日本のトイレが世界を救う!清潔な使用を心がけよう。

2019年12月16日(月)

 エンヴィです。

 

 突然ですが、トイレの無い生活を思い浮かべて下さい。とっても困りませんか?困るだけでは済みませんね。環境も汚されます。

 今の日本ではこうした心配はほぼ無用です。たいへんありがたいことです。しかし、世界ではそうもいきません。世界の3人の1人、約23億人の人がトイレの無い生活を送っているのです 

 

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 人は平均1日6~8回用を足すそうです。トイレの無いところでは排泄物による汚染が深刻となっています。きちんと処理されなければ、川や湖を汚染してとても危険です。

 インドでは水の90%が糞便によって汚染されています。このため、毎年150万人もの5歳未満の子供が亡くなっているそうです。世界規模だと、未処理の排泄物による汚染水が原因で命を落とす5歳未満の子供は毎年52万5000人にのぼるとされています(ジャック・シム「トイレは世界を救う」PHP新書)。

 インドでは「トイレ革命」が進められ、1億個のトイレが作られました。あのビル・ゲイツも、トイレの未来に関する国際フォーラムに出席してトイレの大切さを訴えたそうです(広瀬公巳「インドが変える世界地図」文春新書)。

 

 実は、日本も他人事ではないです。今年8月、2020年東京オリンピックパラリンピックのテスト大会を兼ねたパラトライアスロンのワールドカップお台場海浜公園で開催されました。ご記憶の方も多いと思いますが、基準値を大幅に超える大腸菌が検出されて大騒ぎになりましたね。参加選手によると「トイレの臭い」がしたそうです。大雨で処理能力の限界を超えると汚水がそのまま放流されることが原因のようです。

 かつて衛生面が整っていない時代、日本も苦しみました。開国によりコレラも上陸し、江戸の町には死者があふれました。明治13年までに10万人が亡くなったそうです。その後、東京市は近代的な上水道の整備に取り組み、おかげでコレラ赤痢等が大幅に減少することになったのです。(奥田昌子「日本人の病気と食の歴史」ベスト新書)

 

 さて、世界でトイレが普及しない理由に「タブー」、すなわち人々の羞恥心があります。このため、支援をしようとしても政府の要人に真剣にとりあってもらえない場合があります。財政的な問題も大きいです。さらに、仮に予算がついてトイレを作ることができたとしても、トイレがきちんと使い続けられるかどうかは別です。「結局、トイレを作っても無駄じゃないか」と言われてしまいます。

 

 そこには「文化」の問題があります。そして、文化の問題は文化によって解決することができます。切り札は日本のトイレ文化です。日本では清潔に使おう、次に使う人のことを考えようとする気遣いがあります。男性なら、小用を足す所で目の前の壁に、「一歩前へ」という表示を見たことがあるのではないでしょうか。出たものが跳ね返ったり枠から外れたりして飛び散らないよう配慮を求める工夫ですね(微妙な表現を使わせていただきます。何せ「タブー」ですから。)。

 掃除している方に「どうぞお使いください」と案内されることがあります。清掃をしている傍らで用を足そうとすると、汚さないようにしないといけないという気持ちになります(恥ずかしさでなかなか出てこないですが。)。

 ちょっとした気遣いが大事です。誰もが安心して使えるトイレを広めるためには、日本の誇る「トイレ文化」を「輸出」すべきでしょう。 

 

 トイレの機能自体も素晴らしいです。代表格がウッシュレット機能です。「爆買い」がもてはやされた当時は売れまくったそうですね。自動で蓋が上がる機能も最初見た時は驚きました。便座の蓋に手を触れなくてすみます。便座に直接お尻が触れなくてすむよう、流せる紙製の便座シートもあります。汚物を流す水も手を洗う水もセンサーで流せます。レバーや蛇口に手で触って出す機会がずいぶん減りました。仕上げに、濡れた手をジェットタオルで吹き飛ばしておしまいです。

 

 観光にも一役買います。トイレがないところは女性客が行きたがりません。熊野古道世界遺産に登録されている素晴らしいところですが、客足が伸びない理由に道中のトイレが十分整備されていない点が指摘されています。中国では「きれいなトイレなくして観光業は伸びない」ことから、「トイレ革命」と名付けてトイレ整備を推進しているそうです。名物の「ニーハオトイレ」も消えていくかもしれませんね。

 

 繰り返しますが、日本のトイレ文化はすごいです。世界に売り込んでいけるでしょう。綺麗に使おうという「文化」が浸透し、清潔さを実感してもらえれば、よいサイクルをもたらします。世界の環境を守ることにつながるのです。これからも私たちはよい手本として、「意識して」トイレを清潔に使っていきたいです