立てよ!中間管理職。2020年代の「課長の教科書」

2020年1月27日(月)

 レーブだ。

 

 一年の計は元旦にありと言う。みんな、どんな願いを込めただろうか。今年は2020年と節目の年だ。今回は、いわゆる中間管理職用の新しい「教科書」を提示したい。

 

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 今、職場に大きな変化が起きている。「働き方改革」で時間外労働を無くしていく方向にある。一方で、世の中は複雑になり、気を付けなければならないことが増え続けている。一人当たりの仕事量は確実に増えている。加えて「成果主義」だ。働く者のプレッシャーは計り知れない。

 

 課長職をはじめとする管理職のストレスも大きくなっている(酒井穣「はじめての課長の教科書」ディスカヴァー) 。はたで見ている部下にとって必ずしも魅力的に感じないだろう。難しい時代だ。何らかの指南書が必要だ。

 

 この稿での「課長」の定義をしておく。職場によって異なるかもしれないが、ここでは以下を兼ねるものを指すこととしたい。

①管理職である。

②予算管理の実質的な責任を持ち、部下の人事査定を行う。

③課の業務遂行の責任者である。

 

 これからの時代は組織にも変化が求められている。サービス業が主体となり、「答え」が見えにくくなった。「答え」があることを前提とした仕事や組織のあり方は通用しない。また、多数派が全てではなくなった。様々な声やニーズに耳を傾けなければならない。これらを受け止められるよう、多様なものの見方がなくてはならない。よりフラットな組織が必要だ

 

 課長は「コメンテーター」の姿勢ではだめだ。部下による自由闊達な議論を促していくべきだ。まず答えは何かを議論する。その中から最も答えに近いと思われるアイデアがあれば積極的に採用する。そして、「責任は自分が取る」という構えで、部下にチャレンジさせていくことが大事だ。これらのことを実践していくためには、柔軟な発想力、論理力、説得力が求められる大前研一「『国家の衰退』からいかに脱するか」小学館)。

 リスクも許容しなくてはならない。となれば、危機管理能力も求められる。いざ事が起これば、いや起こりそうであれば、率先してスピーディな対応をしなくてはならない。平時から部下にも心がけを徹底させておくことが大事だ。

 

 また、現代は情報社会だ。知識はすぐに陳腐化する。時代の変化を捉え、いち早くキャッチアップしていくことが業績につながる。

 課長はこれまでの知識や経験だけでは通用しなくなることを自覚しておくべきだ。勉強を続けなければならない。時には自ら現場に降りていくことを勧めたい。「プレイングマネージャー」という言葉があるが、業務実践にも携わり、体感しながら知見をさらに広げることも大事だ。ただし、やり過ぎてはいけない。ここまでというラインを引き、あとは思い切って部下に任せるという判断が重要だ。部下のモチベーションのコントロールを忘れてはいけない。

 

 組織をまとめていく上では課長の力量が問われる。成果を出せない場合、その要因が課長の能力のせいだと思われたら負けだ。課長は強みのあるスキルを持っておかなくてはならない。職務に関する知識を身に付けることは最低条件だ。プライドをかなぐり捨ててでも必死に学ばなくてはならない。部下の知らないこともどんどん吸収するべきだ。

 課長ならではの社内ネットワークや社外人脈も有効に活用しよう。その上で、「この点はどの部下にも負けない」という「武器」を持とう。英語やプレゼン能力など個別のスキルでもよい。バランス感覚や危機管理能力といった総合力も大いに結構だ。

 「三國志」に登場する曹操は、兵法書である「孫子」に解釈を付けるほどの兵法の達人であった。勝率も高かった。そして、部下に任務を任せることが増える中、指示内容を軍令として書き与えた。このため、曹操軍は曹操がいなくても、将軍たちが軍令に従ったため強かった(渡邉義浩「はじめての三国志」ちくまプリマ―新書)。

 

 組織運営に対する哲学も必要だ。何のためにこの仕事を行うのか、部下に確実に理解してもらわなくてはならない。時代の変化を的確に捉え、説明する能力が求められる。

 そのためには、歴史を学び、人の心理を知り、これからどんなことが起きるのか「先読み」の技術を身に付けておかなくてはならない。関係する業界数字を熟知しておくことは最低条件だ。エビデンス・ベースでポリシーを語れるようにならなくてはならない。結局、課長が誰よりも一番働かなければならない。(稲盛和夫「従業員をやる気にさせる7つのカギ」日本経済新聞出版社

 

 最後に、「無事これ名馬」。健康管理は重要だ。漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の週刊連載を40年間休まず続けた秋本治氏は、午前1~2時に就寝、起床は7時半、睡眠はしっかり取っているとのことだ。(秋本治秋本治の仕事術」集英社) 

 

 以上だ。それぞれ自分に当てはめて考えてみてほしい。今年も頑張ろうではないか!