2021年2月1日
トランだ。
何でも今年の節分は2月2日なんだってな。124年ぶりってのが有り難いのかどうか分からないが、今年はみんな、「鬼は~外!」じゃなくて「コロナは~外!」って気持ちだろうな。
一方、このままいくと緊急事態宣言解除もままならない感じだな。不要不急の外出を控えろってことだから、「福は~内!」のほうがより重要だぜ!
日本の住宅政策は「持ち家」を中心に進められてきた。90年代半ばから住宅ローンの大半を市場経済に委ねたおかげで、ローンを返すため父ちゃんは会社で嫌な顔一つ見せず勤めあげ、母ちゃんは家庭を支えながらパートで経済面でも貢献するというスタイルを強いることとなった。少なくとも、こうした「標準モデル」がイメージされた。
しかし、状況が変わった。特に若年層では単身者だけでなく親元で暮らす「世帯内単身者」が増えてきた。彼らは低所得であることが多く、自分の「住まい」を確保するのは至難だ。加えて、新型コロナウイルスがとどめを刺す。住宅ローンを支払えなくなるケースが続出している。(Asahi Shimbun Weekly AERA 2020.12.14)
このままではいけなだろう。 必ずしも「持ち家」ではなく「賃貸」を基本として、一刻も早く、居住環境を整えていくべきじゃあないか。(平山洋介「『仮住まい』と戦後日本」青土社)
実際には、「住まい」を低額で提供する支援策がある。国土交通省は、「新たな住宅セーフネット制度」によって、増加する空き家・空き室を活用して、高齢者、障害者、子育て世帯、低所得者などの「住宅確保要配慮者」に、家賃低廉化などの支援を行っている。
もうひとひねり欲しいぜ!
「賃貸住宅」のみを対象とすべきだ。そうすれば「持ち家」のある世帯との経済格差を縮小できるぜ。さらに、支援の対象を、「健康配慮型の住まい」に住む者に絞るべきだ。低所得者は食事の内容に偏りが生じるなど、ただでさえ健康リスクを抱える可能性が高い。
住まいは健康に大いに影響するんだぜ。特に室温の影響はでかい。慶應大学の研究によると、脱衣所の平均室温が「14度」だと「12度」と比べて健康寿命が4歳延びる。逆に、夜間の室温が「9度未満」だと「9度以上」と比べて循環器疾患死亡リスクが4.3倍にも跳ね上がる。
WHO(世界保健機関)は、2018年11月、「冬の室内温度として18度以上」を強く勧告したが、その根拠となったのは、イギリスにおいて家の寒さと死亡率の関係を数十年調査して「住民の健康・安全性評価システム」を開発したことだ。イギリスでは18度以下の賃貸住宅には解体命令が出るんだぜ。日本では考えられないだろう。
ちなみに、室内を温かくするポイントは「窓」だ。冬場は60%の熱が窓から逃げる。窓に貼る断熱用プチプチシートが売れているぜ。あと、室内では衣服を着込まないことが大切だ。活発性が増して筋肉量の維持や脳の健康につながる。また、温度だけでなく湿度も重要だ。新型コロナウイルスもそうだが、感染症対策として50~60%の湿度を保つことが望ましい。(笹井恵美子「室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる」光文社新書)
「健康配慮型の住まい」への居住を促進することで健康リスクを低下させることができれば、居住者の生計も助かる。高齢化を見据え、「ケア付きの賃貸住宅」を推奨するのもいいだろう。また、こうしたタイプの住まい設計が当たり前となってくれば、賃貸だけじゃなく「持ち家」についても「健康配慮型」がもてはやされるようになるぜ。
もっと言えば、そもそも、「マイホームが夢」とか、「家を持って一国一城の主」とかいった古臭い価値観を無くして、「賃貸」中心の価値観にシフトチェンジすることが必要だぜ。住宅ローンの呪縛から解き放ち、新型コロナウイルスや自然災害のような危機に強いレジリエンスを獲得することができる。
ところで、「賃貸」と言うと集合住宅をイメージしやすいだろうが、別に一戸建てでも構わない。要はみんながやたら「持ち家」を欲しがり、郊外に開発された造成地に住宅を作っては壊すということを繰り返していたんじゃ、土地や資材、電気や水道、道路といったインフラがいくらあっても足りないぜ。
公共事業依存型の政策はやめて、今ある資産をリノベーションしながら活用していく方向に転換していくことが大切だ。また、「持ち家」は土地と合わせて資産として相続されるから、「持たざる者」との間で複数世代にわたる経済格差を助長する。相続税を見直して住宅承継に制限をかけるべきだ。子らには独り立ちすることを念頭に奮起してもらおうぜ!
「住まい」は人間が生きていく上での基本要素だ。そして、これからは、より多様な生き方を支えるものでなくてはならない。「鬼は~外!」があちこちで元気よく聞かれる世の中にしていこうぜ!