「好きなことをすればいい」のは能力が高い人。人口減少時代は早期教育で「考える力」を鍛えるべき。

2019年3月11日(月)

 エディカです。

 

 今年の受験シーズンも終わる頃ね。インフルエンザが大流行したりして受験生はぴりぴりしたんじゃない?

 お隣の韓国では行き過ぎた教育熱を風刺した「SKYキャッスル」というドラマが大人気のようね。でも、笑っていられない時代がやってくるわ。

 

SKYキャッスル

 

 日本の中学生・高校生の読解能力に疑問符「?」が付いたの。

 

 東大合格を目指すAI「東ロボくん」の開発で有名な新井紀子氏が行った累計2万5千人の学力調査の結果がそれね。この調査結果によると、AIができる分野は中高生も高得点が取れるみたいだけど・・・・・・・AIには難しいとされている分野での中高生の得点も低いそうよ!(新井紀子「AI vs.教科書が読めない子どもたち」東洋経済

 

 例えば、次に挙げた問題はAIの不得意な類の問題だけど、中学生(235名)の正答率は38%、高校生(432名)は65%だったみたい。ぜひ、みんなも解いてみて!

 

<問>

 Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

  Alexandraの愛称は(    )である。

   ①Alex  ②Alexander  ③男性  ④女性

 

 

 ここでいう読解力は、言葉の意味を、「なんとなく」ではなく正確に把握し、論理的に再構築する能力と言えそうね。中高生の正答率が必ずしも高くないことに驚いたわ。ちなみに正解は①・・・・・・・・・みんな大丈夫だったかしら?

 中高生もLINEなどを使ってコミュニケーションをとっているわ。日常生活のレベルでは何ら支障は生じないのでしょうね。でも、社会人になって、例えばビジネスの現場で、必須となる法律や制度に接する際トラブルに発展する可能性があるわね。

 

 私はレーブ。

 そういうトラブルを抱えるくらいなら、できる限りAIやロボットに適確に仕事をしてもらいたいと経営者や組織のトップが思うのも無理はない。

 2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授が702の仕事についてどれくらいの確率でAI(人工知能)に置き換わるかを算出し、大いに話題になった。イギリスの労働人口に当てはめると47%、共同研究した野村総研が日本に当てはめると49%が消滅の危機にあるそうだ(鈴木貴博「AI失業前夜」PHPビジネス新書)。

 

 これは驚異的な数字だ。直ちにここまでいかなくても、コストダウンを図るために相当程度の仕事をAIに任せられる事態になるだろう。ただでさえ人口減少の中、能力の高い人材は引っ張りだこになる。力仕事もロボットや装着型スーツで、ある程度はカバーできるようになるだろう。私たちはもっと危機感を持つべきだ。

 

 エディカです。

 仕事を選ぶ際には、人間だからこそできること、AIには難しいことを突き詰めることが大事・・・・ね。そのためには、最低限「考える力」をしっかり身に付けて、様々な変化に対応すること、新しく工夫を凝らすことが必要になってくるわ!こうした中、注目されているのが就学前の早期教育!(久野泰可「考える力を伸ばす」集英社新書

 

 早期教育の効果については調査や検証の難しさもあって、残念ながら確実と言えるエビデンスまではないわ。アメリカで行われた「ペリー就学前プロジェクト」や「アベセダリアンプロジェクト」では、幼児期に介入することで、社会的・情動的スキルが養われ、その後のIQの向上ひいては社会的成功に貢献するという結果が得られているらしいわ!でも、プロジェクトの規模が小さいこともあって、この結果に対して懐疑的な反応もあるようね。(ジェームズ・J・ヘックマン「幼児教育の経済学」東洋経済新報社

 

 それから、音楽やスポーツといった分野では遺伝の影響がほぼ8割以上とされ、学業成績に関しても遺伝の影響が指摘されているわ(成毛眞「AI時代の子育て戦略」SB新書)。だから、子どもがあまり興味をもたない場合や、伸び悩む場合は無理強いしないことね。

 特に、計算能力や漢字能力のような、訓練や暗記に頼る能力の向上に偏重する必要はないわ。こうした分野はむしろAIが得意とする分野ね。小学校の段階で一通りマスターしておくくらいでいいんじゃない!

 

 まずは、自然と触れ合うなどして体験すること、体感することを重視してはどう

 自然体験活動が多い幼児教室に通っていた児童を対象とした調査では、「学習能力が高い」「学習に対する意欲がとてもある」という項目について、約8割の児童が「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」とされたそうよ(山本ら「幼児期に豊富な自然体験活動をした児童に関する研究」2005)。

 

 このような体験を通じて、子どもは様々なことに興味を覚えるわね。中にはとても夢中になれるものも見つかるかもしれない。子どもの頃には夢中にならなくても大人になって思い起こされる体験もあるでしょう。

 同時に、具体的なものごとを抽象化するという作業が大事になってくるわね。子どもが行うこうした作業を手伝うような教育が必要よ。そうするとこんどは逆に、抽象概念から具体的な方策を産み出す脳内ネットワークの下地になるわ。 

 

 今、幼児教育・保育の無償化を10月から実施するため、「子ども・子育て支援法改正案」が国会で審議されているの。費用面のサポートも重要ですが、より大切なのは教育・保育の内容よ!

 

 日本社会において学歴が重要でないとは言わないけど、学歴があっても安心できない時代・・・・・。以前ここで述べたように、高等教育については、社会の変化に合わせた実際的な教育が必要だけど、早期教育については、AIに負けない人間としての基礎力、特に「考える力」を体系的に養うことのできるシステムづくりが重要ね!