インドのIT技術者を日本に呼ぼう!ウィンウィン国際戦略が大事

2020年1月13日(月)

 コノミです。

 

 いよいよ2020年ですね。東京オリンピックパラリンピックによる好景気が期待できるのか、逆にその後の反動があるのか、気が抜けない一年になりそうですね。

 

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 さて、インドというとみなさんは何をイメージしますか?カレー、ヨガ、仏教・・・いろいろありそうですね。

 インドの特徴に「IT大国」がありますインド工科大学(IIT)の卒業生は世界中の情報産業に携わる企業がリクルートにやってきます。AIへの期待が高まる中、優秀なIT人材の宝庫として注目されているということですね。ちなみに同大学の入学時の倍率は「100倍」です。そして、受験者数は百万人ということですから、スケールのも大きいです。試験運営も大変そうですね。

 

 インド国内でこれだけITに人が殺到するには理由があります。一つは、IT分野がインド国内で新しい産業であることです。インドはカースト制度が色濃く残る社会です。生まれながらにして職業や結婚相手の階層が決まっています。このため、カースト制度の対象でないIT分野は、多くの下層民にとって成功する数少ないチャンスなのです。

 もう一つはインド人の基礎的能力です。お子さんを中学受験させようと考えたご両親は聞いたことがあると思いますが、インドの掛け算の九九は1桁では終わりません。99かける99までがその範囲です。計算が得意なのですね。さすが、「0」を発明した国です。さらに、インドはイギリスに占領されていたことから、英語を扱うことができます。これらの能力は、グローバルな闘いが求められるIT業界では必須アイテムです。

 

 しかし、ここでちょっとした逆風が吹きました。トランプ大統領によるアメリカへの外国人流入の制限です。インド人技術者も例外ではありません。このため、アメリカに行けず、あふれ出した人材の獲得競争が世界レベルで起きています。IT人材、特にAIの専門家は世界で100万人も必要とされています。しかし、今は30万人しかいません(広瀬公巳「インドが変える世界地図」文春新書)。こうした状況は日本にとっても大きなチャンスです。積極的に人材の争奪戦に名乗りを挙げるべきです

 

 大きな理由は、日本におけるITの遅れです。これまで日本ではシステムエンジニアなどIT人材に対する給与は低く抑えられてきました。このため、人材が十分に育成されていません。インド人技術者を呼べるレベルまで人件費を用意できるかが課題となります。

 

 エディカです。

 そうよ、前も言ったけど、ITスキル標準(1~7段階)の国際比較では日本は3.17のところ、インドでは3.90と高いのよ。中国だって3.58で日本を上回っているわ。こうした現実をどう受け止めるかよ。(岡嶋裕史「プログラミング教育はいらない」光文社新書

 

 エディカさん、援護射撃ありがとうございます。インド人技術者を受け入れることは日本にとってメリットが大きいと言えそうです。

 では、インドにとってのメリットは何でしょうか?ちょっと考えてみたいです。

 例えば環境汚染に対する技術協力を日本から提供できると大きいです。先日、ここでもエンヴィからトイレの話を紹介しましたが、衛生環境をよくしたいというモディ首相の意向を踏まえると、日本のシステムをインドに広げていくことはメリットがあると思います(広瀬公巳「インドが変える世界地図」文春新書)。

 また、インドでは、大気汚染が原因と見られる病気で毎年約60万人もの人が亡くなっています(ティム・ジョーンズら「データブック近未来予想2025」早川書房。公害先進国である日本として、環境汚染を減らすための支援ができそうです。

 

 こうした環境対策にIT技術を活用するとすれば、例えば、個々のトイレと下水道を結ぶネットワークをITで管理するシステムや、大気の状況をモニタリングしながら、工場からの排気を抑制するスマートシステムなどが考えられます。そして、これらのシステムは日本においても活用できそうです。

 

 まずは、こうしたインドにとっても大きなメリットのある分野についてIT技術を活用することを目指して、インドの技術者を招き、積極的に取り組んでもらうことがお互いにとってハッピーです。

 また、インドに限らず、日本が世界に門戸を開き、各国が抱える課題と日本が協力できそうな技術分野をマッチングさせながら、それぞれの国のIT人材を日本に呼び寄せるという戦略が有効と言えそうです

 

 インドにとっての日本の印象は決して悪いものではないでしょう。人材を「一方的に活用する」という発想ではなく、母国のために取り組んでもらう、そのためにも一緒になって提供できる技術協力を考える、という発想が大事です。

 いずれにしても、長い目でお付き合いをしていくことです。温かいチャーイでも飲みながらちょっと思いをはせてみませんか?