移る労働者の生産性が上がるから。実際、アメリカに移住したメキシコ人移民の場合、１人当たりの年収は4000ドルから１万4000ドルに増えたそうよ。
もちろん、移住による負の面を心配する声もあるわ。移住が増えると、元から住んでいる人の仕事が奪われたり賃金が下がったりするんじゃないのという指摘や、社会保障の負担が増えるのではという指摘があるわ。
でもこれらは完全には当たらないってとこかしら。雇用環境に関する研究によると、移住してくる人と競合する人の賃金は下がるだろうけれど、元から住んでいる人と競合してその雇用まで奪うかどうかは不明よ。また、社会保障については、移住してくる人は、負担の割に制度を利用しないこと、すでに移住元の国で教育を受けていることから、財政負担を減らす効果が指摘されているわ。こうしたことから、移住を毛嫌いするのではなく、冷静に受け止めて判断することが大事よ。
（友原章典「移民の経済学」中公新書）
だから、しっかり感染予防し、事が起きれば追跡し、医療を提供できる仕組みがあれば大丈夫よ。今回の新型コロナウイルスによってみんなの経験値がものすごくたまったわ。政策面では一定のフォーマット（検疫強化→ＰＣＲ検査→行動調査→治療・療養→行動制限→経済政策）が完成したとみていいわ。みんなも、手洗い・うがい、マスクの着用、アルコール消毒、「３密」を避けるなど、一連の行動様式を改めて確認できたんじゃない。
そこで提案だけど、「身元引受人制度」を作って、移住してくる人を引き受けた人には「報酬」がもらえる仕組みを作ってはどうかしら。身元引受人としては事業者のほかに私たち「個人」が挙げられるわ。「個人」の場合、引き受けることができる移住者は「１人」までとするの。住まいは民泊みたいに自宅を提供したり、宿泊施設を借りてあげたりするの。「報酬」はこれらの費用に見合った金額にしなくちゃね。
感染リスクに対しては、今回強化された検疫体制でしっかりチェックするの。そして、チェックをクリアできた移住者には、移住先の地方自治体や身元引受人が、手洗い・うがいなど感染リスクに対する一連の行動様式を学ばせるお手伝いをするの。健康保険に参加させることも重要ね。
移住者と「個人」のマッチングや必要な手続きなどを支援する機関が必要ね。国が用意してもいいんじゃないかしら。
世界中で「人の移動」を手控えているから、移住したくてうずうずしている人が大勢いるわ。欧米と比べて新型コロナウイルスによる死亡者数が抑えられている日本は魅力に映るわ。今こそ思い切った発想が必要よ。日本政府は移住政策にテコ入れするの。そうすれば、瀕死経済の逆転満塁ホームランになるに違いないわ！
