2019年4月1日(月)
は~い、フィナよ!
今日は2019年度はじまりの日、ちょうど月曜日でなんとなくスッキリするわ。新元号も「令和」になるのね。東京オリンピックもいよいよ来年ね。10月には消費税の10%へのアップもあって、国内の景気動向に目が離せないわ。実りの1年になるかしら。
東京証券取引所1部の改革が進められるようよ。上場2126社に対し、容赦なく大ナタがふるわれるわ。外国から見ても投資するだけの魅力がある企業はクローズアップされるでしょう。反対に、クローズアップされない企業は市場から退場させられるわ。(2019.3.2週刊東洋経済)
市場に残れるかどうかの「線引き」の候補として以下が挙げられているわ。
①の時価総額は500億円あたりが足切りラインになりそうね。東証1部上場企業の半数が500億円未満みたいね。100億円未満の企業も1割程度を占めるらしいわ。
「1部上場ゴール」という言葉が存在するように、上場自体が目的となっていて、その後の成長に力が入らなくなっていると思われてるの。厳しい裁定がなされるでしょうね。
②はもっとストレートに外国人投資家のウケを意識しているわ。とは言ってもただ社外取締役の割合を増やせばいいってものでもないわね。資本市場の論理をよく理解していて、かつ、経営者としての実績のある人じゃないときちんと評価してもらえないかも(菊池正俊「日本数を動かす外国人投資家の儲け方と発想法」日本実業出版社)。
東証1部における外国人投資家の売買シェアは6~7割に及ぶわ。つまり、彼らの動向はとても重要なの。そういう点からすると今回の改革は仕方ないわね。「痛み」を覚悟の上で進めることにエールを送るわ。
でもこれだけで本当に世界の人たちに熱意が届くのかしら?
そもそも日本市場全体の魅力度を再確認する必要があるわね。外国の人からすると細かい情報を十分持ち合わせていない可能性が高いの。だからこそ、大きなトレンドを重視していると思うの。日本の人口動態、財政問題はみんなもご存じのとおり大きな課題ね。巨額の債務、進んでいく少子高齢化、既得権益に対する構造改革の躊躇、そうした点をシビアに見てるわ。
「痛み」を避ける奇手として、2013年から日本銀行が異次元緩和を推し進めたけれど、効果は今ひとつね。もはや逆にリスクと取られているかも。株式市場を支えるために、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と一緒になってETF(上場投資信託)を大量に買い取っている時点で、「社会主義的」だと見られてるわ。健全でないと考える市場への投資がためらわれるのも仕方ないわね。
そして、世界的な潮流となっている「第4次産業革命」でも日本の出遅れ感は否めないわ。「第4次産業革命」と言えば、ロボット工学、人工知能、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット、3Dプリンター、自動運転などの新興技術が挙げられるけど、私の仲間たちによって何回か採り上げられているように、モビリティ革命やキャッシュレス化、IT医療を見ても諸外国から水を空けられているわ。これからどれだけ巻き返せるかがポイントね。
あと、財政規律は大事よ。国の借金はすでに1000兆円。びっくりするでしょう。
このことについては、①日本は資産が670兆円あるからそこまで心配しなくても大丈夫っていう声もあるけれど、これらの資産の売却はハードルがめちゃくちゃ高いわ。
また、②日本銀行は政府の子会社みたいなものだから、一緒にした「統合政府」という考え方をとる人もいるわ。そうすると、政府の国債400兆円以上は結局は日銀が買い取ってるんだからその分は帳消しだよねってことを言いたいみたいなの。
でも、間に入っている民間金融機関が返済を求めたら返さなくちゃならないから、実は「帳消し」になんかなっていないのね(明石順平「データが語る日本財政の未来」インターナショナル新書)。そううまくはいかないわね。
やっぱり地道に赤字を減らしつつ、債務を返却していく道筋をみんなに見てもらわないと。そのために10月の消費税増税は重要なステップよ。
2020年の東京オリンピックによるお祭り騒ぎのドサクサで、さっき言った課題のなんでもかんでもを先送りにしないことね。人間って今苦しいことを回避しようとするから危険よ。
そして、オリンピック後の反動が怖いわ。オリンピック開催国のほとんどで、オリンピックが終わる頃、場合によっては始まる直前から景気が悪化しているって話よ(岸博幸「オリンピック恐慌」幻冬舎新書)。
国内事情だけでなく、アメリカや中国の経済が失速したら、それも懸念材料ね。
今回の株式市場改革は、少なくとも小規模の企業にとっては「痛み」になるわ。でもその覚悟を評価したい。そして今度は、私たち国民も「痛み」を覚悟しなくちゃならないわ。そのためにも個人レベルのセーフティネットをちゃんと用意すること。
例えばだけど、ベーシック・インカムは、諸外国の先進事例も参考にしながら、そのための財源確保の検討と一緒に議論を進めてもいいんじゃない?(ガイ・スタンディング「ベーシック・インカムへの道」プレジデント社)
【東証1部上場企業の時価総額上位10位の状況】(週刊東洋経済2019.3.2)
1 トヨタ自動車 220,949 億円
2 NTTドコモ 98,547
3 ソフトバンクG 93,842
4 日本電信電話 91,102
5 三菱UFJFG 79,765
6 ソニー 69,469
7 KDDI 68,946
8 武田薬品工業 68,688
9 キーエンス 67,927
10 ソフトバンク 64,291