破裂寸前の信用バブル。「ツケ(国の借金)」の限界が来るのはいつ?

2021年11月22日(月)

 フィナよ~。

 

 19日、55兆円を超える経済対策が閣議決定されたわ。高校3年生以下には10万円を給付、年明けには「GoToトラベル」も再開するようね。こういうのって「負のレガシー」にならないかしら?言いたいのは、単に「借金」じゃなく、「ツケ」を回すことに慣れ切った体質のことよ。

 

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 収入の半分が借金って聞いたら普通、驚くわよね、って言うかあり得ない。でも、「国の借金」はそうなってるの。2021年度予算歳入総額約296兆円のうち、「国の借金」である国債は約135兆円と45.6%を占めるの。ここで言う「歳入総額」は一般会計と特別会計を重複なく合計した「純計」のことよ。

 その使い途はというと、全体の4割である約120兆円が借金の返済国債償還費等)に充てられているの。ということは全部返済できてるわけじゃないんだっていう人・・・鋭いわ!そのとおりよ。国債残高は毎年増えていって今や計1043兆713億円に上っているわ。税収は57兆円だから、仮にその全てを返済に充てたとしても完済するまで18年かかる計算よ。(田中秀明「ニッポンの財政」standards)

 

 この点について、「国が発行する国債の半分を日本銀行保有しているから、今後も日銀が引き受ける形にすれば大丈夫」と言う人がいるわ。おじいちゃんが居酒屋のツケを孫に回す感覚かしら。

 でも、これには落とし穴があるの。国債の流れを見れば分かるけど、政府が発行した国債を民間銀行が購入する際は、元手として国民の「銀行預金」を使用しているの。だから、日銀が民間銀行から国債を引き受けると言っても、それは「銀行預金」の裏付けがあるからできることなの。もし、世界恐慌が起こって、国民が「銀行預金」の取り崩しに走り、民間銀行も日銀に返済を求めるようになったら、あっという間に倒産するわ。先の例で言うと、居酒屋が「お店が立ち行かないんで」と孫に「ツケ」の一括返済を求めるようなものかしら。

 その時、日本は「ジ・エンド」ね。なぜなら、借金は社会保障のためでもあるから、医療や福祉が回らなくなる。また、借金は異次元緩和の原資となって株価を支えているから、これもできないとなると株価は大暴落。日本経済は滅茶苦茶になるわ。考えてもみて!新型コロナウイルス感染症もあって、企業の成長力は見込めないはずなのに、日経平均株価は異様に上昇している。こんなの、金融政策が実体経済を救済しているとしか説明がつかないわ。(猫組長(菅原潮)「カルト化するマネーの新世界」講談社+α新書)

 じゃあ、孫も家財道具を全部売り払って借金を完済すれば、って思うでしょうね。でも、現実は厳しい。生活するための資産は売れっこないもの。現在国が保有している資産のうち売却できるものを目一杯かき集めたとしても約20兆円ぽっちよ。しかも、毎年使える代物じゃないわ。

 世の中に様々な楽観論があるけれど、怖いのはみんなの感覚がマヒしちゃっていること。つまり、「日本の財政は危ない、危ないって言われてるけれど、何とかなってるんじゃない」という開き直りね。その意味で、東京オリンピック・パラリンリックは「負のレガシー」を残したわ。何せ、開催延期により予算が2940億円増加して1兆6440億円にもなり、国の負担も追加分の710億円を加えて2260億円に膨らんだわ。負担するのはみんなだけど、ピンときていないでしょう!

 

 今、どんどん「信用バブル」が膨張している。いつ破裂するかしら?ズバリ、家計の貯蓄額が低下傾向を示すタイミングと考えるわ。現時点で政府部門は赤字でも、それを上回る家計や企業の貯蓄があるから経常収支は黒字になって、日本経済は格付け機関からも評価されているの。

 でも、これからは不透明よ。確かに、新型コロナウイルス感染症による消費低迷の影響を受けて、使うお金が減り、家計の預金は昨年6月に1031兆円と過去最高を記録したけれど、それって実体経済が小さくなってるってことよ。だからこその経済対策でしょうけど、もう何度も繰り返してることよ。仮に実体経済が復活するとしても、この間に高齢化は着々と進んで収入減・預金減が進むでしょうね

 もはや、財政金融政策の正常化を目指すしかないわ。つまり、「ドケチ」作戦。ドイツでは、メルケル首相が批判を浴びながらも「黒いゼロ作戦」で新たな国の借金をつくらなかったから、コロナ禍でも思い切った支出が可能になったの(マライ・メントラインら「いまどきのドイツと日本」PHP)。

 増税も必要よ。でも、政治家は増収分を選挙対策のため気前のいい政策に回すのが常套手段だから要注意(金子勝「人を救えない国」朝日新書)。消費税の何割かは絶対に国債償還に充てると使い途を限定するべきでしょうね。財政の「緊急事態宣言」を出して、未曽有の長期戦を戦い抜く覚悟が必要よ。