「失われた30年」を取り戻せるか?正念場の企業の「共通善」!

2024年7月15日(月)

 トランだ。

 

 日経平均株価が元気だな。11日に初めて42,000円台をつけた。ようやく、「失われた30年」を脱出できそうな気がするぜ。だが、こういう時にこそ企業の姿勢が重要だ。目指すべきは「共通善」の追求だ。

 

 「失われた30年」は雌伏の期間だった。マクロ経済はもたついたが、日本企業は密かに再興中で、グローバルな最先端技術の領域で事業を展開する企業が登場しつつある。

 「本当か?」と実感がわかないのも無理はないだろう。それは、「ジャパン・インサイド」のせいだ。つまり、完成品ではなく、素材や部品などの中間財が日本企業の強みとなっているということだ。具体的には、自動車、飛行機、携帯電話、コンピュータ、スマート・サーモスタット、電動歯ブラシなどの中間材だ。スマホのカメラだって、50%以上の確率でソニー製のチップで駆動されているんだぜ。

 ハーバード大学グロースラボの『経済複雑性ランキング』によると、日本は過去30年にわたって世界1位だ。その意味するところは、輸出品が多様で、重要物資の自給率が高いということだ。日本企業はしたたかに生きているってことだ。

 再興がのろく見えるのは、慎重さを求める日本社会の行動原則と捉えるべきだ。30年にわたる改革によって、多すぎる事業セグメントや従業員、融資が解消されつつある。今や反転攻勢に向けて準備万端だぜ。(ウリケ・シェーデ「シン・日本の経営」日経プレミアシリーズ)

 

 一方で、株主の発言力が強まっている風潮にはクギを刺しておきたい。特にスタートアップは急成長する反面、手段を選ばず、その影響に十分な注意を払ったりはしない。ペイパルのピーター・ティールは、独占は善で、テック創業者たちは神に等しいとさえ主張している。これじゃあ、だめだ。

 利益の追求を金科玉条とするのは危険だ。広い視野から考えることができなくなるし、独善的な態度を生む。その結果、人々から搾取を行うこととなり、結局、国による介入を許す。歴史を見れば明らかなことだ。フォードのやりすぎが労働保護法制を生んだ。エクソンの傲慢が独占禁止法を可決させた。フェイスブックは国民の分断リスクをもたらした。繰り返すのはもうやめにしよう。(ウィリアム・マグヌソン「世界を変えた8つの企業」東洋経済

 

 企業の目的は「共通善」の促進にある。同じ目標に向かって力を合わせることで、経済的な奇跡を起こすことができる。

 今の日本企業に求められているのは、焦らず、基礎研究の不確実性を受け入れ、計算されたリスクをとって、特定の新技術で勝負するという明確な戦略を持つことと、企業活動を通じて従業員や消費者の満足度を高めるという意識を持つことだ。そうすれば、利益は後からついてくる。ぜひ肝に銘じておこう!

 

マックス・チャフキン「無能より邪悪であれ」楓書店