学校の「メンタル」がヤバい・・・

2020年12月14日(月)

 エディカです。

 

 学校がヤバいわ。教師による生徒へのわいせつが問題。11日、萩生田文部科学大臣は「懲戒免職すべき」と考えを表明したわ。全国の公立小中高などでわいせつなどを理由に処分を受けた教員は増加傾向にあり、18年度は282人と過去最高よ(Asahi Shinmun Weekly AERA 2020.11.2)。

 わいせつ行為は生徒の一生に大きく影響するもの・・・だから、断罪は免れないでしょうし、再発防止の徹底も重要ね。

 

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 でも、より本質的な点にも目を配る必要があるわ。それは、教師たちの間に潜む「閉塞感」。以前、ここでも採り上げたスマホの問題や、部活動顧問、書類仕事の増加・・・彼らのミッションは留まるところを知らないわ。18年度には5212人(全職員92万人の0.57%)もの教師がメンタル不調で休職しているの。教師のストレス要因はこうした仕事量の増加によるものとみて間違いないでしょう

 

 加えて、保護者との関係も以前とは変化わったわ。90年代になって、「教育はサービス」という考え方が当たり前のようになり、学校に不満があれば文句を言ってもいいという風潮が生まれたわ。

 タイミングも悪かったわね。教師の世代交代が進んで50代のベテラン中心から20代の若手中心へと一気に様変わりしたわ。親御さんからすると子供の担任教師が自分より10歳も年下なんてこともザラよ。教師にとっては脅威ね。

 さらに、強いストレスは教師間のいじめにつながることも。2019年、神戸市で男性教師が激辛カレーを無理やり食べさせられたって事件が発覚したこと覚えてるかしら。

 

 教師のメンタルが心配ね。そして、教師という屋台骨がぐらつくと今度は生徒にも影響するものよ。生徒のメンタルもセットで考えなくちゃならないわ

 生徒にとっては学校は勉強だけの場じゃない・・・級友との人間関係もある。今の時代、いじめの対象もいろいろよ。小学4年生から中学3年生の6年間に、子供の9割が一度はいじめの「被害者」かもしくは「加害者」になっているの。それもSNSが利用されて・・・精神的にもくるわね。みんな、同調圧力の中で自分を押し殺してサバイバルしているのよ。

 さらに、新型コロナウイルス感染症は、生徒たちの「立ち位置」をいとも簡単に変えたわ。今まで活動的だった子が活躍の場を失って、逆に不登校の子が分散登校に適応できるようになったわ。そして、自分でも自分の気持ちがよく分からないのが思春期の子供たちよ。(諸富祥彦「いい教師の条件」SB新書)

 

 一方で、学校は競争の場でもあるわ。より良い人生を送るためには、本業である勉学に励まなくちゃならない。もちろん、競争に対する批判はあるでしょうね。でも、世の中は競争に満ち溢れている・・・学校だけが例外ってことにはならないの。複雑になっていく世の中で、よりよく生きていく力を身につけないとだめよ。もちろん競争は、あくまでも仕組みや基準のあり方に焦点を当てるべきであって、生徒にしわ寄せがきてはいけないわ。(クリストフ・リュトゲ「『競争』は社会の役に立つのか」慶應義塾大学出版会)

 

 今、学校現場には教師にも生徒にもメンタル・サポートが必要よ。具体的には「メンター」と呼ばれる人を配置して、彼ら一人一人に合わせたきめ細かな精神的・心理的サポートを行うの。傾聴と適切なアドバイスといった高度なカウンセリング能力が求められるわ。

 「スクールカウンセラーがあるじゃない?」って意見もありそうね。でも、彼らが学校現場の中でどこまで踏み込んでいけるかしら。メンターに求められるのは、相談が向こうから来るのを「待つ」のではなく、積極的に授業風景や課外活動の様子も把握しながら、教師や生徒のそれぞれに最適の対応を行うことよ。そして、ここぞという時には教師と生徒の間に立ち、場合によっては保護者や校長先生との間にも立つことができる胆力も求められるわ。 

 また、メンターの対応に個人差があってもいけない。メンター自身が問題を抱え込んでもいけない・・・だから、複数の目でサポートを実践していけるように、チーム体制を整えることが重要よ。(ダイアン・タヴァナー「世界最高の教室」飛鳥新社

 

 国や自治体はこういう点にこそ予算を割くべきね。教師も生徒も生身の人間・・・彼らが心身ともに健康でないと、良い人材は育たないわ。

 これからの不透明な未来に立ち向かっていく人材が、こうしたサポート体制の中で育つことによって、メンタル・サポートの仕組みを理解し、次世代を育成する時にも導入するといった好循環が生まれるでしょうね。日本の人口は減少するけれども、価値観は多様化して一人一人を大切にしようという考え方が強くなっていくわ。その時代に相互に助け合うことができる世の中を作り出すことこそ、学校教育にとって本望じゃなくて!