台湾は日本が活気を取り戻すヒントに溢れている!!

2019年1月14日(月)

 前回に続いて、Mizushimaが台湾旅行をレポートします。

 

台北の地価はとても高い】

  台北の街を歩くと煉瓦造りなど昔ながらの建物を上手に使っていたりして、見ているだけでも十分楽しい気分にさせてくれます(迪化街なんか特にそうですね。)。どうやら人は普段見慣れていないものに過敏に反応するようです。それとも、遺伝子に刷り込まれた過去の記憶が目を覚ますのでしょうか?

 

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 裏読みすれば、建物の新築や建替えはコストが高くついて困難なのではと考えてしまいます。高い地価に対する工夫の一つが昔からの建造物を利活用した「リノベーション」なのかもしれません。 

 

 台北市は人口が268万人(2017年)、面積が271.8㎢ですから、人口密度が9,872人/㎢です。東京都が6,320人/㎢、大阪府が4,631人/㎢ですから、いかにその密度が濃いかが分かると思います。

 加えて台湾自体が大きな島国です。急峻な山が多く平地が少ないです。3,000メートル以上の山が300近くあり、豊臣秀吉の時代には「高山国」と呼ばれていたそうです。

 こうしたことから台北は1人当たりの平地面積が小さく、地価が高くなるのでしょう。不動産店舗に貼りだしている広告をじ~っと眺めていたらお店のお姉さんが出てきました。「(物件の)値段が高いですね」とコメントしたら、「東京よりもexpensive(高い)!」と半ば誇らしげに答えてくれました(注;1元(1台湾ドル)=約4円)。

 

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 華やかな表通りから一歩奥に足を踏み入れると、一転して文字がかすれた看板を掲げたお店が並んでいる光景に出くわします。また、外観がいかにも古臭い中高層の住居ビルもたくさん目にします。さすがに全ての建物のリフォームや再開発に手が回らないのでしょう。両者のギャップに驚かされます。そしてその背景に、台湾でも所得格差が生じていることを感じるのです。

 

 台湾財政部の統計によると、納税額上位5%と下位5%の所得平均額の差が広がっているようです。具体的には、2005年度はそれぞれ7.2万元、396.9万元と両者の差は55.13倍でしたが、2014年度になると4.7万元、525.6万元と111.83倍にまで広がっています。格差が縮まらないことへの不安が現体制の経済対策への不満となり、先の地方統一選挙の結果に現れたのかもしれません。

  

 

【日本人が忘れたもの】

 台北から足を延ばして九份に行きました。某日本映画のモデルと噂されたところで有名です。現地は大雨でしたがそれにも関わらず大勢の観光客で賑わっていました。

 ところで、お店の試食や試飲はクセものです。何がクセものかというと、あっという間にお腹いっぱいになることです。超高層ビル台北101」の地下にある土産品売り場でも感じましたが、多くのお店でパイナップルケーキの試食や烏龍茶の試飲を薦められます。 

 お客もお客で「買う気ゼロ」感がありありなのですが、みんな遠慮なく手を伸ばしてパイナップルケーキの角片がささっている爪楊枝を受け取っていきます。これら全てに応じていると、もはやどのお店のものが一番おいしかったのか分からなくなってきます。そして、お腹いっぱいになります。その日のご飯代は確実に浮きます!

 ローカルなお店では言葉の全てまでは分からないことも多いですが、雰囲気に完全に圧倒されます。そして、・・・・・・めちゃくちゃ楽しいです!!

 

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 台北市内の地下鉄に乗ると目に付くのが「博愛席」という席です。席の並びの端に2つほどあって他のシートとは異なるカラーリングがしてあるので、一見して「優先席」と分かります。

 そして結構な確率で、博愛席に座っていた人がお年寄りに席を譲る機会に出くわします。このような光景は東京でも見られますが、頻度としては少ないように思います。

 

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 日本と異なる事情として、台湾が「若い」ということが挙げられます。台湾内政部の統計によると、65歳以上の人口割合は13.9%(2017年)です。日本が28.1%(総務省2018年)ですから、倍以上も「若い」です。台湾の平均寿命は80.2歳と既に長いです。医療水準も高いので、今後、高齢者の割合が増えていくことが予想されます。そうなると、「博愛席」の光景も変わっていくかもしれません。

 

 夜市にも出かけてみました。台北市寧夏夜市です。大変な賑わいを見せていました。鶏肉を揚げたものや羊肉を焼いたものがおいしそうでした。牛肉麺などの定番料理もありました。私は小アワビの串焼きを頂きました。その他、お汁粉のようなものや大阪焼きなんてのもありました。テントの下で食事できるスペースもあってその場で熱々を頂くこともできます。

 お世辞にも衛生的とは言えず、鼻をつく独特の匂いもして、今の日本ではちょっと受け容れられないだろうなあとは思います。でも、屋台と屋台の間の狭い通り道を人波に揉まれながら歩いていると、なんとなく懐かしさが込み上げて、「あ~、いいなあ」としみじみ感じてしまいます。

 

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 ひょっとしたら、綺麗でかっちりとしたものを求め過ぎた日本人が忘れてきたものがここにあるのではないでしょうか。グツグツ具材を煮ている鍋を前に尻込みしてしまいそうになりますが、ここでは心を裸にして飛び込んでいかなければ何も得られない感じがしました。

 バブルがはじけてはや20年、平成も終わりに近づこうとしています。どこか自信を失ってリスクを嫌い、内にこもりつつある日本。寛容さが失われつつある日本。背景には少子高齢化の影響もあるかもしれません。そんな私たちに、台湾の活気や優しさは元気を与えてくれるような気がしました。

 

 

 さて、以上が台湾旅行のレポートです。みなさんも機会があったらぜひ訪れてみてください。私も仲間たちに報告するつもりです。そして、今回の経験も踏まえながら、これからの日本のあり方について皆で一緒に考えていきたいと思います。